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第1話 さらばっ!むっさいっ!男子町!

実際、男子校出身者としてみれば男子校は別にむっさくないです。

ただ、男臭いだけです。

それが町単位……テロですね。

第1話 さらばっ!むっさいっ!男町っ!

 

 突然だが、旭野朽は転生者である。


 容姿端麗にして成績優秀。

 生家は日ノ本国を支え続けた大貴族。

 そして何よりそれらに傲ることなく分け隔てなく人と接する姿勢。


 まさに完璧超人なのだがその実、彼は前世の記憶を持っていた。


 彼の前世については割愛しよう。


 なんの面白みもない出生。

 なんの面白みもない生活。

 なんの面白みもない最期。


 いたって普通な彼は今世こそ、欲望の全てを叶えるべく幼少期から努力した。

 それはもうすごい努力をした。


 親のつけた家庭教師。

 実家の使用人たち。

 学校の同級生、教師。


 吸収できるものはなんでも吸収した。

 結果、出来上がったのは……。


 完璧超人“旭野朽”である。


 順風満帆な15年。

 彼の予定通りすべてが順調に進んでいた。


 しかし、不満がないわけではない。


 それは彼の通っている中学校。

 それは彼の生活している実家。

 それは彼の親が治めている町。

 彼の過ごすすべての環境が……。


 (いや、むっさいわっ!!!暑苦しい!!)


 女気一つない彼の周囲の環境。

 それは意図されてのことだ。

 徹底的に周囲から女性を排除された環境。

 それは、この町だけの事。


 そう、この世界は男性の人口比率が全体の1%しかない貞操観念が男女で真逆どころか、女性の劣情がとんでもなく凄い……通称“あべこべ世界”


 男性は保護され、監視され、蝶よ花よと育てられ御国のために“精”を尽くさなければならい。

 とはいえ、ある程度の人権も確保されなければならない。

 機械につながれて無限に搾取される……なんてことは人道的観点から到底許容できない。

 それゆえに日ノ本国では男性保護法の元に政策が執り行われる。


 一つ、男児を妊娠した場合、保護者と共に生後15年間は男性保護特区にて生活する。

 一つ、男性は満15歳から能力の続く限り、月に3度精子を提供する義務を負う。

 一つ、男性は満30歳までに5人以上の2等親外の女性と婚姻を結ぶ義務を負う。

 一つ、男性はあらゆる税制度の対象外となる。

 一つ、男性は罪を犯さずその職責を全うする限り、月額100万円の給付を受けることができる。

 一つ、特に成績優秀と認められ、身体共に健康と判断された男性を“特定選別優良男子”に指定し国家指定の“特定選別業務”に従事する義務を負う。


 こんなバカげた法律がまともに通る。

 そして何より最後の条項である。


 朽はこの最後の条項にとんでもなく期待していたのだ……。

 むしろ、特選男子になるためだけに努力し続けたといっても過言ではない。

 むっさくて、暑苦しい環境で15年間抑圧され続けた朽の禁欲生活は、今日を持って終わりを告げたのだった……。


―旭野朽―


 長かった……本当の本当に長かった。

 せっかく、イケメンで金持ちに生まれたのに男子校ならぬ男子町にぶち込まれたが、それも今日までだ、特選男子にも選出されたし、これからはバラ色の……。


 「朽さん。そろそろ、出発ですよ。」


 背後からやわらかい声音で呼びかけられる。

 聞きなれたその声は耳を心地よくなでるような優しい声。


 「……母様。」


 そこに立っていたのは、今世の母親“旭野雅”(アサヒノ ミヤビ)だった。

 肩まで伸ばした黒髪を風にたなびかせながら、微笑む姿は異常なまでに様になっている。

 これが母親でなければ、連絡先を聞き出してあわよくばその先まで行っていただろう。


 「朽さん?どうしたの?体調でも悪い?」

 「いえ、少しばかり感傷に浸っておりまして……。」

 「あらあらまぁまぁ、やっぱり不安なんでしょ?」


 頬に手を当てながら物憂げな表情を浮かべる。

 いや、様になりすぎだろ!


 「いえ母様、15年生まれ育った町です。それなりに思い出もあります……。」

 「あら?お家でお勉強ばかりだったじゃない……。友達……いたの?」

 「……母様、それは言葉の暴力です。DVです。」


 まさしく言葉の刃である。

 確かにここ数年、“特選男子”に選ばれるために無我夢中で勉強し続けた。

 故に青春と呼べる思い出はここには一切ない。


 つまるところガリ勉状態だったが、それもこれもバラ色の高校生活を送るためである。


 「まぁまぁ。母親になんてひどい言いぐさ。でも、特区を出た後も私は母親。きちんと問題があれば報告するのですよ?」

 「えぇもちろんです。」

 「特に、朽さんにおいたをするメスなんていたらすぐいいなさい?旭野家の総力を結集して潰しますからね?」

 「……はい。」


 目のハイライトを消しながら呟くさまは本格的にホラーである。

 しかし、“おいた”バッチ来いである。

 そのために特選男子になったというのだ。


 ……グヘヘ楽しみだぜぇ……ジュルリ。



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― 新着の感想 ―
[一言] 人によるかもだが主人公以外の男性て義務が嫌でも天才とかでも凡人のふりをしてるとかありそう
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