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百合色の鍵姫~転生した元魔王の甘々百合生活  作者: 恋する子犬
第三章 尊い姉妹と幸せを得た少女

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第90話 音撃の一閃

 地下施設の一角、錬魔術研究所内にて、元気一杯で活気に満ち溢れた声が轟く。


「降りてこーい、ファモス!姉ちゃんをかけて、私と一対一で勝負するのだー!!」


 心も体も完全復活のユィリス。小さく二つに縛った白髪を、犬の耳のように可愛らしくたなびかせ、ビシッと高台にいるファモスを指差した。


「ユィリス!?良かった~~!無事だったのね…。魔力は感じてたけど、状況は分からなかったから、ほんと気が気じゃなくて……」


 妹の無事を知り、目尻に涙を浮かべ、安堵の表情で膝から崩れ落ちる。そんなアィリスとは対照的に、ファモスは心底不愉快そうな面持ちで、この場に現れし三人の少女を見下ろした。


「どういうことだ?あの()()の気配が一切なくなったが…さっき、向こうで何が……」


 クレイジーで天才的な思考を持ち合わせたファモスと言えど、この事実には脳内をかき乱された。何やら理解不能なレベルの殺気を感じたと思えば、何の冗談か、数秒も経たぬ間に二人の勇者パーティメンバーの魔力が、跡形もなく消失したのだから。


(アイツらじゃない…。オーラが桁違いだったからな。何が居たんだ?あの場所に…)


 アイツらとは、ユィリスと連れの二人――ルナとモナのことだ。

 人数的にも、相手に神霊族という強敵がいることを考えても、ファモスにとって不利でしかないだろう。

 しかし、表情に焦りは見えない。先程の異常なまでの殺気が、相手の力量を計る感覚に狂いを生じさせたのだ。

 自身もそれを理解しているからこそ、嫌悪感を募らせている。


「良かった!まだ無事よ、ユィリスのお姉さん!」

「ふにゃ~、ほんとだ~」


 戦闘が始まるかもしれないというのに、にやけ顔が止まらないモナ。先程の、アリアへの思いによるユィリスの惚気顔が移ったのか、幸せそうな顔でいっぱいになっている。


「あー、えっと…そんなに嬉しいのね、サキのこと」

「勿論だよ~!も~、嬉しかったんだから!敵じゃないって分かっただけでも安心したのに、モナのために情報屋として頑張ってくれてたんだもん」


 頬を緩ませるなというのは無理な話だろう。

 研究所に向かう道中、モナは施設に後から潜入したサキと、約一年ぶりの再会を果たした。




     ◇




 ――久しぶり。モナお姉ちゃん…。


 数分前、モナが耳にしたのは、かつて自分をそう呼んでくれていた少女の、どこかふわりとした調子の声。

 期待していいのだろうか。心の片隅から湧き上がってくる思いは、その姿を見た途端、嬉々として変わった。


「ま、マオちゃん……?マオちゃんなの?」

「そ。まあ、今は違う名前で生きてるけどね。でも、モナお姉ちゃんになら、そう呼ばれても…」


 少し照れ臭そうに、頬を掻く。そんなサキの反応を見るや否や、モナは瞳をキラッキラに輝かせ、勢いよく階段を飛び降りた。



「「「マオちゃ~~~~~~~~ん!!!!」」」



 そのまま、サキの体を思いっきり抱き締める。

 声や雰囲気は、一年前の彼女とは似ても似つかない。それでもモナは、一切の疑いを見せず、純粋な心で素直に喜んだ。


「あはは…く、苦しいよ、モナお姉ちゃん…。ほ、ほら、みんなを待たせてるから」

「ふにゃ~~、生マオちゃんだよ~」

「なにその呼び方…。というか、少しは敵かもしれないって、疑ってもいいもんだけど」

「疑うわけないよ~。モナ、信じてたもん!」

「信じてたって…」


 若干、塩っけな対応ではあるものの、それは単なる照れ隠しに過ぎない。心の中では、サキもモナと同じく、この再会に色んな思いを馳せていることだろう。


(けどまあ、この純粋さに、あたしは救われたんだよね…。やっぱり、モナお姉ちゃんはこうでなくっちゃ)


 嬉しさを隠し切れず、口元を綻ばせる。今まで情報屋として頑張ってきたことが、この汚れない純粋な笑顔にようやく結びついたのだから、これ以上の喜びはない。

 

 そして一方、二人の再会に理解が追いついていないルナは、ポカンとした顔で尋ねる。

 

「あなた、サキよね?マオって、どういう…」

「あー、あたし本名がマオ・グランツェルなんだー。モナお姉ちゃんから聞いてなかった?勇者パーティの中で、耳が異常に発達した子供がいるってさ」

「え、それがあなたなの!?たしかに、耳が良いって聞いた時から、ちょっと引っかかってたけど…」


 目を丸くして驚くルナ。その後ろで、未だに何のことやら分かっていないユィリスが、


(誰なのだ…?アイツは)


 と、腕を組みながら首を傾げている。


「ん?そっか!ルナちゃんたちが会った情報屋のサキって、マオちゃんのことだったんだ~!!嘘!??だったら、レアリムにいた時、会いに来てくれればよかったのに~!」


 モナの中でも合点がいき、無意識に抱き締めている手に力を入れた。苦しそうな顔をしながらも、サキの頬は紅潮していくばかりだ。


「いや…あの時は、まだ会う訳にはいかなかったんだよねー。モナお姉ちゃんが自由の身になれたのは、すっごく嬉しかったけど、脅威が去ったわけじゃない。だから、モナお姉ちゃんの無事はアリアちゃんに任せて、あたしはグランツェル家の()()動向を探るために、一旦グラン街に潜入しようと思って…。そんな中、姿を見せちゃったら、モナお姉ちゃんは絶対あたしに付いてくると思ったし、最悪みんなから勇者パーティの回し者だって疑われてもおかしくなかったからさ。まあ結局、何の因果か、こうやってまた会えたわけだけど…」

「そこまでモナの事を…。もう~、誰もマオちゃんを敵だなんて思わないよ~。でも、ほんとに嬉しい!マオちゃん大好き!!」

「ちょ…あ、あんまり好き好き言わない方がいいって…。そういうのは、アリアちゃんに言った方がいいんじゃない?」

「ふにゃ!?な、なんで!?」


 ジト目で妬いた表情を隠し切れずにいながら、モナに忠告するサキ。会えてはいなかったが、会話はしっかり耳に届いていたようだ。

 二人の関係は今後どうなっていくのか。それは、此度の戦いの結果に全て委ねられる。

 もう離れることはない。言葉にしなくとも、二人の心の声が重なり、そう告げた。


「ほーら、その猫耳ともふもふの尻尾は後で堪能してあげるから、今はアリアちゃんの元に行かせてくれる?」

「アリアちゃんのところに?」

「まあ正確には、モナお姉ちゃんをあんな目に合わせた元凶に、制裁を喰らわせたくてさー」

「だったら、モナも――」

「だいじょーぶ。いざとなったら、さいきょーのアリアちゃんに守ってもらうからさ。だから、モナお姉ちゃんは安心して、ユィリスちゃんのサポートをしてあげてよ」


 サキは片目を閉じ、モナを安心させるように告げた。

 少しばかり不安の残る表情ではあるものの、モナはこくりと頷く。


「モナ、いいの?」

「うん。モナは、二人のことも大切に思ってるから」


 ルナとユィリスを交互に見やり、微笑みかける。そんな中、恐る恐る手を挙げ、お喋りなユィリスがようやく口を開いた。


「な、なあ…今、すっごく感動するBGM(音楽)が頭の中を流れているのだが………私にも紹介してくれなのだ。そいつのこと」

「ん?あなたも一度会ってるじゃない」

「へ?」

「さっきモナが言ってたでしょ。あの情報屋だって。最初に聞いた時はほんとにびっくりしたんだから。それがまさか、マオ・グランツェルだったなんてね~。もうこれ以上びっくりすることは当分ないかもしれないわ」

「じょーほーや??」


 情報屋というワードを聞き入れ、記憶の底から該当する人物を引っ張りだし、頭の中に思い描くユィリス。一体いつ出会った人の話をしてるのだろうかと、眉間に皺を寄せながら考える彼女に、サキが言う。


「そういえば、お客さんの中で6杯もオレンジジュースを飲む人なんて、ユィリスちゃんくらいだったな~。アリアちゃんにあたしのことを紹介してくれたことも含めて、お礼を言わせてよ。ありがとね」

「は、はあ…こちらこそなのだ……」


 曖昧な返事をし、差し出された子供の手をそっと握り返す。

 そんなことを知っているのは、()()()にいた者だけだ。つまり…と数秒後、ようやく理解に及び、ユィリスは目ん玉が飛び出すような勢いで、吃驚仰天した。




「「「うえええぇぇ!!!??お前が、あの情報屋ぁぁぁぁ!!!!??」」」




 その大声のおかげで、少々サキの耳が痛むことになったのは、本人のみぞ知る事実である――。





 ―――――――――――――――





 そして、決戦の幕が開けてから時間が経ち、サキは魔力を溜めつつ、キロ・グランツェルに渾身の一撃を与える――その機会をじっと伺っていた。


「お前の魔法は、どうやら〝特殊操作系〟のようだな…。対象を自在に操れる、特異的な力。だが、なぜそれが俺に効くのか、理解に苦しむ…」


 キロは掠り傷程度の怪我にも満たない浅傷をさすりながら、今一度冷静になって私を分析しだす。

 回復力に関しては、流石勇者と言ったところだ。でも、イマイチ物足りない感が否めない。

 いや、別に戦いを楽しみたいとかそういうんじゃなくて、本当に勇者なのかを疑うレベルで弱いから…。


「まあいい。もう、お前のくだらん魔法は見飽きた。言っておくが、同じ手は通用しねぇ。調子に乗るのもここまでだ!!」


 エクスカリバーを力強く握り、キロはこちらへ斬撃を放ってきた。

 軽々しく避けた矢先、無数の闇の手が奴の背から放出される。相変わらずの気持ち悪さに、顔を歪めてしまう。


「混沌に塗れろ!〝シャドーナイト〟!!」


 闇魔法を躱しながらキロに接近していた私は、不意に足元から底気味悪い魔力を感じる。すると、地面から勢いよく闇の手が触手のように飛び出し、胸元目掛けて伸び上がってきた。

 ちょうど私の()から…!?

 相手の影に干渉する闇の力に驚いたが、すぐに身体を反転させ、後方へ逃れる。


「チッ…それも避けるか」


 奴が狙っていたのは、私の心臓だ。不意打ちで即死攻撃を与えてくるあたり、少し勝ちを急いでいるようにも思える。余裕がなくなってきた証拠だろう。

 というか、何よりも怖いのがキロじゃなくて、奴が所有してる闇の方なんだよね…。

 動きを止めることはできるけど、ダメージを与える術は未だに分からない。寄生対象が倒れれば消えるとかだったら助かるんだけどなぁ。


「分かってんだぞ、マオ。お前が今、俺の不意を突くための機を伺ってることくらいな…」

「……っ!?」

「実の親に向ける殺気じゃねぇな…。そんなに心を壊されてぇか?」

「心なら、産まれた時から壊れてるっての…。でも、それを修復してくれたのがモナお姉ちゃんだから。あたしは、そんなあの子を少しでも汚したあんたを許さない」

「ああ、そうかよ。口でなら、何とでも言える。俺はそういう奴をごまんと見てきたからな」


 ちょっとちょっと、なに私無視してサキと話しこんじゃってんのさ…なんてね。寧ろ、自ら隙を作ってくれてありがとうと言いたいよ。

 

「お前の相手は私なんだけど?〝水爆〟…!」


 地面を強く蹴り、超速でキロの懐に入り込む。そして手元から水を生み出し、奴の胸元で大きく破裂させた。


「見えていないとでも思ったか?クソガキ!」


 喰らう直前で闇の粒子と化し、無敵状態になったキロに躱される。頬っぺたを膨らませ、ムッとした顔をしつつ、私は闇の粒子相手に攻撃を続けた。

 殴ったり蹴ったり。そんな単純な打撃が通用する筈もなく、繰り出す度、奴の高笑いが不愉快に聞こえてくるだけだ。


(さてと、次は掛からねぇぜ、クソガキ共…)


 胸の内でほくそ笑み、キロは粒子状態のまま、サキがいる方へ向かって行った。

 うっ、そう来たか!でも、こっちには…。

 指を()()()()掲げ、コンバートの構えを取る。しかしその仕草は、キロの目に十分届いていた。

 サキはというと、なぜか逃げようとせず、その場でじっと佇んでいる。ただ、キロから目を離さずに…。


「いくよ、サキ!〝コンバート〟!!」

「言ったろ!!俺に同じ手は通用しねぇってなぁ!」


 パチン!と指を鳴らす。直後、キロは身体を180度回転させ、人間体に戻り、私の居た場所に強烈な『黒炎』を打ち放った。


「〝暗黒の暁(ブラック・ドーン)〟…!」


 部屋の中央から端の壁際まで、巨大な炎の渦が突き抜ける。高く燃え上がり、立ち込めた熱風が周囲の温度を一気に上昇させた。

 ただの炎よりも、明らかに危険度合いが異なる勇者の闇魔法。街の時よりも容赦なく、本気で殺しにかかってきていた。


「クハハハハハ!!まだ生きてるよな、マオ!これからお前は、俺のために――」

「音速……」


 相手の作戦を逆手に取り、興奮しだしたのも束の間、キロはある違和感に気づく。しかしその刹那、奴の思考さえも上回る音の速さで、溢れんばかりの怒りの感情と共に、背後から『音撃の戦士』が迫っていた。


(まさか…!?)


 後ろを振り向く余裕もないだろう。だって、本気になったあの子の最高速度は、音速に迫るほど速いのだから。


 ――喰らいなよ、キロ・グランツェル!!


 心の中で怒気を漏らし、普段の気だるげな顔とは神以て異なる真剣な表情。その一撃に、どれだけの思いが込められているのかが一目で分かる。

 そんな音撃の一閃が、キロの背にヒットした。


「〝音響の衝撃波ビート・デストラクション〟!!」


 サキの中に眠りし魔力を全て音波に変えた、最強の音撃魔法。それを0距離で喰らい、とてつもない衝撃がキロに襲い掛かる。

 声を上げるも、誰にも届かない。音という概念そのものを変え得るサキの魔法は、一瞬の無音空間を生み出し、闇の異常な察知力をも上回る速さを見せつけた。

 無音である理由は、言わずもがな、キロの体内で桁違いの高音が駆け巡っているからだ。

 常人ならば、脳に障害を負うレベル。そんなピッチが、音速で体中に発狂不可避の刺激を与えている。

 

「ガハッ…!!!」


 目の焦点が定まらず、血反吐を吐くキロ。

 ざまぁない。と思いつつも、サキの全力攻撃に私も衝撃を受けている。情報屋として活動していた子供が、どう鍛錬したらあんな魔法が出せるようになるのだろうか。

 衝撃系の攻撃は闇に通用する。それを、私が序盤の攻防で明らかにしたというのも大きかったかもしれない(※第84話参照)。

 見事作戦通り、サキの大技をぶち込んでやることに成功した。


 種明かしは至って単純。コンバートをしなかっただけ。引っかかるかどうかがギャンブル並みの、付け焼き刃な策だ。

 まあ、相手はムキになってたし、「同じ手は通用しねぇ」って発言が良いフリになってて助かったよ。

 ちなみに私は、奴の黒炎を喰らい、壁まで押しやられていた。サキがやられたように見せたくて、ちょっと手を抜いてただけだけど…。

 でも、シールドを展開してたとはいえ、ここまで強力な魔法は久しぶりに被った気がする。冗談抜きで、生身じゃ危なかったかも。てか壁にぶつけたから背中痛い…。

 

「な…く、そ……て、テメェ……ふ、ざけ、やがって……」


 やがて、キロは地べたへ倒れ、うつ伏せ状態で身体を震わせる。


「ハァ、ハァ、ハァ……モナお姉ちゃん、あたし…や、やったよ……」


 力を使い果たし、サキもぺたんと座り込む。

 魔力を込めていた分も含め、反動は想像以上だったようで、かなり息苦しい様子。だが、心なしか嬉しそうにも思える。 

 しかしその顔つきは、徐々に恐れへと変わっていった。


「ああ…闇が、俺の闇が、俺に復活を促してくるんだ……。ハァ、ハァ…見ろ、テメェから受けた傷なんぞ、一瞬で回復していく…」


 倒れている時間など数秒にも満たなかった。血走った…いや、闇色に瞳孔を光らせ、キロはむくっと立ち上がる。

 なんという強靭さ。これぞ、勇者の復帰・回復力、そして闇の魔力を兼ね備えた奴の真骨頂なのだろう。

 ここまでやられるとは、露ほどにも思っていなかった――そんな動揺や焦りも見える。

 ついに本気を出すか。なら、こっちも…。

 そう思い、私は小声で、ある者の名を呼んだ。


「マオ、お前には心底失望した。つまらん神霊族のガキに感化され、その力を家族に隠し、ひそひそとこの機を伺ってたってか?ククク、甘いんだよ。見込みがなぁ…。俺を誰だと思ってる。少しでも俺に勝てるなどと思っていたことが、お前の敗因だ。もういいさ。俺に歯向かう奴は、皆殺しだ…」


 そう言って、キロがサキに手を上げようとした瞬間、


「……っ!!?」


 一筋の攻撃が、二人の間を割るように放たれた。驚いたキロは、その場から離れ、自身が放った黒炎の先を凝視する。


「ざ、斬撃…だと?」


 仕掛けてきた者に驚いている訳ではない。なぜその者から、強烈な斬撃が放たれたのか、理解に苦しんでいる様子。武器なんて、一つも持ち合わせていなかったのだから。


「アリア…ちゃん?」


 二人がポカンと見つめる中、何者かの声が聞こえてくる。




「ふわぁ~…ったく、呼び出すのが遅すぎるぜ。退屈過ぎて、寝ちまおうかと思ったんだからな~」




 男勝りな言葉遣いに反して、高音で可愛らしい声質。出会った当初は何とも思ってなかったけど、このギャップが良い味を出してるなぁと、少しずつ気に入り始めている。

 それが、この〝剣〟の最大の魅力であると、私は思う。自分が扱う武器の状態が知れるって、普通に考えたら凄いことだからね。

 なんて、黒炎を踏み歩きながら褒めてみる。

 燃え盛る火の海から現れる輝かしい聖剣。召喚状況としては、かなり見栄えがいいのではないだろうか。


「あはは…ごめんごめん、すぐに呼びたかったけど、サキの気持ちも汲んであげたくてさ」

「まあいいぜ。これから思う存分暴れられるからな~。どれ、そこの()()()()の長い鼻、アタシがへし折ってやるとするか!」


 お口が悪い…。まあ、アイツになら何言ってもいいけどさ。

 そう呆れながら、私はサキに一言告げる。


「凄かったよ、サキ!今の一撃、絶対後で効いてくる筈だよ。もう魔力ないだろうし、先にみんなと合流してて」

「え、えっと…分かったよ」

「こっからは、私に…ううん、私()()に任せて!!」


 訂正した私の言葉を聞いてか、聖剣にはめ込まれた水晶が嬉しそうに輝きを放った。

最後の描写まで書きたくて、長くなってしまいました…。配分が下手ですみません<m(__)m>。

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