Function:Semiauto Fire Ⅰ
連投開始!
タイトルの意味を考えながら、今回の連投中読んで頂けると、作者的には大満足です。
…………ちょっとした伏線は張ってありますし。
数m先のモンスターから火球が放たれる。
速度は、中々。20km/h位かな。これを剣で斬れって言うのは、剣道とか剣術とかやったことがない初心者の人には難しいと思う。……あ、野球経験者は割と出来そう。
「『対魔斬』!」
スキルを使って切り払う。火球は剣閃に沿って掻き消えて、僅かな熱のみが頬を撫でる。
グッ、と脚に力を込めて、大きく踏み込む。
「フッ……!」
――撃法 疾風
最速最短で彼我の距離を詰める拳を以て、敵の動きを止める。被弾による怯みって奴だね。こちらも体全体を使って放つ攻撃とかでは無いから、次の攻撃に繋げやすい。
一歩更に深く懐に身体を捩じ込む。
――斬法 鎧通
上体の捻りで至近距離から放つ突き技。本来刀を振るえない距離での突きは非常に強力なんだけど、あんまりそこまで踏み込むこと自体が無いから、出番がどうしても箒星とかに奪われるんだよね。
まあ、良いや。身体を反転させる。
そして、そのまま刀を肩に担ぐようにして、振り抜く。
――斬法 俵昇
この際、身体を回した遠心力を利用することを忘れない。
相手は自分から投げられるように動かないと、自重でより傷つくという、かなりエゲツない技。
鍛錬では一切使いようのない技だから、私も使ったのはこれが初めてだ。
今回は遠心力の掛け方がまだ甘かった。全身の筋肉を使うようにすれば、もっとキレが良くなりそうだ。
モンスターの身体を抉るように振るった刃を、残心の後に意味もなく血振りする。
ゲームなんだから、血など付着しない(ゲームによるかもしれないけど)のだから、本当に一切の意味は無いけど、偶にやってしまう。
理由は特に無い。
ちょっと格好いいからやってみたかったとか、そういうのは、無い。無いったら無い。
刀を鞘に納める頃には、とっくにモンスターはポリゴン片に還っていて、私の視界には戦闘のリザルトが表示されていた。
『レベルが上がりました。Lv.21ー>Lv.22』
『『刀』のスキルレベルが上がりました』
『『走破』のスキルレベルが上がりました』
『『対魔斬』のスキルレベルが上がりました』
対魔斬のスキルレベルは、現状3。このエリアでは魔法を使わない敵は殆ど存在しないので、レベル上げには丁度いいんだけど、ここで問題になってくるのは、MPの方だ。
先程レベル22になった私のMP最大値は、264。
そして、『対魔斬』の消費MPは10。
更にそこに、紺碧正近の『吸錬魔』の影響で紺碧正近の耐久が減るたびに強制的にMPを2消費する。
それを鑑みると、実質的に『対魔斬』の消費MPは12。
普通に攻撃もするから、一度の戦闘で使えて、20回位。これじゃちょっと心許ない。
勿論、時間経過によるMPの回復がある。けれど、それは2分でMP1の回復というかなり遅いもの。それじゃ戦闘中の回復は見込めない。
「……これは、次のスキルはMP回復系かなぁ…………」
MP回復用のポーションとかもあるけど、そういうのはHPのものに比べて高額なんだよね。私は、装備でお金かかって、現状金銭的余裕はあまり無いしね。
まあ、今考えてもしょうがないことかな。
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「――お、ボス見っけ」
鬱蒼と木々が生い茂る森の中で、一際目立つ場所があった。
確実にボスだと思う。通常のエリアとボスエリアの境界に設置されている石柱も見えているし。
でもねぇ、これだけは言わせて。
「キノコ多すぎて頭バグりそう…………」
石柱の周囲を多種多様、毒々しさすら感じる程にカラフルなキノコで埋め尽くされている。
ここのボス、マッシュ・マジシャン系ですって言ってるようなものでしょ。
『すんごいカラフル』
『不思議の国かな?』
『目が痛い』
『知っている限りの毒キノコが見えるんじゃが……』
『ボス、ネタバレ食らうの巻』
『ああ、ここかぁ……』
『最早キモい』
視聴者さんたちも、概ね私と同じ感想みたいだね。
ここは何ていうか、名状し難い?感じ。
「……何にせよ、行ってみないと分からない、か」
準備は万端。HP、MP共にアイテムを使ったりして全快している。装備の耐久とかも問題なし。
なら、後は脚を踏み出すだけ。
それが今回はしづらいんだけどね。
「ふうぅぅ……、行きますか」
一歩脚を踏み入れて、私はそこに入り込んだ。
そう、私にとって、死地になりかねない地に。
視界が一瞬白く染まって、すぐに色を取り戻す。
視界は、先程と同様に、カラフルだ。本当に悪趣味な色合いだな、と取り留めのないことを考えてから、視線を真っ直ぐに、ボスへと向ける。『識別』しながら、全体の様子を観察する。
『ポイゾネス・へディオス・マッシュ Lv.28
属性:魔法・水 毒
耐性:魔法・水 』
それらは、数えられぬ程多く。
それらは、各々触手の如く蠢いて。
それらは、全てから水が滴り落ちていて。
辛うじて分かるモチーフは、キノコであることだけ。
中央に大きな赤い傘の周りをエノキ風の見た目のキノコ。
そのエノキの一本一本が独立して動いている。地面に根を張っていて、恐らくそこから動くことは無いんだろうけど。触手だけで十分事足りるだろう。
ただただ――
「キッモ…………」
心の底からの感想。こぉれは無いでしょう。子供泣くぞ。ついでに私もあれに切り込むの想像して泣きそうなんだが……。
『マジトーンが過ぎる』
『もっと罵って』
『コンプラ的にこれ大丈夫なん?』
『触手プ○イというか拷問だろ、これ』
『クトゥルフ系ですね、ありがとうございます』
『SAN値チェックしとく?』
「SAN値チェックついでに帰りたい」
本当に殺りあいたくは無い。でも、これを潰さないと先に進めないわけで……。
こいつ魔法だけで何とかならないかな? 一応水属性みたいだから、雷は効きやすいはず。
「『サンダーアロー』」
一発撃って……、
「あ、これ無理だ」
HP1%位しか減ってないやぁ…………。
接近確定しました。分かっていたけど、本当に止めて欲しい。
「見なくても、攻撃全部分かればなぁ……」
残念ながらそんな特殊能力は無い。
いくら私の五感が鋭いといっても、流石に多数の攻撃を全て視覚無しで察知なんて出来ない。
それが出来るやつを私は人間と認めない。
聖徳太子でも多分無理。
――うっわぁ……、キモいぐらいぬるぬる動くね、そのキノコ。
………………………………凸ろう。さっさと視界から、この世から追放しよう。全てを。一片たりとも残さずに。灰も、根も、切り落とされた残骸も。一切を。
「ラピス、参る!!」(ヤケクソ)
――歩法 迅雷
最速で殺るために、最初から最期までトップスピードで。
レベルが、スキルが、上がるたびに速くなっていく私の速度は、最早並みでは無い。
向かってくる私に対して、敵は、触手を向けた。その数、大体15。
魔法を放ってくるつもりだろうか?
そう考えていたんだけど、敵は、撃ち放つかのように触手を伸ばしてきた。
「待て待てっ、それは無いでしょ!!」
キモいキモいキモいキモい――――
――歩法 閃刃
刀を翻して、咄嗟に射線を逃れる。
これ、私倒せるだろうか…………?
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
WJOは健全なゲームです。エロ展開にはなりませんよ?
クトゥルフ系の触手で興奮できる人は、もう知らん。




