克服完了
「終わっっったぁーーーー!!」
イノシシがポリゴン片へと還った瞬間、私は叫びとともに大の字に倒れ込んだ。
……あ、納刀すらしてないや。
『乙』
『スローター単独討伐いなかったのね』
『↑それ正確には、適正レベル以下での単独討伐なんだよ』
『初耳。良く考えりゃそりゃそうだけど』
『戦闘以外で叫ぶの稀では?』
単独討伐の難度は完全に、基礎的な能力の差によるものだからね。
それを埋めてしまえば、後は消化試合だ。
当然、レベル制限は掛かる。
「……はあ、寝たままだと納刀しにくい。…………よっとぉ」
動きたくないから、納刀も寝たままやったが、ぶっちゃけ後悔している。やりずれぇ。
『いや、雑』
『行儀悪っ』
『起きた方が楽だろ、それ』
いや本当にそう。
面倒だけど、起きるか。
「起きるのも億劫なの本当に嫌だな。老後が心配だよ。……成果確認しますか」
特に私の場合、脚を動かせないから余計にね。
まあ、今気にしても仕方が無い。
システムウインドウを開く。
『さらっと嫌な事言わない、そこ!』
『何事も無いノリでウインドウ見出すなや』
『成果気になって仕方が無いのね』
そこ、煩いよ。
……スキルとかは、ただレベルが上がっただけか。
――ええっと、ドロップアイテム…………
「――んんっ?!」
とんでもないことになっている。
『どうしたどした』
『何を見たんだ』
『またレアアイテムか? そろそろ慣れただろ』
「ストレージがイノシシのドロップアイテムだけで5割埋まったんだけど……」
私特化型では無いにしろ、割合とSTRは高いはずだから、その分持てる重量も大きいはず。
だと言うのに、それでも5割って…………。
『期待が膨らむやつだ』
『あっ……』
『察した』
『待て待て、何かいる』
「察してる人何人かいるだろうし、ちょっと見せようか。――はい」
他者からでもシステムウインドウが見えやすいように角度を変える。
そこに記されているのは、ドロップアイテムの中で、特にストレージを圧迫した元凶。
――――――
ブラウンボアの肉 ✕ 125
脂肪が殆ど無く筋張ってはいるものの、栄養価は高い。
一般的にスープなどに用いられる。
――――――
なお、テリトリアル・ブラウンボア・ボスからのドロップだけである。
やつより前にも、イノシシ狩りまくってたから、実際に持っている量はもうちょっと多い。
「――多いよ! なにこれ、この量どうしろとっ?」
私ゲームの中じゃ料理できないから、自分で消化出来ない。
そもそも量的に消化できないけど。
街にいる料理系の人にでも売りつけよう。買い叩かれても良いや。
『草』
『そりゃ重いわ』
『このゲーム肉アイテム自体がデカいしな』
生肉が重いのは周知の事実だけど、それだけじゃなくて、WJOの肉アイテムって一個1kgブロックなんだよね。
だから、私は軽く125kgの肉を一戦で得たと。
現実でなら2〜3頭で妥当な数字かな。
確か、家畜類の食べられる肉の重量割合は、体重の5〜6割位だったはずだし。
まあ、倒したの4m超えの化け物だから、全然足りていないんだけどね。
「あとは、皮(大量)、牙(デカい奴二本)、骨 (いっぱい)とかだね」
そう言えば、ボスの通常討伐報酬と、初単独討伐報酬を確認してなかったな。
「――ええっと、ちょっと待ってね。今討伐報酬とか探してるから」
『ドロップとは別枠か』
『このゲーム、討伐報酬でエクストラ装備とかあるし、かなり重要』
『またエグい物でしょ?』
『本人も否定出来なそう』
言いようよ。もうちょっとオブラートに包め。
否定できないから。
「……お、あったよ。通常討伐報酬が『テリトリアル・ブラウンボア・ボスの心臓』。何かヤツの素材で装備作る時に、一緒に用いると性能が上がるんだって」
これ、牙とかとも一緒に使えるのだとしたら、かなり便利だね。
『うわ、本当に凄い物が出てきた』
『地味だけど、かなり有用』
『こういうので良いんだよ』
そうね。
追加のエクストラ装備が来てたら、流石に私でも心臓が保たない気がする。
……ん? あれ…………?
「単独の方で、もう一個心臓来たんだけど?!」
『いや、草』
『嘲笑う他無い』
『漢字ェ』
心臓二つってどうなの?
まあ、ネタにはなるか。
ちょっと心臓二つあるの想像したら、構造が凄いことになりそう。
…………籠手とすね当てにでも使うか。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
これで、二章は終わりです。
次回から三章になります。




