149話 再確認とトンデモ野菜
嬉しそうに掲げて見せてくるフェルには悪いが、すぐにピリンさんに輝く長ナスを仕舞ってもらった…魔力視切れば良いだけじゃんと気が付いたのはその後のことだったよ。やっぱ焦ると目の前のことしか見えなくなるから落ち着く余裕を持たないと駄目だな……目を閉じても多少光っているから今回はどうしようもなかったけどさ。
『んぬぅ!』
「いや眩しかったんだって。次見つけたときはちゃんと見るから」
『あむ』
何約束を守るように指切りだと?そこで覚えたんだそれは…まぁやるけどさ。
「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲~ますっと」
『んやぅ』
「針よりは濃縮薬を飲ませる?」
それは痛みだけなら針と同等な気がするぞ?口から腹から全てジクジクしたモノが襲ってくるんだから…そういやプロングさんに作って貰うように言わなくちゃいけないんだっけ。現物だけはフェルに渡されるのが確定しているだけに本当に実行しそうだ。
「自分が辛い物が好きなものだから慣れて欲しいんじゃないかしら?」
「他ので慣れさせてくれ…というかアレは飲んだことないだろ」
『ん!』
だから味見をさせたいと……シレッとお前のだけ何とも言えないの作って貰うぞ?というか俺が飲んだとしても辛みという名の痛みしか感じ取れないんだって。
「残念だけど次からはしゃがんで探すんで試飲はやらないぞ」
『む~』
え~、と不満げなフェルを無視してもう一度魔力視を発動させて高品質の長ナスを探す。よしよし、見える範囲が狭くなったから輝きはさっきより大分抑え目だな。それでも輝いてはいるけどさ…一定の質以上になると輝くのかね。
「ピリンさん、右から2番目の株の奥に生えている大きなナスを採ってもらえますか?」
「これかしら?おお、これもまたいいナスね」
よし、このタイミングで切れば…確かにピリンさんが持っている長ナスはハリも艶もかなり良いな。やっぱり色には慣れないけどそれ以外を考えれば旨いのは確実だろう!
「これで良いだろ?」
『んぬ~』
大人げないだって?そりゃまだ大人になっていませんからね!
「いやー豊作豊作!モルト君にフェルちゃんもお疲れ様ー!」
『ん!』
「こちらこそいい野菜たちに囲まれてホクホクですよ!」
本当にいい野菜たちだった…鑑定結果は何とも言えないものがあったりしたけどな!
【レインボートマト・品質7:色によって味わいが異なるトマト。赤は濃厚な味わいであり青は甘みがありながらもさっぱり、黄色は酸味があり果肉が固め等の違いがある。食用:ソースのベースやチーズと合わせる等色合いにより使い道が異なるが、紫色の実には猛毒が含まれるため栽培には注意が必要である】
【鮮血ネギ・品質7:成長とともに葉が赤く変化する長ネギの変種。鮮血の名の通り血行の促進や改善、また貧血の予防にもなる優れた栄養素を含んでいる。絞った汁をそのままモンスター撃退用の道具として使われることもある。食用:非常に辛味が強いため火を使った料理で主に活用されるが、加熱された場合でも触感がシャキシャキしたままなのが特徴。】
収穫のついでにあの時プロングさんにブロックされるまで眺めていたトマトと長ネギを見て観たんだけど、途中までの鑑定結果や食べる場合の活用法が書かれているのは素晴らしいと思う。お蔭でパスタや餃子とかが食いたくなったよ……いやそうじゃなくてね。問題は紫のトマトや鮮血ネギの活用法よ。
「このトマト毒って書いてあるんですけど…」
試しにマジックバッグに入れていた紫系のトマトたちをゴソッと取り出す。赤紫に青紫、それに真紫と黒っぽい紫…これはは若干普通の黒トマトと違うなと思って鑑定したら毒の方だったんだよ。
【死毒トマト・品質レア:紫色のレインボートマトの中でも稀にしか生る事のない、レアなトマト。毒成分が極限まで濃縮されており、黒色のトマトと見分けが付きづらいため誤食されることがあるが、口に入れた際の刺激や非常に苦いため中毒死の事故は基本起こることはない。不可食:トマトの悪いところを限界まで煮詰めた味がする…らしい】
うん、分けといてよかった。
意外と知られていませんが、トマトって一応有毒植物だったりします。といっても食用品種は完熟で4トン、未完熟でも4キロ程度を短時間に食べないと重篤な症状が出ないものだったりしますが…正直肉のスパイスに使うナツメグとかの方が危険だったり。
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