バランス
祝総pv数100,000突破!
「――という訳で、今日はゲストがいますよ!」
開口一番言い放つ。
テンション高い? 正直な話、かなり振り切れてる。
『説明プリーズ』
『という訳で、は前に何かしら無いと使えんのよ』
『いつもより元気』
『自棄?』
「いや、酷いな。私が自棄でテンション跳ね上げるとでも思ってるの?」
まったくもう。
自棄なの否定できないけど。ねえ、諸悪の根源?
という訳で、は接続詞的に用いるものだから、確かに前文とかが無いと使えないね。私のなかでは、前の部分あるから、脳内だけでならイケるな!
…………真面目にやるか。
「取り敢えず、私のあれこれについては一旦保留しておいて、早速ゲストに登場してもらおう」
私は、片腕で方向を示しながら、己の身体の向きも変える。
配信用のカメラ(的な水晶)もある程度自立して動くとは言え、私が動きながらの方が制御しやすい。
兎も角、私が示した先にいるのは、勿論。
「ラピスの実妹、アンバーだよ。ちょっとお姉の手柄奪いに来た」
「出来るならどうぞ? 今日のお姉ちゃんは割と強いぜ?」
「どうしたの? 今日のお姉、ちょっと可笑しいよ?」
『い つ も の』
『ラピス氏、妹にも「可笑しい」』
『この子、友達いないんだろうなぁ……』
可笑しいの誰のせいだと……! 元はと言えば、お前の惚気聞きすぎたせいだというのに!!
ドサクサに紛れて、モンスターけしかけてやる。絶対に。
それと、視聴者共、も、とか、友達いないだとか失礼な。傷つくから、止めて。
「妹の処罰はおいておいて、もう一人」
アンバーの斜め後ろにいたその背を軽く押す。
――あ、こら。抵抗するな!
君の紹介なんだから、前に決まっているでしょう? ね?
「ラピスさんの弟弟子に当たります。ハーフェンと申します。本日は精一杯やらせて頂きます」
「なお、ハーフェン君は配信者などでは無いけど、一応保護者の方にこうして参加してもらっても大丈夫かの確認は取ってあるから、そこのところ気にしなくて大丈夫だよ」
「「――?!」」
一応気にする人いるかなって思って、ちゃんと説明を入れた瞬間、アンバーとハーフェン君が完璧に一致したタイミングで振り返った。それももの凄い勢いで。
え、何? なんか変なこと言った? 二人に伝えてなかったからそれかな?
「いや、アンバーは兎も角、ハーフェン君はご両親のどちらかから聞いているものだと思ってたけど……」
「…………あ、あはは、すみません。なんかイメージに無くて……」
ハーフェン君、それどういう意味かな?
今から、私の印象について、拷も――尋問しても良いんだけど?
「ハーフェン、もっと言っていいよ? お姉がそんな真っ当なことする訳無いって」
「おいこら」
「アンバーちゃん、そうは言っても、ね?」
君もか。君もなのか。お姉ちゃん(暫定)泣くぞ。
まさかそんな風に思われていたとか……。
「お姉が割とヤバいのは、この配信見てる人には分かってるから大丈夫だよ。耐性持ちの集団相手に突っ込んでいったりとかしてるし」
「…………」
「そっか。勝てないからって人の飲み物に下剤入れる人だし」
「――ちょ、それなんで知ってっ…………?!」
アンバーはあとでお仕置き追加するとして、ハーフェン君は本当になんでそんな事知ってるの? あれ効かなかったから、被害者しか知らないはずなのに!
『おま、そういうとこやぞ?!』
『どこで手に入れたそんなもの』
『さらっと外道ムーブすんな』
『弟弟子にも色々言われとるww』
『流石にどうかと……』
今では流石にやりすぎたと思ってるよ!!
「件の被害者の人が、盛られた後に、ラピスさんのポーチ漁って出てきましたね。3倍濃縮のが出てきて、ドン引きしてましたね。あいつ、いつの間にグレたんだって」
「効いてなかったし、バレたし、散々だな。というかなんで濃度まで分かっているのかね……」
「お姉、夜な夜な薄気味悪い笑い声上げながら、用意してたじゃん」
…………はあ。
因果応報とはこの事か。
『汚い』
『さらっとキレてるしww』
『寧ろ下剤盛られてキレないほうが可笑しいやろ』
『こいつひっどいな』
「ちなみに件の被害者さんは、対抗して下痢止めとか飲んだそうです。ついでに仕返しに適量ラピスさんの飲み物に入れてましたね」
「そう言えば、お姉が急にトイレに籠もった日あったなぁ……。凄いやつれてたけど、その日?」
「多分ね。確かその人『濃縮されているとは言え、用法用量を守らないと乱用になってしまうから、仕方ないな』って言って、きっちり記載されてた量入れてたよ」
オッケイ、あれ悠真か。要は、私は必要量の3倍で飲んだのか。
そりゃ、ああなるか。
自業自得だよ、完全に。でも、なんか効かなかったの腹立つ!
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「スライムって、何色いるの?」
「基本的な攻撃魔法属性分いるはずなので…………8種類ですね」
「なんでそんなカラフルかな……」
アンバーもハーフェン君も第三の街の前のボスであるキノコを倒してないから今日はスライム狩りとなった。
確か攻撃魔法は、今の所、火、水、風、土、雷、氷、光、闇か。8種類。これから、増えていくのかな? これ以上は目にイタイよ……。
「全部叩き切れば同じ!」
「アンバーちゃんならではですね。スライムは打撃に弱いので、僕やラピスさんに比べて有利だから、余計でしょうか?」
「いや、ハーフェン君。あれは性格的な問題」
斧は質量的にも、扱い方的にも打撃の要素があるのは確かだけど、あれは違う。
そもそもここにいる3人共、撃法っていう打撃攻撃の手段があるんだし。
ちなみに、対スライムでの有利なのは、アンバー>私>ハーフェン君の順。
アンバーは言わずもがなだけど、私とハーフェン君の違いは偏に撃法の威力。
ハーフェン君――湊君はもともと筋肉が付きづらいし小柄だから、格闘攻撃で威力を出すのが難しい。本人もそれが分かっているから、そもそも威力が出づらいけど、小柄な人には相性の良い小太刀を使っているんだし。
なお、小太刀二刀流での防戦を得意としている。防ぐというより、流水とかで逸らすのが上手い。相手の攻撃に対処するのなら、基本的に打刀とかより回転の早い小太刀の方が強いし。
彼の場合、そこに加えて持ち前の観察力とかで、徹底した防御を見せる。
ゲーム的に言うなら、回避系タンクみたいな感じ。
今思うと、今回のパーティは、回避タンクのハーフェン君に、遊撃よりアタッカーの私、完全攻撃特化のアンバーと物理に偏っていることを考慮しなければ割合とバランスのいい感じに仕上がった。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。




