127話 手洗いと調理
早速全員でキッチンに向かい朝食の準備を始める。まずはきちんと手を洗って…何気なく見ると棚の横に紙に包まれたでかい石っぽい物が鎮座していた。透けて見えるのが洗い場にある石鹸と同じ色だし、これを切り出して使ってるのかな?
「これって…」
「ああ、この小さいものと同じですよ。定期的にプロングが錬金で作っておりまして、それを数キロ単位で各家に配っているのです」
「不衛生は健康に生きていくうえで一番の大敵だからね!そこら辺を解っていないやつはこの村にいないのさ!」
「まぁ居ないというか昔の経験で居なくなったが正しいのですがね」
やっぱり旅団時代に衛生で苦労したことがあるんだな…そうでなければ全部の家に配るなんてことしないだろうし。昔の衛生観念が凄まじかったってのは教科書で読んだことがあるけど、流石にこのゲームで再現してるとかないよな?そうだったら大都市とか行きたくないな……掲示板で臭いとか書かれてなかったし大丈夫か?
「ほれ、フェルも肩から降りてそこの台に乗って洗いな」
『ん~』
まぁそんな先のことより今の衛生の方が大事だ。フェルをドッキング状態から解除して階段状の台座に乗せてと――今何気なく乗せたけどキッチンにもフェル用の台座が増えてるな。しかも低いものがコンロの近くにもある…火力確認をしていたのは本当だったってことか。
「って、今掴んだからもう一度洗わないとか」
『ふむっ!』
人を汚いもの扱いするなって?それはそうなんだけど、気分的に洗っておきたいというか。
「外に出ていたんだから服にホコリやらが付いてるかもしれないだろ?それを触った手で食べ物に触れるのは良くないんだから洗っておきたいんだよ」
『む…』
「納得していただいたようで何より」
「実際こまめな手洗いってのは大事だからね!」
「ええ、まさに……プロング等は昔の事件が相当嫌なのか、錬金部屋への入室時にクリーンや魔道具を利用した洗浄をする徹底ぶりですし」
あの前室がリアルみたいに厳重なのってそれが理由なんかい…
全員で手洗いとついでにうがいを済ませ、早速朝食の準備を開始した。ウィーツさんはポトフを煮込んでいたデカい寸動鍋を取り出し、水道の水を入れて沸騰させ始める。
「この鍋でパスタを茹でた方が底につく心配もないし均一に麵が動いてくれるんだよ」
「成程…確かに小鍋でやると何本か引っ付きますよね」
「そうそう!野営の時に小鍋でやるとうまく動かなくて難しいもんさ」
正しく俺がやった失敗だな……一昨年ぐらいに家で1人留守番の時があったんで、菜の花のパスタでも作ろうと思って実際に小鍋でやったら酷いもんだった…底で何度も引っ付くし、書かれていた茹で時間が経っても硬いのがあるからさらに茹でたら今度は食べるときに膨らみすぎてたもの。あれはもうビーフンだったよ。
『んむ』
「やはりこれぐらいの火力が一番ですか。助かりますよ、フェル君」
『あぅ!』
ウィーツさんの隣では、フォルクさんがフェルに慎重に火力を確認して貰いながらパスタに和えるソースを作っている。さらにそのすぐ横には見覚えのある寸動鍋…この鍋複数あるのね。
「いい香りが漂ってきますね~」
その寸動鍋からは湯気が立っており、こちらに暴力的な旨味をまとった香りが襲い掛かってくる。リアルで朝飯を食べたってのに空腹感がやってきて仕方がないんですが?
「そう言っていただけると嬉しいですな。今回のフォンは良い出来になりましたので味はお楽しみにしていただければと」
「くぅ~!フェル…完璧な調整を頼むぞ!」
『あぃ!』
良い返事に良い目だ……その口に携えている涎がなければカッコいいんだがな。まぁ食い意地が張っていれば失敗することはないだろうしいいのか?
さて…ウィーツさん達の調理を見ているのはここまでにしてと。俺も一気に進めていくとするか。うん?結局俺は何をしているのかって?――野草も使ったサラダ作りですが何か?
パスタ用の具材切りも担当。
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