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手のひらの一滴  作者: 狼子 由
#ふぁぼくれた方を主人公にして140字小説を書く
367/514

朝焼けの烏(GB(那識あきら)さん)

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


ぬばたまの夜が過ぎていく。

ビルの隙間の狭い路地に、生まれたばかりの烏が1羽ぎこちなく歩いている。

差し込む朝日が、しなやかな黒い羽をまだらに照らした。


どこかで、電車の動き出す音がする。

道向こうのパン屋がこね回す、仕込みのイーストの匂いが立つ。


朝が来る。

四角い空がまるい瞳を鮮やかに切り取る。

黒々とした羽を広げ、青空へ烏は飛び立ってゆく。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


2019/05/08(水)

普段は穏やかで礼儀正しい、常識ある大人然とした言動をされるGBさん。時折見せてくださるチャーミングで直截な表現が魅力的な方です。

だのに、その筆が切り取る風景の現実と等身大であることと言ったら、あまりにも「そこにそのようにある」ことが正し過ぎて、時に残酷さすら感じる程。

1ミリの狂いもなく過不足のない描写は、するりと吹き抜ける草原の風のように自然に心を通り過ぎていきます。ありのままであることと、物語であることを両立する泰然とした存在は、ただ黙って受け入れることを許してくれます。

大きすぎず、小さすぎない。ただそこにあることが輝く、物語の主人公です。

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