FILE:23 犯人目撃
「ただいま~! 大田さんお風呂に入ってたんですか? 」
「うん。少し汗かいていたからな」
上田さんは、買ってきた牛乳を冷蔵庫に冷やしながら僕にこう怖そうに話す。
「そう言えば今日、買い物の帰りに同じ学校の女性生徒のスカートをめくって下着の上からおしりを触って生徒が被害にあっているのを見てしまってすごく怖かったよ。その後にその子は警察に通報したんだけど、メガネを落としていきながらも上手く逃走しているみたいで捕まっていないらしいよ」
「それは痴漢じゃないか! って事は大田さんと同じ犯人かもしれないな」
すると大田さんが上田さんに言った。
「そいつが落としていったメガネは、持ち帰ってきたか? 」
「一応、私の指紋がつかないように手袋はめてジッパーに入れて持って帰ってきたよ」
僕は、上田さんに一つ質問をする。
「いつの間に手袋とジッパーなんか持ち出してたんだよ」
「そりゃ、餅田くんの仕事を少しでも助けてあげられたらと思って手袋とジッパーは前から常に何枚か持ち歩くようにしてるんだ。いつ事件に遭遇するか分からないからね」
「将来、上田さんは刑事にでもなれそうだね」
「そんなことないよ。ただ私は、少しでも助けてあげられたらと思ってしているだけだから」
それから上田さんは、鞄からジッパーに入れたメガネをゆっくりと取り出しテーブルに置く。
するとそれを見た大田さんは、こう言った。
「あたいが痴漢されたときの男のメガネもそのメガネだったね。間違いない、同一人物だよ」
僕は、事件解決のために二人にこう言った。
「そうなんだ。それじゃこれからは外に出るときは僕と一緒に出るようにしよう。その方が痴漢に二人ともあわないと思うから」
すると上田さんがこう言った。
「それが良いね。やっぱり一人とか女子だけだとどうしても狙われやすいもんね」
「大田さんは、僕の考えどうですか? 」
「その方が気持ちが楽で良いかもしれないな。それで良いだろう」
こうしてひとまず今後の方針が決まり、気がつけば夜を迎える。
そして夕ごはんが終わり上田さんが次はシャワーを浴びてくると言い出して再び僕は、大田さんと二人きりになってしまったが次は問題が起きないように僕の自分の部屋の掃除をすることにし、大田さんはスマートフォンを使いながらテーブルに座っていたためこっそり移動する。
「萌えアニメのフィギュアは別に飾っておいても良いとして少しHな本は隠しておかないとバレたらとんでもないことになっても困るからな」
そしてその本を隠している途中にいきなり大田さんがノックもせずに入ってきたので慌てて本を後ろに隠す。
「将! ここにもいないの? 」
「いるけどどうしたんだ?ノックもせずに」
「特に用はないけど、スマートフォンも一人だと退屈してきたから将に話しかけようとしたらいなくて探してたんだ」
「そうだったんだ。だけどノックはしてから入ってきてよな」
「ごめん。悪かったよ! だけど後ろに何を隠してるんだ? 気になるんだけど」
「僕は、なにも隠してなんかいないよ」
「正直に言わないと変態で訴えるわよ! 」
「少し待ってよ。僕は、なにもしてないのに変態で訴えるなんて困りますよ」
すると大田さんは、キツい口調でこう話す。
「どっちの言うことを信じるかな? それじゃ隠してるのを出してくれて何もしないし、謝るわよ」
僕は、仕方がないので恐る恐る前にその本を出して見せる。
大田さんは、さっそくその本を手にして顔を少し赤くなりながらこう言った。
「Hな本好きなんだ! すごく意外だったな」
「嫌いでしょ? こんな僕。」
すると大田さんは、最初はまともなことを言うが途中から変なことをいきなり言い始めた。
「別に嫌いにはならないけど。だってあたいが勝手に将の部屋を開けた訳なんだし、今まで好きな人がいなかったんなら別に言いとは思う。でもそれなら一つだけあたいの言うことを聞いてほしい。 これは命令だ。あたいに痴漢してほしい♡ 」
僕は、顔を真っ赤にしながら返事に困っていたが、頑張って答える。
「何言ってるんだよ。そんなことしたら僕は、仕事できなくなるじゃないか」
いったい大田さんの考えている狙いとは?




