145話 制止と通行証
流石にズルズル引っ張られるのは恥ずかしいので――朝だからか他の人たちが割と見てるんだ――ちゃんと手伝うからやめて欲しいと伝えて離してもらった。
「ふぅ~少し首が締まったぜ…」
「えっと…ごめんなさいね?」
「今後はしないでくださいね」
「はい!」
うんいい返事だ。だがどこかの誰かさんみたいにデジャブを感じるほど元気な返事だからあまり信用は出来ん…こういう場合は。
「またやったらフェルのアクセサリー依頼は他でやってもらうので」
「絶対にやりません!」
よし言質は取ったぞ。やはり自分の好きなものを封じられるってのはかなりの痛手になるから最高の手札だな……まぁ俺にも大ダメージが入る方法でもあるからあまり使わない方がいいけど。よく言うじゃないか、自分のやったことは返ってくるって。
『む~』
「楽しかったのにって…もっと俺の心配をしてくれ」
『ふぃ~♪』
こやつめ…本当にピリンさんに存分に抱きしめてくれって差し出してくれようか。
『!…んむ~?』
嫌な気配を感じたのか俺に向かって大丈夫だったかと優し目な声で聞いてくるが……まぁ存分に抱きしめられるのだけは勘弁してやろう――――ただ今度ピリンさんが暴走しても止めないでおこう。
雑貨屋の裏手に回り、さぁこれから野菜の採取の始まりだ!と思ったところで。
「あ、そうだ」
とピリンさんが俺たちを止めてきた。一体何だろうか?こちらは眼前に広がる野菜たちを間近で観察したくて仕方ないんだが。
「どうしました?」
『う?』
「いや、そう言えば通行証が必要だなって気が付いたの」
「通行証?」
なんだそれ。研究施設へ侵入するときに使うカードキーみたいなものか?そうなると兵士やたまたま外で休憩している研究者を気絶させて手に入れるしかないが…いかんダンボールを被る爬虫類の事は忘れよう。そもそもこの村の人から通行証を奪える気がしない!それ以前にそんなことしないけどさ。
「そう通行証。こっちの柵から入る時に必要になる札みたいなものなんだけど、大体お父さんがお店に居る時に収穫に来るから使ってなかったのよねー」
「だから忘れたってことですか」
「そういうこと!……でも困ったわ、あれがないと警報が鳴るし雷が流れるのよね」
「雷…随分厳重ですね」
「まぁここの畑は貴重な種類を栽培していたりするから、一応の防護機構らしいわー。」
「因みにその雷ってどれぐらいの威力なんでしょうか」
「う~ん…なんか悪意とかを認識して威力を調整するらしいけど、一番弱いのはパチッと来るぐらいで逆に強いのはゴブリンとかが消え去るぐらいだそうよー」
『おぉー!』
それの何処が一応なんだろうか?明らかに過剰火力だろうに。間違いなくこれを作った人は悪乗りというか興が乗りすぎたんだろう。そんでフェルはゴブリンが消え去る威力のところで興奮するんじゃないよ!俺もちょっと見て観たいけどさ。
「ついでにこれ作ったのって」
「お父さんね」
『ふむ…』
あんたかい!…って思い出してきたぞ。確かフォルクさんの畑に行ったときに同じような話をした筈……んでその時に木片みたいなのを受け取ったよな?
「えーっと、どこにあるんだ」
「んん?どうかしたの?」
「前にフォルクさんの畑に行ったんですけど、その時に受け取ったものがありまして…あった!」
なかなか見つからないと思ったら、マジックバッグに大切なもの欄ってもんが出来てたよ。そこにポツンと<ファティリ村・村民証 管理者用>ってのが置かれてた。重要なものをすぐに見つけられるのは有り難いけど、それの欄が出来るってのを事前に教えてくれないと気が付くのに時間がかかるっての。
んで管理者用って一体どういうことですかフォルクさん?
さらっとトンデモナイものを渡す。
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