142話 モチーフと忘れていた物
あけましておめでとうございます!今年もモルトたちの道草道中の様子を見守って頂けると幸いです。
フェルの書いたアクセサリーの説明図?をよく見るとそこかしこに線やよくわからない記号みたいな物があったりするし、マジで意味は無いんだな。別に何かを囲ってるわけでもないし…そりゃこれは何だっけとかになる訳だよ。
「んでこれは、花か?」
『ん!』
「どうやらそのようですね」
「でも一体何の花だい」
『ふぇぅ』
ん?自分だって?……なんのこっちゃ。
「いや、この柄は見覚えがあるな」
少しギザついた5つの花弁に根本付近の蝋燭の火みたいな模様、そんでおしべやめしべたち。というかこの花だけやけに上手いな?黒ペンで書いたものだから一色なのが残念だけど、まるでいつも見ているみたいな感じがする――あ
「まんまゴジアオイの花じゃん」
『んむ!』
フェルが椅子の上に立ち上がり自身の服を見せつけてくる。そうそうこの花…そりゃ自分自身みたいなもんだし上手く描けるか。
「ああ、確かに似ているね!」
「成程、自身の印を付けておきたいということですか。服の柄の物はいくらかデフォルメされておりますが、特徴は同じなので間違いないでしょう」
ほうほう自分の物に名前を付けておくのと似たようなもんか。どうやら腕輪にでかでかと細工しておいてほしいらしく、でかく丸が書かれているからもしどこかに落としてしまったとしてもすぐに分かるだろう。そもそもそんな外れる事態が起こるのかは知らんけど!
「後は俺のやつみたいに蔦みたいな装飾と…これ高くなりそうな気がするぞ」
俺の手持ち3000セルぐらいしかないんだけど大丈夫だろうか?これから色々と旅の準備をしたいんだけど、購入するものを減らすかグレードを下げるしか……いや採取道具や農具たちに妥協は出来ん!どうにかしてお金の捻出をするしかないが、プロングさんは作業をしてるから買取の相談とかも出来なさそうだしなぁ。
『う?』
「大丈夫大丈夫。ちゃんと注文通りのやつを依頼するって」
「依頼をしても、ピリンから作らせて欲しいなんて言っていたからお金を取らないかもしれないねぇ」
「え」
「あり得る話ですな。職人が是が非でも作りたいと思った者に対しては報酬を取らないというのは往々にしてあるものですから」
「気概みたいなもんですか?」
「それもあるけど、樹妖精の種皮片なんて言う妖精関連の中でもかなり珍しいものを扱うことが出来るんだからね!逆に追加で何かを渡してくる可能性だってあるさ!」
そんなに良い物なのかアレ…正直数がありすぎて暫くマジックバッグの肥やしになるかと思っていたんだけど、しかるべき人とかに売れば今の懐寂しい状況から脱却できるか?
「ただ、今売れる人はプロングさんかピリンさんなんだよな」
『んやーぅ』
うん、そうだな。売るって言ったら凄いことになりそうだからやめておこう。
「あ、そうだ」
「どうされました?」
「いえ、フェルをテイムした時にもアイテムを受け取っていたなって」
すっかり忘れていたけど丁度称号品の整理をしていたってのと、フェルの服とあの時と同じ笑顔を見てようやく思い出したわ…フェルは頻繁に笑っているってのは良いことだから置いておこう。
『ふむ?』
アイテムとは何のことだと首を傾げているけど、今さっきまで紹介していたじゃないか。
「って、フェルはそれを描いてたから樹液採取セットぐらいしかちゃんと見てないのか…えーっと、このスクロールと今俺がつけてるネックレスがそうだな」
『おー!ごぅ!』
そうそう、あの憎きゴブリンを狩りまくった結果手に入った物だぞ。スクロールは…まだ使わなくてもいいかな?どうせならレベル10になってジョブが決まってからの方がいい気がする。
「それでこれがお前を仲間にした時のやつだ!」
『おおー!!……んぬ?』
モルトがウィンドウを操作してテーブルに現れた物に対して、最初は興奮していたがすぐになんだこれと首を捻りだすフェル。それに対して出現させた当の本人はというと。
「……なんだこれ?」
同じようにテーブルに出現した大き目の布のようなものを凝視していた。
スクロールはエリクサー症候群にはならないのでご安心を。
正直年越し蕎麦やらをやろうかと思っていたのですが、クリスマスSSともう一つの物語に時間を持っていかれました…
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