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漆黒の花々 Ⅱ

北暦291年 

ケプラー日時 1月13日 09 :55

第2艦隊管轄グリーゼ防衛圏内 宇宙公道 第3コロニー建設宙域 方面



「アスト艦長、間もなく警戒宙域に入ります」


「よし、(ダミー)を撒け」


 アルキオネのカタパルトから複数の機器が射出される。


「本当にあんな物で敵が釣れるのでしょうか?」


 サラ副長は少し心配そうな表情を浮かべながらアストの隣でレーダーの表示を見つめる。 射出した機器は輸送艦と複数の護衛艦という形でレーダに表示されていた。


「フローレンスのお手製ダミーだ。それに前回の戦闘の影響でこの宙域には多くのデブリが舞っている。余程鼻が利く奴らでなければ近付くまで気付けない筈さ」


「だとよろしいのですが……」


 警戒心の高い相手には見え透いているこのダミー作戦に普段冷静沈着なサラ副長でも不安の色を隠せていない様子だ。

 

 それもその筈で、最悪相手は第13艦隊ディラン・マッカートニー大佐率いる5隻の戦艦を手玉に取ったCypher(サイファー)だ。


 こんな子供染みた作戦にそう易々引っかかる筈がない。


 だが、この表示されているものが相手からすると裏の取れている確定的な情報だとしたら話は別――


「心配はいらない。相手にはレーダーに映る情報以上に、このダミーが本物に見えている筈だ」


「――?」


「実は、俺たちがとんでもなく凄そうな物をこの宙域を経由して第3コロニー建設宙域へ運びますよーっていう情報を()2()0()()()()()()に報告している」


「第20艦隊? つまり前回の事件は第20艦隊が情報と警備の薄くなるポイントを流した……と、踏んでいるのですか?」


「一花が第13艦隊や今回協力してくれたガルシア指令官と裏で審議した結果、それがどうも濃厚だそうだ。 一応そうじゃないことも考慮して、敵を捕捉した際は第20艦隊にちゃんと一報を入れる」


「それでも前回の強奪事件と同様にダミーが襲われ、第20艦隊からの援軍が間に合わなかった場合は……」


「考えたくはないが……まぁ、そういうことだな。 これにCypher(サイファー)の連中が真っ先に掛かってくれれば多少はスムーズに事が進むんだが……」


 サラ副長の表情が気難しそうな表情へ変わり、腕を浅く組んだ。



――その後アストは 艦長席に座りしばらくレーダーの表示を見続けているとCICのメアリーから「一花指令から暗号通信です」と報告を受ける。


「送ってくれ」


 アストがそう答えるとすぐに解読済みのものが手元の端末へ転送される。



―――――――――――――――――――――



 ――ニューヘイヴン社製新型機の件――


 話の決着がついたわ!


 ホント、フロルといい そっち系の人 と話すと疲れる……


 初めは死に物狂いでも取り戻して欲しいとか言っていたニューヘイヴン社の重役も時すでに遅しという判断で奪還任務は無しになった!


 頭の固い企業の連中が今更になって突然意見を180°変えてきた真意は不明だけれど、新型の情報はなるべく残したくない、と言うような主張だったわ……


 つまりコンテナのセキュリティを突破して奴らが新機体を使用してきた場合は容赦無く落としていい。 とのことよ。


 その新型の詳細情報もこの暗号通信に添付してあるからパイロットのみんなには共有しといてね。


 で、主犯と思われるCypher(サイファー)に接敵できた場合は当初の予定と変わらず捕らえる方向で!

 

 こんなもんかしらね。簡潔で申し訳ないけどまた続報があれば連絡するわ!


 P.S. 特に心配はしてないけど、企業が絡むと途端にきな臭く感じる。

   気を付けてね。



―――――――――――――――――――――



 暗号通信で送ってきた割に文章がイマイチこう……もう少し引き締まった感じにできなかったのだろうか?

 

 しかしまぁ色々と簡単に言ってくれるなぁ……


 それにP.S.の心配はしてないけど、気を付けてね。っていうのは心配してるんじゃないのか?

 

 まぁ……いっか。 言われなくてもいつも通り無茶だけはしないつもりだ……



 アストは整備班の班長 ダナン特務大尉へ添付された機体情報を送信し連絡を取る。


「ダナンさん、今送った機体情報を早急に各DDへインプットし、パイロットたちへ速やかに確認を取らせて下さい」


『――了解した。 だが、この機体は?』


 ダナンは一瞬にして送られてきたデータが新機体のマニュアルだと悟り、整備士の悪癖だろう。かなり興味津々の様だ。



 そんなダナンにアストは軽くうなじを掻きながら溜息交じりに答えた。



「宇宙連合の身から出た錆……ってヤツですかね」

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