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最終話1


「ライラ」


優しくて暖かい声がする。

彼は勉強熱心な人でよく図書室にいたから、私は彼に会いたくなるとまず一番最初にそこへ探しに行ったものだった。

定位置の窓辺の机には、分厚くて古い本がいくつも積み上げられている。

本の塔に埋もれるようにしてくすんだ金髪が見えて、私の鼓動は一気に跳ね上がった。

窓から差し込む光を埃がキラキラと反射しながら、まるで彼のまわりを舞っているかのように浮遊する。

彼は不思議と気配にさとい人で、私がいくら静かに近づいてもすぐ気づいて振り返ってしまう。それが少し悔しくて、でも誰よりもすぐに私を見つけくれることがどうしようもなく嬉しかった。

「どうしたんだい?」

あきれたように笑う彼が、ライラと再び私の名前を呼んで手招きをする。


私は自分の名前が嫌いだった。

誰かがライラと呼ぶとき、私は私でなくなる。お前は主人公のライラなのだと、言い聞かせられているような気持ちになるのだ。

誰もが愛して、大切にしてくれるライラ。かわいくて健気なライラ。主人公のライラ。

けれど、彼が私の名前を呼ぶ声だけは好きだった。

ライラという名前が嫌いなことに変わりはなかったけど、彼は私の名前を本当に大切そうに呼んでくれたから。

「ちょうど休憩しようと思っていたんだ。また、ライラの前の世界の話をしておくれよ」

私には前世と呼べる記憶があった。あまりいい思い出はないけれど、それでも時々便利な生活を恋しく思いもする。

でも前世の記憶があるなんていったら、きっと頭のおかしい子だと思われてしまう。

それに私はこのゲームの世界の主役、ライラなのだ。静かに余計なことをしなければ、きっと幸せになれる。そう、前の私みたいにつらくて、苦しい人生にはならないのだ。

けれど、彼だけは、私が打ち明けた前世の話を信じてくれた。

彼だけは、ちゃんと私を見てくれる。ライラ・カーネイルじゃない、私自身を。

「あのね―――」

抱き寄せてほしくて腕を伸ばしながら、彼の名前を呼ぼうとして、


ドン!


視界が不自然に上を向いて、気が付けば私は突き飛ばされていた。

「え?」

暖かな図書館の風景は一転、寒々しい階段の踊り場に様変わりしていた。

踊り場にたって、私を突き落とした彼がゲームオーバーを私に告げる。


「ライラじゃないお前はいらないよ」


突然地面が消え、あたりは薄暗さに包まれる。

体が空に投げ出され、重力から解放される。内臓が浮き上がる嫌な感覚。どこにいたって目立ってしまう忌々しい水色の髪が視界を縁取るように舞って、スローモーションの映像のように、すべてを事細かに感じ取ることができる。


どうして?


問いは声にならず、脳内で反響して答えを得るはずもなく霧散する。

私は愛されていたはずだった。

だってゲームの中のライラは、たくさんの人に愛されていたから。

そして今の私こそが、ライラなのだから。

ライラが受け取るはずの物を、記憶を、すべて回収しなければならない。ライラが迎えるはずの結末にそれらが必要不可欠なのだ。だって、ゲームの結末は複雑に分岐していて、一つだって気を抜けない。

もしも、ミスを犯して正しい結末にたどり着けなかったら、私は用なしになって消されてしまうのだ。

この世界から。跡形もなく。きっと、あの時みたいに…!

……大丈夫。きっとうまくやれる。

言われたとおりにして、ちゃんとライラらしくしていれば。

たとえ私が私としていられなくても、ライラはたくさんの人に愛される幸福な存在だから、きっと私だって幸せなのだ。

だから、唯一本当に欲しかったものもあきらめて、ライラとして頑張ってきたのに…!


どうして。


私が間違っていたというの?

だって、私はまだ消えたくない。たとえライラとして生きることを望んでいなかったとしても、もう死ぬのはいやなの。幸せになりたい!愛されたい!そう願って何が悪いの!?


どうして、どうして、どうしてどうしてどうして


「どうして!!」


階段の踊り場で私を突き飛ばした彼にむかって、私は叫んだ。喉が裂けんばかりに叫んだ。


「消えたくない!消えたくないよぉ!」


ゆっくりと落ちているはずなのに、ぐんぐんと踊り場が遠ざかっていく。

私はどんどん暗いどこかへ落ち続けていた。

体の境界が消えて、手足の先から私が消えていく。


「嫌だ!消えたくない!助けて…!誰か!助けて―――」


必死でもがく手は何もつかめず、落ちていく。


落ちていく。





水面からふと顔が出るように、意識が覚醒する。

ぼやけて薄暗い視界が次第に輪郭を取り戻して、見慣れた天井が現れた。

おそるおそる腕を持ち上げて顔の上にかざしてみると、そこには何の変哲もない私の手があった。

次に体を起こして毛布に隠れた足の先を確認する。

良かった。消えてない。まだ、私はここにいる。

もうずっと目が覚めるたびに繰り返しているこの行為は、もはや習慣だ。

何度か両手を握ったり開いたりして、手の感触をしっかりと確認しているうちに今日も生きているという実感がこみあげてきて、少しだけ安堵する。

なんだか、夢を見ていた気がする。内容は思い出せないけど、あまり幸せなものではなかったような…。

閉め切られたカーテンの隙間からまばゆい陽が差し込んでいた。曇りの日に雲間から日が差してできる天使の梯子に似ていて、私はしばらく何をするでもなくそれを眺めていた。


どうして私は、ライラなんかに産まれてしまったのだろう。

ライラになんて、なりたくなかった。

私は本当に好きな人とただ一緒にいられればそれでよかった。他には何も望んだことはなかった。

それだけだったのに、どうしてこんな遠いところまで来てしまったのだろう。

カーテンの隙間から続く小さな天使の梯子がひときわ強く輝いたと思ったら、すうっとかき消されるように消えていった。

部屋には耐えがたい静寂と薄暗さと私だけが残される。

ぼんやりと自分の掌を見つめて、ふと今日は何日なのだろうかと思った。

もうしばらく授業に出ていない気がする。

私を心配して殿下や数人の友達が尋ねに来てくれたけど、どうしても会う気にはなれなかった。特にアロイスと殿下には…。

眠るかぼんやりとしている意外には特に何もしていないのに、気が付けば夜になっていてカーテンの隙間が光り始めて朝が来たことを知る。

そんな生活がしばらく続いていた。

外に出て、ちゃんとライラらしくしなければならないとはわかっている。けれど、どうしてもここから出たくない。人に会いたくない。私は、もうライラを演じ続けられない。

けれど、世界はそれをいつまでも許しはしないだろう。

怖い…消えたくない…!

けれど、どうしたらいいのかわからない。


彼女なら、助けてくれるだろうか。私と同じ転生者の彼女なら。

そんな一抹の期待と同時に、リジーアのことを考えると憎しみのような感情も湧いてくるのも事実であった。

ゲームの登場人物ではない彼女には私の気持ちなど、きっとわからない。ましてや、あのベルンハルトに愛されているのだ。わかるはずないし、理解されてたまるかとも思う。

ちょっとゲームと展開が違うが、殿下との仲はうまくいってたし、ちゃんとイベントだって起こっていた。

それなのに、ベルンハルトの好感度あげに失敗してから、何もかもがうまくいかなくった。ヨハンだって、私のことを好きだと言ってくれていたのに…。

悩んでいたら、彼女が邪魔しているのだと、アロイスが教えてくれた。やっぱり、彼女は敵なのだ。

上手くいかなくなった原因は、リジーアなのだ。


「プログラムなんかじゃない…!ゲームなんかじゃない!」

ふと、泣きながらそう叫んだリジーアの顔が浮かんだ。

そんなことは、私にだってわかってる!

だからこそ、消えるのが恐ろしいのではないか。そのことの何が悪いのだ。

私は何も間違ったことは言っていない。リジーアを傷つけたのだとしても、私だって彼女のせいで苦しめられたのだから。

けれど、彼女の悲痛そうな表情を思い出すたびに、胸が痛くなって、あんなに人の好さそうな彼女が本当に、私の邪魔をしているの?私が草原で彼女にしたことは、ただの八つ当たりじゃないの?と、頭の中で、誰かが小さな声で問いかけるのだ。

その声に必死で違うと叫んで、一生懸命に耳を塞ぐ。そうしないと、決定的な何かが壊れてしまいそうだった。

大丈夫。ヴィオラとアロイスが、邪魔をしていると言ったのだから、それが正しいのだ。

私は、彼らを信じていればいい。


そうすれば、楽になれる。

何もかも、うまくいく。


枕を抱きしめて、胎児のように丸まった。

何か、楽しいことを考えよう。

そう思うと、自然と思い出されるのは図書室だ。古い本の匂い。陽の光に瞬く埃。私の話に静かに相打ちを打ってくれたあの人の声。

帰りたい。あの優しい場所へ。

熱い涙が閉じた瞼から漏れ出して、零れ落ちようとしたその時だった。


コンコンとノックをする音がした。

誰だろう。また、殿下?それとも、アロイス?

「カーネイルさん」

優し気な老婦人の声。たぶん寮母だ。

きっと部屋に閉じこもりっきりのライラを心配して来たのだろう。

私はライラとして彼女に接することができそうになくて、だんまりを決め込むことにした。彼女も忙しいからしばらくすれば立ち去ってくれるだろう。せっかく来てくれたのに申し訳ないという気持ちと、放っておいて欲しいという気持ちがないまぜになってわからなくなる。

そうして少し経ったころ、今度は寮母のとは違う女性の声がした。

「ねぇ、ライラさん。開けてくれない?」

「…は」

それはついさっき考えていたリジーアのものだった。

まさか、助けに来てくれた?

そんな馬鹿げた考えが一瞬脳裏を過る。私は一体何を考えているのだろうか。相手はあの憎たらしいリジーアではないか。

「少しだけでもお話しできないかしら?」

彼女の声の調子は本当に気づかわしげで、私はますます自分がみじめに思えて仕方なくなってしまった。

なんと答えたらいいものか私が迷っているうちに、向こうは私に応じる気がないのだと判断してしまったのか、それ以上何かを話しかけてはきてくれなかった。

今出て行けばきっと間に合う。ベッドから降りて、扉を開けて、呼び止めれば…。

それで、助けてくれるって?馬鹿馬鹿しい。そんな都合のいいことが起こるはずない。

でも、もしかしたら、彼女はアロイスの言うような人じゃなくて―――。


そんな葛藤を延々と繰り返していると、カチャリと鍵の開く音がした。驚いてそちらを見ると、扉は開かれ廊下の光が薄暗い部屋を照らしている。

そこには、寮母とリジーア。時々見かける三年の女生徒と、ベルンハルトがいた。

食事もあまりとらず、寝てばかりいるせいで今の私はさぞ酷い見た目をしているのだろう。誰かがあんなにやつれてと呟くのが聞こえた。


ベルンハルトが静かに歩み寄ってきて、じっと私を見下ろした。その灰色の瞳には憐れみのようなものが読み取れて、そして、私は悟った。

「ああ…。もう、終わりなのね」

もうずっとしゃべってなかったせいで、しゃがれた変な声だった。まるでライラのものではないような。

「そうだよ」

感情の読み取れない彼の言葉に、終わることが恐ろしいのか、それとも安堵しているからなのか勝手に涙がこぼれた。

消えてしまうことも、死んでしまうことも恐ろしい。けれど、そのことに怯える日々が終わるのだと思うと、どうしようもなく安心している自分もいた。

「君を解放しにきた。ライラ・カーネイル」





「君を解放しにきた。ライラ・カーネイル」

そう告げられたライラはしばらく呆けていたが、唐突にふふふと笑い始めた。

「そっか。私、ついに消えちゃうのね」

「消える?」

「そうよ、ライラとしての役割を果たさないと私、消えちゃうの」

消えるって、どういうことだろう。あれかな、組織に消される的な感じで、アロイスに消されちゃうってこと?物騒だ。

ライラは現実味がないのか、さっきからふふふと笑い続けている。

カーテンを閉め切った暗い部屋で、笑い続けるやつれたライラ。正直言ってかなり怖い。

かと思えば突然彼女は笑うのをやめて、私を力なくねめつけた。


「あなたはいいわよね」

「え?」

ライラはボロボロ涙をこぼしながら、引き攣ったいびつな笑顔を浮かべていた。

その瞳にはありありと悪意が見て取れて、思わず石を飲んだように身がすくむ。

「何の役割もないモブで、好き勝手して、楽しく生きてきたんでしょう?」

「ちょ、ちょっと、待って」

「私だって、好きでライラになったんじゃない!私だって!私だってあの人と!」

「落ち着いて、ライラ。役割って何?」

ベッドから身を乗り出してライラが叫ぶ。あまりに身を乗り出すので落ちそうになる彼女の体を支えようと手を伸ばすと、逆に腕を掴まれ引き寄せられる。

「ないんだから、知らないのよね。本当にうらやましいわ」

なんなんだ一体。というか前も思ったけどライラ、力強いよ!痛い痛い!

とっさにベルンがライラを引きはがそうとしたが、それを制して私はライラの好きにさせることにした。

確かに怖いけど、首を絞めてくるなんてことまではしないだろう。うん、まぁ、絞めてこないことを祈ろう。

ライラを刺激しないよう、ゆっくりと優しい調子を心掛けて私は彼女に尋ねた。

「ごめんなさい、ライラ。私には役割とか、消えるとかよくわからないわ。どういうことか教えてくれる?」

「…ライラが、この世界の主人公なのはあなただって知っているでしょ。この世界ではライラはエドウィン殿下と恋に落ちなきゃいけないの。ちゃんとハッピーエンドを迎えられないと、私は用なしになって消えてしまう」

う、うーん。全く意味が分からない。

「え、えっと、つまりライラは殿下と結ばれないと消えてしまうってこと?」

「そうよ。信じられない?でも、本当のことなの。みんな私がライラらしくしてたら、優しくしてくれたし、好きになってくれた。だから、私はずっとライラらしくしてなきゃいけなかった。でも、もう無理。…私には、これ以上ライラを続けられない。きっと今に私は消えてしまうわ」

ずるずると掴んでいた手から力が抜け、ライラはうずくまった。

とりあえず、私はいままでライラは殿下が好きで婚約者になりたかったのだと思っていたのだが、そこからして違うようである。

ライラが殿下をどう思っているかはおいといて、殿下に近づかなければならなかった。強制されたと考えてよいのだろうか。

「あなたが邪魔するからよ。私は言われるとおりにしたのに。なのに…!わたし、消えたくない…消えたくない…」

「大丈夫よ、ライラ。あなたは消えたりなんかしない。ね?」

「嘘!ヴィオラにそう言われて私だって、嘘だって言ったわ!でも、そうしたら本当に消えたの!手が消えて…手が…」

慌てて自分の手が消えてないか確認して、ライラは火のついたように泣き始めた。

どうしたらいいかわからず、しゃくりあげながらもずっと消えたくないと繰り返すライラの小さな背中をそっと撫でる。

「こわいよぉ……たすけて…おにいさま」

どうやら消えるというのは、殺されるという意味ではなく、言葉のまんま体が消えてしまうという意味らしい。とても信じられない話ではあるが、ライラの取り乱しようから信じざるを得ない。

もしかして、神様みたいな存在がいるとでも言うのだろうか。それで主人公としてライラが殿下と結ばれなかったら、罰として彼女を消してしまうと?

でも、私は同じ転生者だけどそういう超常的な存在に出会ったことはない。

ライラの言う通り私がモブに転生したからなのか?いや、そんなまさか。でももしそうなら、ちょっと腹立つような気もする。モブがそんなに悪いか!


というかベルンは普通に話聞いているけど、大丈夫だろうか。主人公とか、モブとか。そういえば、前に私とライラが言い争った時も彼は何も聞いてこなかった。

いろいろと不安になって、ベルンを見ると彼は特に訝しんだ様子もなく、思案顔でライラの後頭部を見つめていた。

しばらくあれこれと思いめぐらせたのち、ベルンは口を開いた。

「それは幻覚だ、ライラ・カーネイル」

「…え?」

「洗脳する時、薬を飲ませて暗示をかけて、故意に幻覚を見せることがある。おそらく君はその薬を飲まされるか嗅がされるかしたんだろう」

あれか、危ないお薬か。

つまり、ライラの手が消えたとかいうのは、幻覚だったと。

よかったぁ。ヴィオラが神と交信してるとかいうファンタジーが始まってしまうのかと心配したが、なんてことはない。ライラは一種の催眠状態で自分の体が消えるという幻覚を見せられ、それを信じてしまったのだろう。

「そんな…そんなこと。アロイスお兄様が私を騙したっていうの!?」

「そうだ。君は洗脳されていたんだ。アロイスとヴィオラに」

「だって、本当に消えたの。私、嘘なんかついてない。それに二人とも私の味方をしてくれたの。私が消えないように手伝うって、だから私は言うことを聞いて」

「君は洗脳されてたんだ。アロイスたちに」

「うそ、……嘘よ!」

なかなか受け入れられないライラを予想していたらしく、ベルンは仕方ないと感じているようだった。

「すぐには受け入れられないか」

彼は私の手を取って立たせ、スカートの汚れを軽く払ってくれた。

先ほどちょっとだけ見せたライラに対する哀れみは、もうすっかり消え失せてしまったように見える。

「もし、君が呪いを解きたいならついてくるといい。もちろん、ここにずっと閉じこもるのも自由だ」

ライラは何も言わなかった。ただぼんやりと私たちを見上げ、迷っているようだった。


私はこれまでライラに結構酷いことを言われたと思う。

けれど、何故か彼女のことを憎いとは思えなかった。もちろん、好きなわけでもないのだが。

それは、もしかしたら彼女がどこかで私に助けを求めているような気がしていたからなのかもしれない。

それこそモブごときが自意識過剰だって言われてしまうかもしれないけれど。


「ねぇ、ライラ。助けてって言ったよね。でも、本当に助けてほしいなら、あなた自身も助かろうとしなくちゃいけないと思うの。だって、よく言うでしょ?天は自らを助けるものを助けるって」

若干ことわざが合っているか不安になったが、なんかまぁ、我ながらそれなりに良いことを言えた気がする。うん。

振り払われないかちょっとドキドキしながら差し出した手をライラはしばらく見つめていた。じっと彼女が動くのを待っていると、ゆるゆると手が持ち上がり、ついには私の手をおそるおそるといった感じで握ったのだった。


ついに最終パートに入りました。一日一話更新で、全四話です。よろしくお願いします。

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