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Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
消失を力に

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復想

クリスマスですね。

番外編も何もありません。

物語の中は夏休みなので。

「――――ァッッ!!」


 激痛。

 不快感。


 あらゆる負荷がかかって身体が殆ど動かせない。

 かわりに迫り上がってくるのは――


「――ゔううぅっ…………!」


 強烈な嘔吐感。

 今すぐにでも、胃の中身をぶちまけたいけれど、身体が動かないから起き上がることも出来ない。

 そんな状態で長く保つ訳もなく、決壊する。


「――お姉!!」


 吐く寸前で、琥珀が扉を蹴破るように部屋に飛び込んでくる。

 琥珀の存在で、一瞬、ほんの一瞬だけ吐き気を忘れた。


 琥珀が歩法まで使って、私の元にやって来る。

 その手には、部屋の隅に置いてあるゴミ箱があった。


 琥珀が優しく、されど迅速に私の起き上がらせる。

 その動作と安心感からか、すぐに私は、胃の中の全てを吐き出した。



 ________________




「………………ごめん、ね。琥珀」

「ううん、大丈夫。お姉は寝てて。ご飯とかは心配しなくて良いから」


 一番に言うことがご飯って……、全くもう。


「うん。……今日はカップ麺とかで我慢してね」


 お願いだから、レトルトとかやらないでね。

 すぐに事故起きそうだから。


「……はぁ…………」


 ぱたり、と頭上に持ち上げていた腕が落ちる。


 頭痛はもう無い。

 何故かは不明。記憶が戻ったかと言うと、否なのだ。

 これが良く分からない。

 未だ私自身が認識できていないのか。それとも、記憶を封じ込めていたのではなく、断片的にしか残っていなかった(・・・・・・・・)のか。


 吐き気も無い。

 頭痛とは違って、一度全部戻したからかな。多分だけど。

 何だろう、理由が酷い。


「はあ……」


 もう一度ため息を吐き、ごろんとベッド上で身体を回す。


 もう寝てしまおう。

 明日はご飯作りたいし。


 今日は疲れた――――



 ________________




「――悪かった、瑠璃。あれ(・・)以来、一度もまともに会えなくて」

「大丈夫だよ、寂しくはあったけどね。……でも、私もなんて声掛けていいか分からなかったし…………」


 気が付くと、悠真と並んで道路横の歩道を歩いていた。

 口からは、私が一切意識すること無く言葉が紡がれる。加えて言いたいことは言えない。


 その事から、これが夢――特に明晰夢と呼ばれる類のもの――なのだと分かる。

 一度似たような状況下の夢を見たことがあるからこそ、分かる。


 これは、事実(・・)だ。

 私は、この光景を知っている(・・・・・)

 過去起こったことの回想なのだ。


「ああ、いや、俺としても声の掛けようが無いな。……まあ、良い。それは置いておくぞ」

「口ぶりからすると、何か用事?」


 私の預かり知らぬ所で、会話(シーン)が進んでいく。

 身体も思うように動かない。

 眠る前の動けない状態とは違い、勝手に動いていると言った表現が正しい。


「そうだな。これを――」

「これは…………」


 彼の声を遮るわたしの呟き、その原因は悠真が差し出したものにあった。


「――ノート?」


 以前見た写真に映っていたものに良く似た、けれど、異なるノートがそこにはあった。


お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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