FILE:22 彼女の過去
しかし時間が経ってもなかなか出てこないので声をかけてみた。
「まだお風呂なのかな? なかなか出てこないから心配になってるんだけど」
すると更衣室から小さな声で恥ずかしそうにこう答える。
「実は、洗濯機あるじゃん。あたいの家の洗濯機にすごく似ていたからいつもの癖で下着とスカートを洗濯機に入れてボタン押して回してしまったんだ。幸い上着とかは、いつも後で洗うから大丈夫なんだけど。だから出てこれないんだよ。 そもそもあんたの家が悪いんだからね」
「何で僕が悪いのですか? まさか似たような洗濯機を使っていることを知らなかったんだよ」
すると大田さんは、僕にこう答える。
「確かにそうだな。 でもこのままじゃ出られないよ」
僕は、タンスに入っていたズボンを取り出してこう話す。
「更衣室の前に男性用だけどズボンがあるから代わりに履いておくと良いよ」
「ありがとう。それじゃそうさせてもらうよ」
そして僕は、みないように後ろを向いて対策をすると、ゆっくりと大田さんが更衣室からズボンを取りに出てくる。
すると大田さんがズボンを取るときに足を滑らしてしまい後ろを向いていた僕のところにいきなり倒れこんできたのだ。
「イテテッ。あっ 」
僕は、この時大田さんの恥ずかしがっている部分を間近でみてしまいすごく興奮してしまった。(正しくは見えてしまったになるが)
大田さんは、素早く立ち上がろうとしたが、慌ててポケットからハンカチを取り出しながらストップさせる。
「少し立ち上がるのは、待ってほしい」
「どうしたのよ。あたいは、早くズボンを履きたいのだけど」
「あの、その今、下着を履いていないと言うことは、立ち上がるとまともに見えてしまうから僕のハンカチを使って隠しながら立つと良いよ」
「ありがとう。わざわざ教えてくれて! だけど将は変態じゃないね」
「だから変態じゃないって最初から言ってたじゃないですか」
「だって本当に変態でやらしい人は、そのままなにも言わずに見続けるはずだからな。 だけどますますあたいのタイプに該当してくるじゃないか。それじゃもう一度後ろ向いていてね」
その間に大田さんは、立ち上がりながら恥ずかしがっている部分をハンカチで隠しながら更衣室に戻っていく。
「良いよ。終わったから! ハンカチでも使えなくなるんじゃないの? 」
「気にしなくて良いよ。 それに別に使えなくはならないと思うけど」
「まぁ、確かに。でもあたいは、あそこを隠すために使ってしまったからそんなハンカチなら仮に洗って返してもらっても要らないだろうなって思うから」
「そんなことないよ。だって別に汚いところに使った訳じゃないじゃないか」
すると大田さんは、顔を真っ赤にしながらいきなり泣き始めながらこう言った。
「本当に優しいんだな。 あたい生まれはじめてだよ。こんなに優しくされたことは」
「そうなんですか! 」
「昔に嫌な過去があって小学生の自然学校で女同士で風呂に入って身体を洗っているときに私はなにもしてないのに。『あんたの下半身って汚いね』とか言われてムカついて殴ったりして喧嘩になって喧嘩ではあたいが勝ったけど、翌日からそのいじめた女は、他の人に影で言いふらされていたみたいで、あたいは辛かった」
「そうなんですか。だけど結構酷い色んないじめにあってるんだね」
「だからあたいは復讐をいつかその人たちにしたろって思って喧嘩に強い女目指して今、現在に至ってる訳なんだよ」
「気持ちは分かるけど復讐は、しない方が良いよ。もししてしまったら君は捕まってしまうかもしれないからね」
「分かってるよ。でもこれからは将に頼ることにしようと思う。感謝しなさいよ」
口調は相変わらず悪いし、素直じゃないが本音はすごく僕に頼りたい気持ちが強いのである。
「それならほっとしたよ」
すると玄関のドアが開いて上田さんが買い物から帰ってきた。
何故か慌てて大田さんは、服をしっかり着て何事も無かったかのように更衣室から出てくる。




