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護衛と奇襲 Ⅱ

北暦291年 

ケプラー日時 1月2日 11:30

アルテミス級 5番艦 アルキオネ トレーニングルーム


 

 DD部隊の7人は日課の基礎訓練を行なっていた。


「結局やる事は訓練生時代と変わらないの――ねっ!!」


 クリスは昨日サラ副長から厳しい指導を受け、その時の鬱憤をウェイトトレーニングにぶつけていた。


 補助装置付きのバーベルスクワットの機材が下ろした際に小さくカシャンと鳴る。

 

「――さっさと実戦経験を積みたいわ!」


「さ、最初は機体の調整をしないとだね……だ、だけどブラックブロッサムなんて機体、聞いた事ない……よね?」


 ルーナは隣で入念にストレッチをした後、自分も加重トレーニングを行う為、機材をセットする。


「どうせ、マイナー会社の安上がり機体でしょ?調整に相当手間取りそうで、ホント最悪」


「そ、そうなのかなぁ?」


「以前所属していたパイロットの人達もかなり古い機体に乗せられていたみたいだし、DD部隊のこと、あんまり考えないタイプの艦長なんじゃない?」


「わ、私はそれでも、優しい感じの艦長さんで嬉しいな……」


 クリスは「…………テキトウなだけでしょ」とつぶやいた後、離れてトレーニングをする銀髪の少女へ視線を移した。

 視線の先の彼女は2人の会話を気にも留めず汗を流し、淡々とトレーニングを続けている。


 そんなヴェルルにクリスが「ねぇ」と話し掛ける。


 ヴェルルは「――なに?」と返事をしウェイト器具をそっと降ろす。


 

 修羅場の様な空気が漂うトレーニングルームの入り口にアストは身を潜めていた。


 ――危ね……危うくこの空気の中入って行くところだった……喧嘩だけはやめてくれよ?



「訓練生時代、特に目立ってもいない貴女が、どうして配属された途端に専用機まで与えられているのか不思議で仕方ないのだけど?――私達に隠している事、あるよね?」


 

 彼女の隠し事、それは俺も是非聞きたい。


 あの機体を操るヴェルルは何か特別な少女なのかと思い、訓練生時代の資料を見たが、普通の――いや、普通過ぎる少女だった。平均的で機械的な成績が資料には記載され、個性など微塵もなかった。


 まぁ、考えるまでもなくサクラメント・エレクトロニクスが関与しているのは明白だが……



「私は……士官学校の訓練も試験も真面目に受けたことが無いから……」


「??――それってどういう」



「正規軍人のお二人、今は真面目に基礎訓練をやりましょうね」

 ジョセフィーヌが少し険悪なムードの2人の仲裁に入る。



 ありゃ、もう少し話を聞きたかったが、止めてくれたのは正解だ。


 個人的には時間を掛けて、2人の様子を見たい所だが、今回の様に啀み合っていては(一方的だが)クルー全体に悪い影響が出かねない。早急にヴェルルとクリスとは面談をした方がいいだろう。


 アストは コンコン と既に開いているトレーニングルームの扉をノックし、自分へ注目させた。


「トレーニングお疲れさん。昼食の後、各自機体の調整をしてくれ。ヴェルルとクリスは今から艦長公室へ同行するように」


 クリスは一瞬嫌そうな表情をした後「――了解」と言う。

 一方ヴェルルは表情を変える事無く「――了解です」と言った。


 ここまで対照的な2人の相性はそもそもあまり良くないのだろう。だが戦場ではそうは言っていられない。

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