レベルとスキルを
「それで、私は何に付き合わされてんの?」
「アップ、かな……? 魔法の威力強くないと緊張感が無いからさ。すごい助かる」
私はリベンジを誓った数日後、朝一でゲームにログインして、サニーを巻き込んでウォーミングアップをしていた。
内容は簡単。
サニーが放った魔法を、私が動きながら『対魔斬』で対処する。
一応試合形式にしていて、サニーは動く私に当てられたら、私はサニーのMPが尽きるまで無傷だったら、勝利となる。
……のは良いんだけど、サニーは私達と別行動中のあれこれでMP値が凄いことになって『ファイアボール』ならかなりの回数連射が可能で、私も私でこれまでのWJOでの戦闘で勘が少しずつ戻ってきた関係で、対処能力が戻った結果、全然決着が付かない。
と言うか、サニーのMP本当に凄いことになっている。
確か、最初期から持っているスキル『魔力強化』が進化して『魔力大強化』になった。
その結果、MPの上昇はそのままに魔法火力が向上した。
追加で、ゴブリン戦の時には持っていた『魔力制御』も進化して『高度魔力制御』になった。その結果、元々魔法発動時に使うMPの量を多少調節できるスキルだったのが、調節可能範囲の上昇と共に、MPの回復速度が上がった。
更に、最近取得したらしい『魔力生成』のスキルによって、魔力回復速度が更に向上したらしい。
MP回復用のMPポーションなどの回復アイテムは、HP用の物程激的な回復速度を持っていない。
その為、火力がMPの使用量でなんとかなるのなら、MPの回復にスキルを使うのだとか。
火力面が足りている理由は、ジョブにもあるらしい。
スキル同様ジョブもある程度の熟練度に至ると、上位のジョブが開放される。
まあ、確認したら、《侍》の上はまだ先だったけど。
確か私が60レベルになったら開放、だったかな。
兎も角、サニーの新しいジョブは《魔炎究者》である。
――――
《魔炎究者》
特に、火系統の魔法の性能を追求し続ける者。
効果:INT+20% 物理系ステータス−20% 火系魔法の威力+5%
条件:INTが60以上で、ボーナスポイントの全てをINTに振る。
――――
条件がエゲツないが、その分効果はかなり強い。
言ってしまうと、極振りという半分位変態行為限定での効果だから、まあ、妥当だとは思う。
兎も角として、順調に強くなっていっているサニーに比べて、私はどうだろうか?
割と適当にスキルを取ったりしてるしな。
リベンジなんて言う位だから、レベル上げも兼ねて色々考えなくちゃな……。
そんな感じの事をウォーミングアップの後に相談してみると、
「ラピスは既存のものの強化で良いでしょ。一応、遠近の攻撃手段は揃ってるしなぁ……」
「一応についてはツッコんだほうが良い?」
確かに『雷魔法』の使用頻度低いけどもっ……!
既存の強化とは言えなぁ……、速度は一旦足りてるし、STRかDEXの強化は欲しいけど、今のままだとそれじゃリベンジに足りないし…………。
「悩んでるねぇ……」
「邪悪な笑みを浮かべながらの台詞だと思うと、人柄を疑いそうになるから、止めよう?」
意地の悪い幼馴染みだよ。本当に。
そりゃ悩むさ。
正直な話、短時間のステータスバフとかは嫌なんだよね。
感覚がズレる。
『思考加速』は上昇幅が決まりきっているから、特に問題はないんだけど。
スキルとかですぐに上昇量が変化されると、やりにくくてしょうがない。
「んー、じゃあ、一個ゲームの先輩としてアドバイス!」
「…………アドバイス?」
確かに、私がゲームをするようになった切っ掛けは日向に他ならない。
昔から付き合う形で、色々なゲームをやってきたけど、WJO程やり込むことになっているのは、未だ一つも無い。
だから、私がゲーム初心者に近いのはそうだろう。
全く関係ないけど、私よりも日向の方が誕生日は先だから、人生に於いても先輩だったりする。
まあ、半年の差も無いけど。
「ラピス、ここはゲーム。いくらVRが現実に近づこうと、そこに現実の問題が絡んでこようと、今やっているのは、ゲームだよ。一回現実での戦闘を忘れて考えてみな」
にしし、と歯を見せるその笑みがとても印象的だった。
昔は良く見せていたその笑みは、歳を追うにつれて減っていった。
何か懐かしくもあり、ずっと見てきたようなそんな感じがした。
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