猪狩り
今日は、一人で第三の街の北側エリアに来ていた。
例に漏れず、配信はしてるから一人って表現が正しいのかは、要審議かな?
「昨日はね、部屋中の掃除してさ、引き出しの奥から幼き頃の琥珀からのお手紙とか出てきて、思わず掃除の手が止まりかけたよね」
『掃除偉い』
『あるあるだな』
『手紙取っといてあるの解釈一致』
『今日もシスコンですね』
『素敵ですねみたいに言わんでも』
手紙は皆見そうになるよね。
そして、シスコン発言はスルーしよう。…………否定、しきれないし。
まあ、良いや。話進めよ。
「昔のアルバムとかは精神的ダメージが凄かったね。お母さんとか鬼みたいだよ、色々攻撃力の高い写真を娘の部屋に置いておくんだから」
本当に、幼い頃とは言え、自分が涎垂らしながら琥珀にくっついて寝てる写真とか見たくなかった。
羞恥心的にもうボッコボコだよ。
『良いお母さんじゃん』
『寧ろ残ってることに感謝すべき』
『家アルバムとかねえわ』
『あれ、照れ隠しだな』
『隠せてない定期』
うるさいよ。…………まあ、良いお母さんだとは思うけど。
「そんなこんなで、今日は第三の街北側で八つ当たりしようと思います」
『八つ当たりの間違いだろ』
『以前はそれでダンジョンソロ凸とかしてたが……』
『公式でパーティ推奨してるとこに初日に行ったと思うと、イカれてるな』
『言わぬが花』
「いや、君たち本当にボロクソに言うね」
泣くぞ。
一切の否定が出来ないから余計に泣き喚くぞ。
流石に今日はダンジョンには行かない。
レベリングがしたい。
今のキャラクターレベルは、27。
今日中にレベル30を目指していこうかな? まだ上がりやすいでしょう。
MMOでも一応低レベル帯はまだ必要経験値少なめなはずだし。
と言うか、経験値とかって、5か10レベルごとに必要量が一気に上がる印象があるし。……WJOでもそうだと良いなぁ…………。
「――一旦発言は不問にするとして、このエリアの主な敵はイノシシらしいよ」
懐かしいね、あのクソ雑魚ナメクジ共。
始まりの街の北側エリアだったね。前に会ったのは。
前の奴らは、 ただ大して速くも無い速度――とは言え30km/hはあったけど(自然界のイノシシは40ぐらいらしい)――で突っ込んで来るだけだったけど、今回の奴らはどうだろうね?
まあ、一度戦えば分かるでしょう。
「なんやかんや言ってる間に、来たね」
正面10mにイノシシが一頭。
『識別』を発動する。
『ジブラウンボア Lv.29
属性:物理・打撃 』
……うん、純粋にレベル上がっただけに見える。
一応別のモンスターの扱いらしく、牙は伸びてるし、体長も少し大きい。
元々大きかったから、牙ほど顕著じゃないかな。
……あれ? 体長大きくなったから牙もその分倍率が上がっただけ?いや、少しは伸びてる、と思う。
「さて、どれぐらい強くなったかな?」
――歩法 滑歩
下半身で衝撃を殺して、上半身の揺れを限界まで抑えることで、相手に像を結ばせない歩法。
イノシシの真横まで速攻で入り込んで、まずは一閃。
軽く振るった一撃で5%程度の減少。
思ったより柔らかいね。
「プギィィッ!」
頭を振り上げることによる牙での攻撃を躱して、もう一度すれ違いざまに切り裂く。
刃を切り返す。
切り返した際の体のひねりはそのままに――
「せぇいのっと……!」
――撃法 膝押
ゼロ距離において、膝蹴りを叩き込む。
ただ体重が重いから、あまりノックバックはなかった。
でも、少しでも離れたのなら、一撃を練る時間が生まれる。
「伐刀!!」
力を大きく込めた横薙ぎを思い切り振り切る。
まだ殺しきれてはいない。
ならばと右手を柄から離す。
難しいけど、まあ、これはこれで問題ない。
「――ハアァァッッ!」
――斬法 鎧通
首元に突き込み捻りながら、引き抜く。
古流剣術は本来、刀を両腕で振るうことがメインであって、片手で振るうにしても基本的に右腕で振るう。
そもそも私も右利きだし、左腕で本来両腕用の技を振るうのはかなりの無理があるが、やってやれないことは無い。
『『刀』のスキルレベルが上がりました』
『『敏捷強化』のスキルレベルが上がりました』
『『識別』のスキルレベルが上がりました』
よし、どんどん行こうか。
イノシシのスピードがどうなったかは見てないけどね!
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。




