連携
割とバランスが良いパーティであることが発覚したところで、タイミング良く、スライムが飛び出てくる。
色は、緑。ということは、風属性に対応した奴か。
『グリーンスライム Lv.18
属性:物理・打撃
耐性:魔法・風 』
概ね想像通りの性能をしているね。
それじゃ、まあ、このパーティ初の戦闘始めよう。
まずは、私が飛び出す。
――歩法 迅雷
初動は私がタゲを得る。
一閃。まずは最初のヒット。けれど、然程HPは減らない。
でも、それで良い。それで十分だ。
スライムの突進が私に向けて放たれる。私は瞬間的に離脱。先程まで私がいた位置には、ハーフェン君が代わりにいる。
攻撃を躱すのは簡単だが、それではもったいない。この場には、私が知りうる限り、最硬の防戦能力を持つ者がいるのだから。
すなわち、モンスターを徹底的に抑える役割。それは――
「僕の役割だっ……」
ハーフェン君の小太刀が振るわれる。
刀の腹でスライムの勢いを殺しながら、突進を逸らす。
その真横を私が最高速で切り抜ける。
「――ふっ……!」
――斬法 烈止
本来私が停止して使うものだけど、まあ、刀身がブレなければ、それで良い。
そして、ハーフェン君の流水、私の烈止、それら二度の攻撃で、スライムの動きが止まった。
その瞬間を逃すアンバーでは無い。
「ゼアアァァアアッーー!」
――斬法 地嵐(戦斧Ver.)
一撃の元に叩き切る! アンバーの斧はスライムを地に縫い付ける。
瞬間、崩壊。ポリゴンへと還る。
…………うん。これ3人もいらないや。
まあ、でも、割と視聴者さん的には面白いんじゃないかな?
『ハーフェン氏、割と優秀』
『タンク系か』
『最近のラピスの動きに近い希ガス』
よしよし、しっかりと認められているようで、何より。
というか、良く見てるなって感心するレベルの人がいる。
「今個人的にすっごい驚いてる」
「何が? お姉割と感情の起伏激しいじゃん」
「否定はしないが、そこじゃない。いやね、ハーフェン君の動きが私のそれと近いって言ってる人がいてさ……、まさかすぐに分かる人がいるとは思わなくてさ」
太刀上流の人間が見ている可能性もあるけど、そうじゃなかった場合でも、その人はほぼ確実に武術経験者だろうね。
ハーフェン君の剣捌き、この戦闘以外で見てないはずだし。
「ハーフェン君の攻撃を捌く時の方法は、私が使っているそれと同じ。でも、実はこれアンバーは使えないんだよ」
「言い方に悪意がある。お姉とハーフェンが特殊であって、私達の流派の技じゃないし」
うん、まあ、私の言い方が悪かったね。
これは個人に教えてもらったものだからね、そりゃ太刀上流とは関係ない。
「この技は、僕とラピスさんの第二の師匠みたいな人に教わったものです。ラピスさんとの二人がかりでも倒せず、ぼっこぼこにされたのはいい思い出ですね」
「ハーフェン君はあれから凄い強くなったねぇ……。あの頃から迎撃は上手かったけど」
頭撫でたくなってきた。何と言うか、私にとって湊君って弟枠なんだよね。アンバーとの関係云々以前に。……こう、可愛くってしょうがない感じ。人を引き付ける何かしらを持っているというか……。
「ちなみに、私の姉であるラピスはその第二の師匠と言っても過言ではない人に3倍濃縮の下剤を盛っています。あの頃のお姉は、矢鱈と意識させられてイライラしていたのでしょう。それが恋心とも知らずに」
「アンバー」
「何ぃ? お姉がハーフェンのこと怪しい目で見てたから、ちょっと尺潰してただけなんだけど?」
「アンバーが思っているようなことじゃないよ。そもそも私年下はタイプじゃない」
何さらっと、語り口調で、人のこっ恥ずかしい話を言ってくれちゃってるのかな?!
覚悟はできてるんだろうな? 今日も冷蔵庫には十分んなピーマンとナスがあるよ?
『勝手に否定されてるハーフェン、カワイソス』
『おやおやこれは……』
『おけ、把握』
『この姉妹分かりやすいな』
ヤバい、笑いそうになる。アンバー全然隠せてない。
「アンバーちゃん、ラピスさんが僕を好きになる訳無いじゃん。だってラピスさんだよ?」
「ハーフェン君、そんなに怒られたいの?」
「ストライクゾーン、全人類で最も狭いからね、お姉」
「お前もか」
君たち、そこに正座しなさい。
お説教、3時間コースね。
「ラピスさん、小学生が察せるレベルだったとだけ言っておきます」
「…………ぐぅ」
ぐうの音は出た。
『感情隠せないの割と武芸者として欠陥では?』
『↑大問題だな』
『年下に言い負かされてるのウケる』
『なぜこんなネタだらけなんだ、こいつ』
君たちも説教してくれる!
まずハーフェン君は、今日家で晩ご飯食べようか。話はそこからだ。
お読み頂きありがとうございます。
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