162話 お留守番と料理準備
「それじゃあ、フェルの事は頼みますね」
「任せなさい!ご要望のアクセサリーも色々と詰めさせてもらうわ!」
『んむ!』
これが案だよとでも言うようにポケットからあの時の絵を取り出し始める……おい、ちょっと赤い汁が付いてないか?気のせい?
「気を付けてくださいね」
「大丈夫!仕事の打ち合わせで暴走したりはしないわー」
ソッチの心配んじゃないんだけどな。まぁ、もしあれがテリブルチリペッパーの汁だったとしてもタオルで拭えば何とか…なるだろ!
「フェルも分かりやすく伝えるんだぞー」
『あぅ…んぅ!』
「あいよ、行ってくる」
さぁキッチンに向かわなければ。まだ大丈夫だとは思うけど、集中されてないといいなー。
キィ…パタン
キッチンに入るとすでにパネットさんが少し高さのあるコック帽を被って待ち構えていた。
「ちょっと遅れました」
「いいのよ~。私もいろいろと準備をしておきたかったところだから~」
「そう言っていただけるとありがたいです…」
「さ、宴会まで時間がないのだから早速やって行きましょうか~!モルトちゃんのエプロンと帽子も用意したから使ってちょうだいな。もちろん手洗いも忘れずにね~?」
手を向けられた先にはパネットさんが着用している物と同じデザインで紐などの色が違うエプロンとコック帽が置かれていた。今後も何か料理したりするだろうし、衛生的にもこういうのを買っておかないとなぁ…お金がどこかから湧いてこないだろうか――――着服金以外で。
手を念入りに洗い――ここの石鹸は香りとかがないタイプだ。場所に合わせて作っているとはここにもプロングさんのこだわりを感じる…いやパネットさんが言ったのかな?――タオルで水気を綺麗に拭き取ってからエプロンを付けて、帽子も被る。初期服の上からだからどうにもコレジャナイ感があるけど仕方なし。
「よっと、髪もちゃんと中に入れてと」
「帽子の後ろに布があるからそれで後ろ髪も覆ってちょうだいな」
おっと、そういう所は現代的な機能が付いてるのね…ええっと……逆に被ってるなこれ。
「ひっくり返して、よし!」
「うんうん似合ってるわね。それじゃあ始めて行きましょうか~」
「まず何をすればいいですかね?」
正直こういう本格的なキッチンに立ち入ったことなんてないので、どうすればいいのか全く分からん!宴会料理だっていうんだから豪勢な物とかを作るんだろうけど、高校入学前のただの家庭料理しか作れない俺が何かできるんだろうか。というかよくパネットさんも俺を誘ったよなぁ……キッチンって大事な場所だろうに。
「前に出してくれたおやきとかあるじゃない?ああいうものを色々と作ってくれたら助かるわ~」
「え、ああいうのでいいんですか」
「勿論!私が見たことがない料り…モルトちゃんが作りやすい料理だろうし、尚且つ村の人たちからしたら新鮮味のある物だからじゃんじゃん作っちゃってね~」
「はぁ」
今明らかに本音が紛れていたよな。そんなに素人の料理に期待されても困るんだが……それにここにある食材で作るわけだから味の想像とかもつきやすいと思うぞ。
「そんなに肩ひじを張らなくても大丈夫よ。村の人たちは基本的に頑丈だから、変わったものであろうとも問題なく食べられるわ!」
「それはそれで問題な気がするんですけど」
「なんなら少し毒があってもへっちゃらよ~?」
試したのか?……いや、多分間違えてそのまま生えている果物だったりを食べていたら自然に耐性が付いたんだろう。そう願いたい。
「ほら、ドンドンやっちゃいましょう?ピリンちゃんが食べていたおやきの中身だったりも使って良いわよ~」
「ピリンさんが食べていた――――ほうほう、それは良いことを聞きましたね」
つまりは野草を使った料理にしても喜ばれるという訳だな?
スイッチオン!
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