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46話 一生推す!

「社交界?」

「ええ」


 ステラモリス視察は非常にスムースで問題なく終わった。推しカプもみられて幸せ……なのに城に帰ったら即仕事という現実しかない。学院の学びが終わると一日事務仕事だからなあ。と、ぐだぐだしてたとこにエールが冒頭の話を持ってきた。


「だるっ」

「と言うと思ったので行きたくなる情報を持ってきました」


 嫌な笑顔だ。足元見られてる感が半端ない発言だし。


「第二皇子とユラレ伯爵令嬢が参加します。始め一時間は騎士として巡回しますが、その後は皇子とその婚約者として衣装を変えてお越しです」

「ぐっ……」


 なにそれ、二度も趣向の違いを見られるの。ヴォックスがプレゼントした薔薇を使う日がきた。


「第三皇子殿下とソミアさんもいらっしゃいます」

「ん? ソミアが?」

「はい。侍女としてではなく殿下のパートナーとして」


 なんてことだ。二人の外伝終わりの方でやってた。令嬢としてめかし込んだソミアとか見るしかない。


「最後に」

「……」

「アチェンディーテ公爵令息とステラモリス公爵令嬢がいらっしゃいます」

「行くしかないじゃん!!」


 あれでも幼児が遅くまで起きてるのはいかがなものかって話よね。


「時間は早くに始まり、御二人は早くに社交界をあとにします」


 私の言いたいこと分かってて怖い。


「イグニス様に兄様は勿論、マジア侯爵夫妻もいらっしゃいますよ」

「そこは通常運行でしょう」

「ということで、ドレスの準備はこちらでしますね」

「自分の稼いだお金でどうにかするわ」

「私にお任せ下さい」


 婚約者としての体裁がありますので、と言われると仕方ないのかと許してしまう。実際エールのセンスいいしな。


「分かったわ。よろしく」

「はい」



* * *



「はあ……癒される」

「よかったですね」


 推しカプ揃い踏みって初めてなんじゃない?

 関わりあるから纏まって話している。その姿の神々しさときたら……言葉にならない。戦争を理由に引き裂かれず (ヴォックスとユツィ)、身分も関係なく (シレとソミア)、年の差も乗り越えた子たち (サクとクラス)は本編からかなり違うルートへ入ったけど充分幸せそうだ。

 ああ今一番眩しいわね! 最高! もっと輝いて!


「三組の推しカプが並ぶと荘厳」

「楽しそうですね」

「社交界も捨てたものじゃないわ」


 サクとクラス、ヴォックスとユースティーツィア、シレとソミア。最高かよ。


「エクス」

「イグニス様」

「ちょっといい?」


 珍しくエール単体で呼ばれた。どうやらマーロン侯爵兄弟と皇帝との間で話があるらしい。


「……フィクタ」

「喜んでいってらっしゃい!」

「ぶふっ」


 イグニスがこらえきれず吹いた。

 だってずっと側にエールがいるんだもの。解放されるとか最高でしょ。


「アチェンディーテ公爵令息、ステラモリス公爵令嬢」


 ため息をついたエールが推しカプを呼んだ。二人とも分かってる感がある。


「フィクタを頼みます」

「なんで?!」

「御二人と一緒ならいいかなと……くれぐれも一人で行動しないで下さい」

「私、貴方の子供じゃないわよ」

「ええ、大切な婚約者です」


 妙に圧強めでマーロン兄と共に皇帝の元へ行く。一人で美味しいお酒飲んだり豪華なご飯を堪能しようと思ってたのに、どうしてこうも過保護なの。


「クラス」

「はい」


 サクが呼ぶとクラスが満面の笑みで出してきた。お皿に盛られたご飯。しかも綺麗な盛り付け方だ。センスあるというか、本当いいお嫁さんよねクラスってば本当眩しい。


「フィクタさんの為に持ってきました」

「……私?」

「はい」


 本編ヒロインが私に食事を取り分けてくれた。

 え、なにそのイベント、聞いてない。小説の中にもなかった。サクに取り分けるとかもなかったはず。

 つまり。

 私が初?!


「く、クラスん!!」


 お皿を丁寧にがしっと手に取る。


「一生推す!」

「ありがとうございます」

「……ちょろ」


 ご飯が心なしかより美味しく感じる。今日なにかの記念日なんじゃない? あ、推しヒロインにご飯もらった記念日だったわー!


「えへへへ」

「汚い食い方すんな」

「顔緩むのは許して欲しいよ、サクたん」


 ご飯を頂いてる間にサクとクラスは何度も話しかけられた。この世界線でも神童とうたわれるサクは各国の重鎮に注目されているらしい。さすが本編ヒーロー。


「……」


 魔が差した。

 一人はダメといっても自由を少し感じたくてちょっと涼みに庭に出てみる。後で怒られるのは承知の上だ。第二皇子殿下が管轄してる警備は厳重だから大丈夫だろう。


「ん、涼しい」


 足を進めて少し、側の茂みが不自然に揺れて音を出す。様子を見ようかと思った瞬間、大きな手がのびてきた。思わず手で払おうとすると私のその手首を強い力で掴まれる。


「!」


 まずい。

サクが言う通り、本当ちょろいフィクタ(笑)。もっと輝いて眩しくなったらもはや見えないじゃんと思いつつ。推しを前にしたら誰しもちょろいもんですよ。

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