97話 暗闇と燃える液体
地上犬神家。
少し文字数が伸びたので、エルダートレント戦は次回まで続きます…
……ッハ、何処だここ!?放り出された後にもの凄い音と衝撃が頭に響いて意識が一瞬吹っ飛んだかと思ったら目の前が真っ暗だぞ!
いや本当にどこだ此処?ただ、なぜか分からんがちょっと落ち着く…けどやけに土臭いな。
「う~ん…あ、首以外の体は動くな」
んじゃあ両腕で周囲の確認を…ウィンドウは開けるし――HPが残り5っていうとんでもない数字になっとる――この感じだとあの転移事件みたいにリスポーンのバグで真っ暗な場所に居るとかじゃないっぽいけど……うん、今手で掘ろうとしてみたらじゃりっとして湿り気のあるのが取れたから――これ地面に突き刺さってるな!
「んな納得しとる場合か!」
まだ戦闘中だぞとバタバタとしながら突き刺さった頭を抜こうと頭を捩り、両手でググっと地面を押しているが相当強い力で突っ込んでしまったのか抜ける気配がない。いやまぁ、あの全力ジェットのスピードでそのまま突っ込んだんだしそりゃ抜けんか…というか俺よく生きてるな。
’んん~!’
ググッ
くぐもった声が外から聞こえ、必死に足を引っ張り始めたのを感じる。
「この声はフェルか?俺を救出する暇があるってことはエディファイヤは上手くいったか?それとも失敗したのか…ともかく頭を抜いてくれ!」
失敗してたら、俺はこの状態で種から切られるっていう無様なリスポーン理由になっちまう!?せめて頭が抜けた普通の状態で切ってくれ!
’やぁー!’
さらにグググと力が首に掛かるが、かなりスッポリといってしまったようで全く抜けない。なんかアレを思い出す感じだな…ほら、でかい蕪を引き抜く童謡があるじゃん?あの気分だ。今は俺自身が蕪になってるからシャレになってないがな!
’むぅー!’
”こりゃ随分とキレイにハマったんもんだねぇ!”
”感心しとる場合か。早いところ救出せねば”
”頑張れフェルちゃんー!”
”あらあら~”
藻掻くようにフェルが俺の脚を左右にグリグリと揺すっていると、感じる気配が複数に増えた…いや本当に蕪になった気分だな。そうなると全員で一気に引き抜かれることになるんだけど、俺の首は持つだろうか?
”ほら!主役の休憩は終わりだよ!”
ズポンッ!
「ぬぐっ!?」
ちょっと首が痛かったけど、むんずと誰かが足を掴んで一気に引き抜いてくれた。外の世界が眩し…いんだけど相変わらず目に悪い赤色だ。
「おっとそうだ、助かりました!」
上を見上げてみると――まだ衝撃とかで目がグワンと揺れてるけど――ウィーツさんが1人で俺を抜き上げてくれたようだ。あの童話はこの世界だと通用しなさそうだな!
「あいよ!お礼を言ってくれるのは嬉しいけど、早いとこアイツの対処を頼むよ!」
「まだ気にするほどではないのですが、いつ消えるか分かりませんからな」
「消えるかわからない…対処というと……おぉ」
ぷらんとつられた状態でアイツと後ろ手に差された切り株の方を見てみる……見事に燃え盛っていた。
「予想以上に燃えてますね」
割った甕の中身を考えたら当たり前ではあるんだけど、それでもここまで火柱が出来るか。
「まぁパネットが罅を入れまくったから染み込んだんだろうね!」
「だとしても恐ろしい勢いだわ~。私も料理の際には気を付けなくちゃいけないわね~」
「いやまぁ、普段だったら気にする必要はないと思いますよ――油の引火点なんて」
そう、フェルが詰め込んでいた甕の中身はスキルで生成された油だ!まぁ、フェルが甕に詰め込める物っていえばコレしかないよな。
「取り敢えず核の退避場所の確認に魔力視を使いたいんですが、その前に」
「その前に?」
『う?』
「まず下ろしてください…頭に血が上って仕方がないんです!」
蕪状態からずっとだから動悸が激しくなってくばかりなんだ!こんなところまで再現しなくてもいいじゃないか!?
「あぁ、確かにそうだったね!すまんすまん!」
わははと笑いながらゆっくりと地面に卸してくれた…ついでにポーションで体力回復しておこう。頭に血が昇って死んだと有れば本当に恥だからな!
リスポ理由:頭に血が上った…実際宙づりはシャレになっていませんがね!
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