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Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
消失を力に

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対魔の一閃

 正面から飛翔してくるのは火球。

 三時方向、九時方向から氷塊。

 七時方向、十一時方向から風矢。

 一気に五つの殺意が私に殺到する。


 一歩進んで射線から外れる。

 けれど、それで難を逃れたわけでは無い。

 更に多くの魔法が私を殺そうと牙を向く。


 私を付け狙っているモンスターの数は、総勢12。

 初日以降、私は集団の敵との接敵が増えたとは思っていたけど、流石にこの数は聞いていない。

 しかも、全ての敵が魔法を使ってくる。一体一体は魔法毎の間隔があるから、ずっと攻撃が来続けるわけでは無いんだけど、それでも毎秒飛んでくるとなると、難しい。


 割と本気で逃げているだけで、攻撃を挟むことも難しい。

 周囲をモンスターが囲んでいるから、接近するに出来ない。


 風、火、雷、水の魔法を自分の雷魔法で強引に迎撃して逸していく。

 土、氷の魔法は刀で防御して、少しずつ距離を詰めていく。

 まず狙うのは、正面の火魔法を使うマジックバタフライ。


 左後ろから飛んでくる水魔法を音だけで捉えて、『サンダーボール』で防ぐ。

 左右から飛んでくる魔法。正面のマジックバタフライは魔法発動まであと2秒。

 これなら、強引にでも崩せるか。


「……ふっ…………!」


 ――歩法 迅雷

 身体を限界まで倒すことで、左右からの魔法を回避すると同時に圧倒的な加速力を得る。

 AGIが跳ね上がり、装備重量も増した今の速度は、直線上では35km/hは下らない。

 原チャを越えた私を正確に補足してくる魔法が一つ。

 十時方向から飛んでくる風の矢。


 これ以上の加速は難しい。風蝕は出来なくは無いし、使えば確実に加速できる。

 でも、風蝕を使うと体勢がかなり大きく崩れる。

 体勢が崩れた状態では恐らくマジックバタフライを殺しきれない。


 なら、賭けに出るしか無いかな。


伐刀(ばっとう)!」


 ――斬法 伐刀

 右足を強く踏み込んで、思い切り横薙ぎを放つ。

 本来、固体では無い魔法は物理攻撃での破壊は出来ないはずだ。少なくとも試した時には出来なかった。

 でも、勢いを削ぐことくらいは刀でも出来るし、大剣や盾なら防御も出来る。

 ならば、正面からの全霊の攻撃なら、ダメージは減らせるだろうし、衝撃も利用出来る(・・・・・・・・)かも知れない。


 風の矢の先端を自分でも驚くほど綺麗に刀が捉えた。

 若干の抵抗。けれども、力任せに振り切る。

 すると、魔法は真っ二つに切り裂かれ、僅かな風を吹かせて、完全に消滅(・・)した。

 瞬間、視界の端に小さなシステムウインドウが現れた。


『規定の行動により、スキル『対魔斬』の取得が可能になりました』

 そこに書いてあったのは、新しいスキルのこと。


「――ッ?!」


 訳が分からなかった。でも、今が好機なのは確か。


 ――歩法 閃刃(せんじん)

 振るった刀のエネルギーを身体に伝えて、身体を動かす技。

 今回はそれを応用して、伐刀の遠心力をそのままに、身体を旋回させる。


 ――歩法 嚆矢(こうし)

 ゼロからの急激な加速。更に一歩、マジックバタフライの懐に飛び込むように入り込む。


地嵐(じあらし)!」


 正面から一撃で切り捨てる。背後から殺到する魔法の嵐。

 すぐに離脱して、付近の木を背にして、防ぐ。


 戦闘中ではあるけれど、マシになったとは言え未だ突破困難なこの状況をどうにか出来るかもしれないのなら、確認する価値があるというものだ。


 ――――――

『対魔斬』種別:アクティブ 消費MP:10

 使用後、一度だけ斬撃武器による魔法の破壊が可能となる。

 この場合、魔法の一部にでも攻撃が命中すれば、効果がある。

 魔法攻撃時に、スキルレベルに応じて攻撃力が上昇する。

 ――――――


「……これなら、行けるかも知れないね」


 無意識的に声が漏れた。


『これ取得するの確実にムズい奴でしょ』

『便利だけど、使うのもキツくね?』

『攻撃の威力によっては破壊できなそうではあるけど、かなり強力』

『この人のゲーム要素の発掘力凄いなぁ』

『↑やることなすこと可笑しいからでしょ』


 コメ欄も加速してるね。このスキルは新発見らしい。

 まあ、でも、それは無理がないかも知れない。多分だけど、『対魔斬』を取得出来るようになるのに必要な条件は、スキル無しでの魔法の破壊。スキルの説明から、魔法の特定部位に攻撃を当てれば、完全な迎撃が出来るみたいだから、それを考えるとかなり難しい。

 手に入ったからには、もうどうでも良いっちゃ良いけど。


「空いてて良かったスキル枠」


 音符が付きそうな程に、言葉が跳ねているのが、自分でも分かる。自分の戦力強化程楽しいことは中々無いからね。相手がどんどん強くなっていくのは、例え知り合い相手でも手放しには喜べないけどね。


 魔法の対処法を調べている内に、レベルが上がり、現在20レベル。新たなスキル枠が手に入ったけど、また保留にしてたんだよね。候補は『器用強化』か『隠蔽』っていう姿を隠しやすくするスキルとかだったからね。それだったら『対魔斬』を取るよね。


「『対魔斬』」


 発動すると、紺碧正近の刀身に微かに赤い光が宿った。弱々しくはあるが、僅かに揺らめいている様子が火のようにも感じられる。…………うん。中々綺麗。

 再度の魔法の乱打が盾にしている木を揺らす。

 いつまでもここにいる訳にもいかない、か。


「ぶっつけ本番の性能テストと行きますか……!」


 こんなことするのは私としては稀なんだけどね、まあ、なるようになるでしょう。

 魔法攻撃が止んだ一瞬の隙に飛び出した。

 瞬間的に敵の位置を補足する。

 敵の数は、先程から何故か減って、9体。

 それでもかなり厳しいことに変わりは無いけど、後は『対魔斬』の性能次第だね。


 一番近くにいるモンスターに突撃する。

 この際、迅雷や嚆矢は使わない。


 何度目か分からない魔法の掃射。

 私の走行速度に合わせて、未来位置を狙おうとしているのが、良く分かる。


 ――歩法 夢幻

 細かく加減速を繰り返して、相手に位置を誤認させる技。今回は、放たれた魔法の回避も兼ねている。


「――――!」


 正面からの魔法攻撃。属性は雷。

 丁度良い実験台だね。

『サンダーアロー』に合わせて、刀を振るう。

 僅かな手応え。その後に、切り裂かれる雷光。

 行ける。これなら、負けない。


 手始めにすぐ近くにいる奴を斬り伏せて、また他のモンスターへ突撃を開始した。



 ________________



「――いやぁ、一時はどうなるかと思ったよね」


 何とかモンスターたちを切り捨てた私は、ボスエリアに向かって歩きながら、視聴者さんたちとの会話に勤しんでいた。


『なぜあれで死なないんだ……?』

『新スキル裏山』

『剣士系必須レベル』

『習得難度よ』


「『対魔斬』はかなりいいスキルだと思うよ。多分後々出てくるバリア系も対処できそうだし。習得は……、知り合いの魔法使いさんに頼んでみれば? 飛んでくるタイミングと位置がわかれば、その分楽だろうし」


 なんで死なないのって言われてもなぁ…………。


「私、鍔競り合いの最中に顎に蹴り入れられたこととかあるし、意識外から厚さ5cmの材木へし折る威力の攻撃を食らい掛けたこともあるし。それらに比べれば、全然速度も攻撃のタイミングもなってないね」


 顎へのハイキックは痛かったなぁ。あれで一瞬意識飛んだんだよな。おっそろしい……。顎への攻撃で意識を飛ばす技、太刀上流に存在するから、人のこと言えないかな。対人とかじゃないと出番が無いから、まだ配信じゃ未使用だけど。

 …………あれ? 顎への蹴り(あれ)してきた人、一応太刀上流関係者だな。

 じゃあ、何? 太刀上流(わたし達)が恐ろしいの……?

 信じたくないことから目を逸らすためにコメ欄に視線を向ける。


『ヤバい人過ぎません?』

『どうせラピスの初恋トークだろ、これ』

『はいはい、ご馳走様』

『ラピスにそれが出来るってことは、その人最早何者?』

『殺意が高い』

『厚さ5cmって相当なんだけど……』


 いや、うん。合ってるんだけどさ。そんなに顔に出るの、私?

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。


基本的に、ラピスの初恋さんは人類最強になれるレベルの人です。経験を積めば、ですけど。

因みに、その人のモチーフはポケ○ンのメタ○ロス。

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