24話 観察と買い物
好きな物ばかりある場所があったらどうしますか?
私はまず固まります。
畑に来てから1時間程度経ったが、未だにモルトは農作物の観察を続けていた。
「ここは野菜が植わっているのか?見たことのある形をしているのが多いけど、色が違ったりするな!」
ようやく魔法薬などに使われる植物を抜けたと思ったら、つづいては更に広い野菜エリア…一体何時間かかるのだろうか。
水色の長ナスや葉鞘は白く葉身が赤い長ネギ、そして青紫にピンクだったりと違う色をした実が1つの枝に生っているトマト。どれも畝ごとに離して植えられているし、もしかしてそこらへんって現実準拠なのか?俺的には嬉しいけど、農業をやる人が少なくなるんじゃ…いや流石に緩和されてるのか?
「それにしても、素晴らしいぐらいに実っているな!」
「おーい」
「葉の虫食いもないし、農薬を使っているとか?いやいやファンタジーなんだからそれこそ魔道具で虫よけを行っているとか!?」
「おいって」
「いよぉし!次はあっちに行ってみるか!」
「話をきけぇい!」
「うわ!?」
興奮した動きで様々な農作物の確認をして、さぁ次の観察に向かうかとなったところで目の前に現れる髭もじゃスキンヘッド。
「あ、プロングさん。どうしたんです?」
「どうしたんです?じゃないわ!いつまで見とるつもりだ!」
「許可を頂けるのなら一日中?」
「長いわ阿呆ぅ!お前レベル上げのときに使う道具を買いに、この店に来たんだろうが」
「道具?…あっ!そういやそうでした!」
完璧に頭から抜けていたようである。さっきまでの彼の脳には植物しかなかったのだ…葉でも生えてきそう。
「まったく…昔話をウィーツとしていたからいいが、普通の人だったらどうなっていたか」
「すみません…久しぶりに畑に来れたもんですから…元の場所だと出来なくて」
「なんだ、都市出身者か?土地がなくて花も植えられんというのは聞いたことがあるな。だが畑は久しぶりってことは、親戚の誰かが遠い農村に居たか?」
「はい!じいちゃんが農家です!」
「成程なぁ…俺も未知の素材があると似たようなことになるからあまり強くは言えんが、せめて同行者が居ない時にしとけ。酷い目に合うぜ?」
若干煤けた表情で笑うプロング。自分自身の体験談だろうな…
「気を付けます!」
「そうしな。ワイバーンの素材を手に入れに行ったら、話を聞いた奴らが踵を返して置いていかれてた話をしてやろうかと思ったぜ」
本当に置いていかれた時あったんかい!
雑貨屋に戻る途中で畑の前にいたウィーツに時間をかけたことを謝罪したが、元気があるのは良いことだしプロングと昔話が出来て有意義だったとのことだった。
気遣いのできる良い人だよなぁ。ただ、興奮しすぎたり反応をしなさすぎると平手打ちが飛んでくるかもしれないからな…恐らく俺だと逝く。
「よし、そんじゃあ改めて初級ライフポーションだ。鑑定を持ってんならしてもかまわんぞ?」
「あ、いいんですか?簡易鑑定しかないんですけど」
「見てもらった方が本物だって証明になるからな!信頼は大事だが、確認も同じように大事だろう?」
「言われてみれば確かに…それじゃあ失礼して」
先程畑では勝手に見てはいたが、そこは置いておいて。
【初級ライフポーション:HPを少量回復させるポーション。飲用可:不味い!もう一杯!】
下に沈殿物や濁りがないことから品質が良さそうな気がする。
「本当に飲用可能って書かれていますね…美味しくないって書かれてますけど」
「おいおい、簡易鑑定でそこまでのことは出てこないはずだぞ?」
「あ、龍眼ってスキルで強化されてるんです」
「竜眼?…いや、龍眼か!おめえさん龍人だったのか…珍しいってのに相変わらず分かりにくい氏族だな」
「そんなこと旦那の前で言うんじゃないよ…また竜人族講座をされるよ」
「言わねぇって。団長…いや、村長は昔からそこの見分けには厳しいからなぁ」
「あたしゃさっき呆れられたね!」
もしかして家での竜人族の話って短い方だったり?そして旅団を率いていたと言っていたけど、やはりフォルクさんが旅団長だったのか。敵に突っ込む人に真面目だけど素材にのめりこむ人…苦労していたんだろうなぁ。
「ま、まぁ、取り敢えず幾つか買わせてください」
「あいよ毎度あり!ここら辺のやつらを相手にするんなら、3つぐらいで済むだろうな」
3つか。でも確かここら辺の敵って早い動きをするんだったよな。
「一応5つ買います!俺って俊敏が低いっぽいので…」
「そうか。まぁ多めに買ってくれることにゃ構いやしないぜ!」
「用心するのは大事なことさね。ついでに投げナイフとかも買ったらどうだい?」
「おう、牽制用にあった方がいいな。そのベルトには投げナイフと普通のナイフ用のホルスターがあるからな」
このホルスターはそのための物なのか…だから大きさが違うんだな。そういえばチュートリアルの時にもナイフはあったな…今はないし買っておこう。
その後も雨除けになるフード付きのマントや、臭いを消して敵からの奇襲を防ぐための消臭薬を2つ購入した。農具も非常に欲しいが、今は自分の畑がないから我慢だ、我慢。
「しめて1800セルってとこだな…にしてもナイフはそれでいいのか?そいつは1000セルだぞ?」
「はい!切れ味がかなり良くてきれいに採取が出来そうなので!」
ホルスターに装備された柄が飴色の木で作られた無骨なナイフ。取り出すと刃渡りは25センチ程の背が鋸刃になっているサバイバルナイフのようなもので、厚みもそれなりにある。試し切りをさせてもらったところかなり切れ味の良いものだと思ったので、即決で購入を決めたのだ…おすすめされたナイフの5倍したけど。投げナイフはそのままおすすめされた物の5個セットを購入した。それと、採取用のハサミとシャベルもそれぞれ1つずつ。
支払いのためにお金を取り出してみたところ、銀の硬貨が1枚と銅の硬貨が大きいのが1枚に小さいのが3枚出てきた。銀貨が1000で銅貨が大が500と小が100かな?ここら辺も凝ってるなあと思いながらカウンターに代金を置く…これでこのナイフは俺のものだ!
「そ、そうか。気に入ってんならそれでいいんだ」
「こりゃ筋金入りだねえ」
ともかく、これで村の外に行く準備は出来た。
「早くこれで採取したいなー♪」
…レベル上げのために行くのだが、大丈夫だろうか?少し疑問に思うウィーツとプロングだった。
異様にカラフルなトマトって書きましたが、本当にトマトって色が結構あるんですよね…だからといって1つ1つが色の違う熟し方はしませんが。連作障害とかどうしようかなぁ…
因みにポーションは1つ50、消臭剤は1つ25、鋏とスコップはそれぞれ100、投げナイフは5個セットで100、マントは200となっています。
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