一頭見つけたら
首筋に刃を走らせて、勢いのままに殺し切る。
無力化出来さえすれば良いっちゃ良いんだけど、足の踏み場は欲しいから隙あらば殺していく。
「――っんとに、数多いな……!」
悪態付いても敵は減らない。
と言うか、減らしても割とすぐに補充されるから、まだまだ掛かりそう。
「『サンダーボール』」
魔法を少し先に放って、同時に複数体と戦うのを徹底的に避ける。とは言え、実は今すぐ近くに2頭いるけど。
ボール系の魔法は実は、炸裂時に少しだけ周りも巻き込めるから足留めに便利だ。
「円環」
首と目をそれぞれ切り裂いて、けれどもどちらも絶命には至らない。
で、そろそろ魔法を当てたモンスターも寄って来そうなのでーー
「『纏魔斬』」
――斬法 円環・輪廻
円環の回転運動を繋げて、もう一閃。
眼前の2頭を斬り捨てて、直前まで迫ったモンスターへの対処に動く。
「『サンダーウォール』、『纏魔斬』」
突っ込んで来そうだったから壁を用いての足留め。それを即時飛び越えて、立ち止まった迷えるヒツジ達に、祝福を。
「村雨……!」
空中からの振り下ろしで、まず1頭。
振り下ろした姿勢から一気に、突き込む。
首に突き込んで、捻ってから引き抜く。
ついでに瀕死のヒツジを、更に迫り来るモンスターに向けて、蹴り飛ばす。
「ラピス、跳べ!」
追撃に行こうとした瞬間に、背後からサニーの声が掛かる。
タイムラグ無しで、思い切り地面を蹴る。
「『多重魔法』『ウィンドブラスト』!」
5発、3方向への暴風が、群がるヒツジ達を吹き飛ばす。私の方に、1。アンバーとハーフェン君の方に、それぞれ2。
サニーの使う『多重魔法』は、スキルレベルに応じた数まで、同じ魔法を同時展開できるようにするスキルだ。
今のサニーの限界値は同時に5個の魔法の同時発動まで。
なお、最初とは私たちの立ち位置も変わり、私、アンバー、ハーフェン君の3人で、真ん中のサニーを守る形となっている。
そう言う意味だと、出過ぎだったね。
それにしても、サニーちょっと余裕出てきたのかな? 態々威力の低い『風魔法』を使うってことは?
「サニー、問題は?!」
「MP!」
打てば響くとはまさにこの事。
とりあえず、MP用のポーションを後ろ手に投げ渡しておく。サニーの反射神経的に多分キャッチくらい余裕出来る。
私も私でサニーの魔法で余裕が出てきたから、隙間時間で周囲の確認。
私側は大丈夫。
後10。これくらいなら、追加合わせても余裕。
アンバーは、威力は兎も角小回りが効きづらいし、戦斧も刀とかほど斬撃性能が高い訳じゃ無いから、苦戦気味か。
横薙ぎで、寄せ付けないようにはしてるみたいだけど、撃破が遅い。
ハーフェン君の方は、小回りが利いても、今度は攻撃力が足りて無い。
首を切っても、刃渡りと威力の問題で殺し切れていない。なお、無力化もあまり出来ていない。
アンバーよりも危ないかな。
「サニー! 二人と自分に専念!」
「了解。そっちは……?!」
相も変わらず反応が早くて何より。
そして、私のやる事は決まっている。
「――最速で、潰す」
――歩法 迅雷
サニーの援護射撃は私の方には、来ない。
だから、現状1対10なんだけど、まあ、やり方は簡単だね。
「『サンダーウォール』」
保険として、背後に魔法を展開しておいて、私は正面からヒツジたちに突っ込む。
「『纏魔斬』!」
――斬法 伐刀
正面に居る奴らを一思いに切り裂いて、3頭を沈める。
――歩法 閃刃
振るったエネルギーを移動に費やして、側面に回り込む。
その際に、柄から手を離して、右手一つで刀身を持つようにする。
――歩法 隘路
側面から身体を捩じ込んで、一気に駆け抜ける。
左右のヒツジに刃を滑らせて、動きを止める。
刀身を持つことで、刀の回転を上げた。
剣術的には刀身を掴むこと自体が、普通じゃないけど、これは偶に使い所が出る。
例えば、単位時間あたりの攻撃回数の多い敵の攻撃を防いだりとかね。
「『サンダーボール』『サンダーランス』」
身体を反転させながらのバックジャンプ。
加えて魔法を連続発動して、更に2頭仕留める。
さあ、ガンガン行こう。
これから、アンバーとハーフェン君の応援に行かなきゃなんだから。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
ゴキはラピスが気絶する。




