リベンジ Ⅲ
ボスイノシシのHPが5割を切った。
ボスのHPゲージは一本なれど、それでも行動パターンやらの変化やバフなどは存在する。
そのバフの方向性は、未だ解明されていない。
要は、今回のイノシシの変化がどういうものか私には全く分からないという事だ。
情報も調べても出てこなかったし。
イノシシの毛が逆立ち、仄かに光芒を残す。
「へぇ……。怒髪天を突く、って所かな?」
怒りに身を任せるっていうのは、スローターボスのコンセプト的ににも合っているから、攻撃アップとかが無難だよね。
後は、防御アップとかもありそうだね。めっっっちゃ嫌だけど。
「――――」
後ろ足で地面を引っ掻くようにする事数回、動きが止まる。
こっちも備えはするけど、今後は何をしてくるか全く分からないので、あまり意味がないかもしれない。
一度緩んだ集中を再度締め直す。
ここからが本番なのだから。
「――――!!」
一歩イノシシが踏み出す。
その走りは、先程よりも速い。
大体1.2倍位かな。だとすると、他の要素もあるだろうな。
向かってくるイノシシに合わせて、飛び退るように横に逸れる。
構えるは、敵の力で敵を斬る一刀。
――斬法 裂止
イノシシの速度も相まって、かなりの切断性能を誇る。
けれど、その一撃はイノシシの毛皮にすらも刃が通らなかった。
それどころか、反動で弾かれる始末だ。
「――ハハッ、本当に硬いね…………!」
この硬さをぶった切るなら『纏魔斬』に頼る他ない。
まあ、これが通用する可能性もあるけど。
突進のほんの少しの後隙きに、身体を懐まで捩じ込む。
「シャアァァッ!」
――撃法 砕氷
対物攻撃なら、防御力が上がったとしても――!
ゴッ、硬い音が僅かに響き、イノシシの身体が少しだけ揺れる。
けれど、HPは全くと言って良い程に減っていない。
イノシシがこっちを向いた。
その瞬間、イノシシの周りに6つの石礫が発生する。
土魔法が迫る。
でも、たったの6なら、対処は簡単だ。
――歩法 隘路
4つまでを間を縫うように避ける。
でも5つ目を避けながら、6つ目まで避けて、即時の攻撃は困難だ。
なので――
「『対魔斬』!」
仄かな赤の軌道で切り裂いて、一歩地面を踏みしめる。
――歩法 迅雷
体重までも推進力に変えて、一気に突き進む。
イノシシは再度前脚を振り上げた。
地面からのスパイクが来る……! それは私の未来位置を狙っている。
――歩法 虚空
瞬間的な減速を挟んで、予測されていた位置からずれる。
再度加速して、振るわれる首をスライディングの要領で回避する。
「『纏魔斬』!」
刀に青い光を纏わせて、スライディングと同時に顎下を斬り裂く。
けれども、その程度のエネルギーでは大したダメージとなり得ない。
地面に着いた手を起点に身体を旋回させる。
そのまま、脚が着いた瞬間、手での押し出しをも加速に用いる。
――歩法 狼追
加速した瞬間、手を地面から離す。
イノシシから先程と同様の石礫が今度は5つ放たれる。
その一瞬後に、追加で3つ。
私の進行方向を覆い尽くすそれらは『対魔斬』では対処不可能だ。
一撃ごとに効果が無くなってしまうスキルではどうしようも無い。
――だから、
「ここからは全力だよ。『思考加速』」
エンジンを一気に吹かす。
思い切り加速する身体と心。
私の全力全開、篤と味わえ。
手始めに魔法をどうにかする。
「『Function:Machine Blast』」
細かな情報はいらない。
今必要なのは、着弾順と軌道だけ。
後は最後に全てを何とかする速度のみ!
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