104話 薬の時間と穴
回想であの人再登場。早いとこ再会させたいけれども、まだ先だなぁ。
「全く…破壊王なんか持ってるってのに、そんなことで落ち込んでどうするんだい!」
「旅団時代にはそれ以上のことを言われていた記憶がありますがね?」
「だって~、こんなに純真無垢な妖精に言われたのよ~!」
「別に今に始まったことじゃないだろうに」
「なんですって~!」
ウィーツさんが伐採した丸太――1個1個がデカすぎてその呼称でいいのかわからんけど――を回収しこちらにやってきた2人にパネットさんが落ち込んでいる説明をしたら言い合いが始まってしまった…ワイバーンより酷いのって何だろうか。あと破壊王っていう物騒なのは何だろうか?
「んで純真無垢な妖精ねぇ?」
『んー!』
何だ文句あるのかと口を尖らせながら飛んでいる位置を調整して俺の顔の前までやってくるフェル。人が慌てているのを見て笑ってたり、変な所で調子がいいコイツがねぇ…そういやシーズも似たような感じだったか?思い返してみりゃキャラクリエイトの時から突撃してきたり目の模様ハートされたりしてたわ。
「うん、お前に対しては間違ってないな」
あくまでアイツと比較してってことになるけどな!
『んむ!』ボコッゴンッ!『んぬ?』
「フェルちゃんは可愛ければいいのよー!」
ナニカを叩いた音が聞こえたのに反応して振り向こうとしたフェルだが、ピリンさんによって阻止されるのを見て俺も気にしないことにした。んでピリンさんの発言はそれでいいのか?いたずらの痛い章は間違いなく貴女も含まれているんだが…いや、こんなに妖精が近くにいたことがないんだろうしいいのか。
「さぁ、解体も終わったし炭も十二分に集まった!帰るとしようかね!」
「これ以上は耐性薬の効果時間が切れてしまうでしょうからな」
時間…そういや今何時だろうか?
「うわ、もう16時過ぎてる」
バーンベリーの近くでおやき食ってたのが12時ぐらいだったし、もう4時間経ってるのかよ!俺が持ってる方の耐性薬だと3時間だからもう切れてたから、改良されたのが出来てて本当に良かったな。下手すりゃ戦闘中にあの熱が襲ってたぞ…
ただそんなに時間が経つことをしていただろうかと思い返してみると、ウィーツさんの伐採眺めた後フェルの戦闘確認ついでにレベリング、その後はピリンさんに嵐が襲来して最後はこのエルダートレント討伐……あー、4時間の割には逆に濃密だったな?
「確か耐性薬の効果時間が4時間半だったんで…えーっと後1時間ぐらいですね」
流石に食い終わった後に使ったのは覚えてるけど時刻は覚えてないなと困り、試しにステータス画面を確認したら残り時間が表示されていた。こういう所はちゃんと書かれているの有難いな。
「この後下山することを考えたらちょうどいいわねー」
”そうね~”
「まだ在庫はあるでしょうが無駄に使う必要はないですからな」
”夫が持ってけってかなり渡してくれたからいっぱいあるわよ~”
「あの」
「なんだい?」
「パネットさんどこ行きました?」
さっきから声は聞こえるけど姿が見えない。若干下の方から声が聞こえてくるんだけど何処にいるんだ?
”ここよ~”
もう一度聞こえた声の方向に向き周囲を見渡すと凹んでいる場所があり――そこに人1人がハマりそうな穴が出現していた。
「……フェル。上から見てきてくれんか」
『あぅ』
ひゅーっと穴の上空まで飛んで下を向くと、何でそうなっているんだというような顔をするフェル。
”助けて頂戴~!”
穴の下の方にいるパネットさんから救助要請が聞こえてくるが、多分スッポリ嵌まってるというか埋め込まれてるよな?
「なんでああなったんですか」
「言い合いの結果ですな。途中までは良かったのですが昔のあだ名合戦になりまして…」
「あたしゃオーガじゃないよ!」
「この始末です…私も注意はしたのですがね」
若干ウィーツさんから圧を感じると思ったらそういうことね…フォルクさんも手伝ったってことは多分オーガもあの外道と同じような扱いであだ名としてはアウトなんだろう。出会ったら即狩りってことで良さそうだ。
「でもどうやって救出しましょうか」
「私は無理ね。一応ロープとかならあるけどー」
『んーやぁあー』
大きな蕪再来になるんじゃないだろうか?でも今回はウィーツさんまだ怒ってるしやってくれなさそうだし。それに耐性薬の残り時間もあるから時間かけられんし、どうしたもんか…んでフェルは穴の周りをゆっくり飛んで何してんだ?
『ぬぅ?…んぁ!』
「隙間がないか探してんのね。でもどこにもないと」
もう腕の間に隙間もなくぴっちり嵌ってると。それどこかしら折れる勢いで埋められたんじゃなかろうか。
「――あ!良いこと思いついた。ただ後がちょっと怖いけど…」
「あたしがいるから大丈夫だろうさ」
ポンと手を叩いたかと思うと苦い顔をするピリンさん。ただウィーツさんがついていくと言ったら消極的にではあるが穴に近づいていった。いったい何をするつもりだ?
「お母さーん!」
”何かしら~?”
「早く上がってこないと、今日取ったバーンベリーとメープルシロップ全部お父さんにあげちゃう――ボシュン!…ザリッ
「何か言ったかしら?あの人に全部「パネット?」……冗談よね?分ってるわよ~」
おお、またすごい圧が――ただ、ウィーツさんからの圧が強くなったかと思うと、一転して萎んだ気がする。うん、感じることしかできないんだ…それというのも
『うぅー』
「フェル。顔から離れてくれ…何も見えん!」
妖精版フェイスハガー…あんなにグロく無くて微笑ましいものですがね!ただ息はしづらそう。
ついでの宣伝として、今週土曜日に新作投稿予定です…毛色というか年齢も大分違う主人公のVR冒険記になります。連続投稿の後にかなりの不定期になる予定です!
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