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庭の怪異(微ホラー)
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松林は今朝も霧雨に煙っている。
突き出した枝に溜まった水滴が、ぽたり、垂れ落ちた。
君の頬を流れ、襟元へと落ちていく。
水を吸って重みを増した紅い振袖。その袖先から覗く、白い指。
長い袖が揺れもせず持ち上がって、手招きした。
格子の向こうの影に気づかぬ振りで、僕は黙って窓辺を離れる。
呼ばれているのは僕じゃない、僕に流れる古い血だから。
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2019/02/24(日) ジャンル:微ホラー




