122話 呼び出しと畏怖
現場の声と言っても、俺はフェルの手助けをしただけだしなぁ…あ、徴税官の横領金がどこにあったのかとか知りたいのか?それにワイバーンが知らぬ間に自分の領地にいたんだしそこら辺もかな…だとしても面倒だな。そんな考えが顔に出ていたのか
「大丈夫だよモルト君。領主様にはあのお金は渡してきたし変な話にはならないはずだよ…あの書類も共にね」
「そっちもあるんですけど、ワイバーンも問題かなって…」
『んむぅ!』
またやって来たら頭突きしてやるって?反撃が可怖くて俺に頭突きしてきた子は黙ってなさい。
「ああ、そっちは特に心配はされていなかったかな」
「え、何でです?竜種としては弱いってのは何となくわかりますけど、ワイバーンですよ?」
ファイヤブレスや足での攻撃とかで大ダメージを食らいそうだし、尚且つフェニス山って領主が度々祈りに来たりする場所だそうだし危険なんじゃないか。
「確かに竜は竜なんだけどね…うちの村長がどうやってこの村を建てたか聞いているかい?」
「ええ。昔ドレイクって竜種が山に勝手に住み着いてしまって被害が出ていたから、フォルクさん達が倒したんでしたっけ」
「達というかほぼ村長が倒したそうだけどね。僕はまだその頃は生まれていなかったから、父さんたちから聞いたんだけど…本当に中位竜種に対してよくやるよあの人」
まさかの単騎かよ……エルダートレントを倒した時の一撃は見事だったけど本気じゃないだろうし、あの人がやる気を出したら一体どうなっちまうんだ。でも、お陰でここの領主が心配してない理由がはっきりしたよ。
「成程、そんな人がいれば気にする必要なんてないですね」
「そういうことさ!ただ、魔力草が育たなかった原因については結構眉を寄せていたりしたけど」
『んぬぅ~……んむぅ?』
それに関しては言い訳が出来ないとフェルが微妙な表情をし始めたが、カロッツさんがにっこりと笑いながらフェルの頭をなで始めた。背が高いから俺が肩車していても普通に届くのがうらやましいな…
「大丈夫だよフェル君!特殊な妖精の誕生については喜びこそすれ怒ることはないんだから」
「あー、祝福的な物が周囲にまかれるんでしたっけ?」
「ドライアドの場合は作物の成長や品質が良くなるから、農作が盛んなこの国としては一番喜ばれる祝福だよ……眉を寄せていたのはそれも徴税官が関わっていたってことさ」
「本来繋がっているべき道を塞いじゃってましたもんね」
『むぅ!』
許すまじって感じだけど、それに関しては俺も同感だ。そいつのせいでファティリ村は祝福を受けるどころか3年間も主力の魔力草を育てられなかったんだからな!それに野菜や果物もな…損失はかなりでかいぞ。
「そう!だから僕の前では眉を寄せているだけだったけど、執事たちに指示を出している声からは結構な怒気を感じたね」
「ご愁傷さまって感じですけど、自業自得ですよねぇ」
『んむ』
同情の余地もないとはこのことだ。
「多分現場のを声を聴きたいっていうのは、奴が原因で生まれるのが遅れたフェル君の話を聞きたいのもあると思うよ?なんだったら原因を用意しておくかもね」
「用意とは?」
「そのままの意味さ。僕は耳がいいから聞こえてしまったんだけど、村の原因が解決したから税に関しての話をしたいと言って呼び寄せろって領主様が言っていたんだ…その後抵抗されて体の一部が無くなろうとも捕らえて牢に入れておけとも言っていたよ。多分僕が帰った後にすぐに執行されたんじゃないかな?」
「即断即決ですね」
体の一部が無くなっても良いって所から怒りの大きさが良くわかる…多分碌に治されずに放っておかれるだろうな。なんなら捕らえる騎士とかが容赦なく切ってから捕らえるってのも考えられるぞ?
「そりゃあドレイクを単騎で倒せる力を持つ者が居る村の不作の原因が、自分の部下だったんだもの。今は冷静なのが知られているけど、早いところその部下を捕らえておきたいだろうね……確かドレイク狩りの時に今の領主は見ていたそうだから」
うん、本当にご愁傷さまだな…徴税官じゃなくて領主が。
本人にその意思はなくても、現場にいた人からは畏怖されているフォルク。
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