リベンジに向けて
「この度は、申し訳っ、ありませんでしたぁ!!」
初手謝罪。
配信者としての最強の一手(日向談)。
配信開始3秒でそれを決める。
『オッケー、落ち着け』
『剣幕が凄い』
『耳がぁぁ!!』
『腰90度超えとるww』
『誰かの入れ知恵か? 誰だろーなー(すっとぼけ)』
あ、ヤベ。音量考えてなかった。
「ええ……、先日私ラピスは配信を急に切り、そのまま約一日音信不通になるという配信者として、不適切な行動を取りました。謹んで謝罪させて頂きます」
あの時程寝続ける事って中々無いよね。
漫画とかで起きて、時計見て、びっくり! とかあるけど、実際に体験することになるとはね。
『あ、はい』
『倒れたんはしゃあない』
『ちょくちょく発生することにそんな謝罪されても……』
『アンバー氏のSNS上での発言知ってる?』
大体許された、かな……?
でも、アンバーのそれは何?
ちょっと確認するか。
………………うん。怒るに怒れない。
「……はぁ……、何故吐いた事までかいたのか……?」
どうしてさ、一番さ、知られたくない事を世に出しちゃうかな……?
『あ、マジだったのね』
『ラピス強靭のイメージがあるのに』
『サニーからの人だね、分かります』
「マジだったね。後サニーが話に出すようなことは、基本的に日常的に起こることじゃないからね」
たまに起こる何かに対したものだったりで、それが日常だとは思われたくない。
前にハーフェン君が言及していたローション事件だって、あれっきりだ。
他の液体まみれにされたことは別にあるけど。
『一時期、ニッコニコで殺意付きの木刀ぶんまわしてたのは?』
『出掛ける時に、服が変じゃないか矢鱈と確認してたのは?』
『その他乙女ムーブの数々は?』
『プライバシーのカケラもねぇ』
あ、はい。ごめんなさい。プライバシーなんて無いみたいだね。はっはっは、あいつ殴る。
分が悪いから、話を逸らそうかな。
丁度進行しなきゃだったしね。
「まぁ、兎も角、話を進めるとしてさ、件のトラウマの元の巨大なイノシシにリベンジしたいなって思います」
企画としても、強いでしょう。リベンジ戦って。
企画以外にも、私も区切りを付ける必要があるからね。
『前は戦ってもいなくね?』
『出た負けず嫌い』
『サニー呼ぶの?』
耳に痛いですね。戦う前に轢かれましたよ、ええ。
「リベンジしたいとは思うんだけど、今回は一人でやりたいな。……まあ、その前に鍛えないとだけど!」
調べた限り、件のスローターボスであるイノシシーー正式名称 テリトリアル・ブラウンボア・ボス(びっくりするくらい名前まんまだよね)のレベルは、40。
対して私のレベルは、現状34で、まあ、足りないよね。
『修行パートですね』
『武術家としてのあれこれ見たい』
『この人、ずっと実戦だから、一回型の調整とかしないのかな……?』
『まさかの修行』
……ああ、そっか。
今まで剣術納めてたことは言っても、具体的なあれこれは特に何もしてなかってね。
丁度良いから、やろうか。
__________
と、言うわけで――
「ハーフェン君、突然ごめんね?」
「いえ、構いませんよ。特にやることも無かったので」
『ハーフェン氏だ』
『唯一の常識人枠だ』
『ラピスも常識はあるだろ。行動が逸般人なだけで』
『逸般人は草』
湊君を招集した。
アンバーでも良かったんだけど、太刀上流としてのあれこれなら、ハーフェン君の方が説明しやすいし。
琥珀は直系ではあるけど、技の多彩さはあんまり無いし。
あと視聴者さん達、覚えとけ。
「宿題とか大丈夫?」
「大丈夫ですよ。アンバーちゃんと夏休み前に終わらせてあります」
アンバーが、いくらゲームを人質にされてたとしても、宿題を殆ど最初で終わってたのは、この子のおかげか。何かお礼しなきゃかな……?
『ぐう有能』
『保護者枠だったか』
『この子、優秀よね』
『ラピスとかで霞むけど、かなりのハイスペック』
「――お、良かったね。ハーフェン君、かなり褒められてるよ」
「いえいえ、足りませんよ、まだまだ」
うん、謙虚だね。
人柄が出るね。君、本当に良い子。
家の子にならない?(意味深)
「まあ、本人が足りないと思うなら、それでいいとして…………、まずは流派の基本的概要から話そうか」
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。




