事前確認は大事。冗談ではなく
第十の街に大量のお酒を寄付してから暫く、副隊長さんに連れられてとある建物を訪ねていた。
「ここは……?」
「建物自体に何か仕掛けがあるわけでは無いのですが、衆目に中をおいそれと見せられないものでして」
え、配信しちゃってるや。
もう遅いけど、映像切ろう。
『事前確認って大事だよな』
『焦って消したな。音声は残したままなの?』
音声……も切ろうか。
建物の中には地下室に通じているように思われる重厚な扉。
魔法が展開される際に見られるMPのようなものが僅かに扉からたなびいている。
「魔法かスキルか……」
「この扉には数百年前にとある結界魔法の使い手による強固な魔法が仕掛けられておりまして、悪魔共の襲撃でもここだけは無事だったのです」
無事だったのは良いことだけど、結界ってなんだ?
密教、なわけないからゲーム的なノリのバリアとかそんな辺りだろう。
「名持ちの悪魔なら兎も角、下級、中級悪魔程度では破りようがありませんからね。ここが無事だからこそ、ティエールンは復興できるのです。ラピスさん、2歩後ろに下がっていただけますか」
「は、はい」
防御性能結構あるみたいだね。
それをどうやって開くんだろうか? 最高出力の『散魔対斬』でならいけるかな?
「『定礎:鍵・ティエールン』」
副隊長さんが使った魔法が扉に吸い込まれて、ガチャンと重い開錠音を響かせる。
「行きましょう」
「はい。――差し支えなければ教えていただきたいんですけど、さっきのは結界魔法とやらでかかっていた魔法を解除したとかそんな感じですか?」
「凡そその理解で問題ありません。ティエールンの一定以上の立場の者はみな先の魔法を覚えるのですよ。そして、相互監視の元管理を行う形ですね」
元々ここに連れられてきた理由は分かり切っていた。
だからこそ、今の発現で殆ど確信できた。
ここは、魔銀の保管庫だ。
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「途中でカメラもマイクも止めちゃってごめんね? というか、切る前のも流石に映すのはまずかったよね……」
ちゃんと確認してなかった私の責任だ。
一応ゲームの公式HPのお問合せに連絡いれておこう。
『確認はやっぱ大事よ。次からは気を付けよう』
『建物自体は映ったけど、肝心な方法は映ってないしギリセーフだろ』
『ゲーム的にプレイヤーが破れないプロテクトかかってそうだけど、まぁ気にしすぎな方がいいか』
今まであってきた人達は基本配信に映っても平気って言ってくれてたのもあって、見せていいかどうかを考えることを怠っていたね。
「一旦、以降の反省は後でにするとして…………頂いた物の紹介をしよう」
と言う訳で、システムウインドウを開いて他の人にも見えやすいように動かして――と。
――――――
《種別:金属》魔銀の延べ棒 レア度:エピック
特殊な魔力を浴び続けたことで変質した銀を標準的な形状に整えた物。
魔力の伝導性が非常に高いが、単体での硬度はそう高くない。
――――――
「頂いた魔銀は延べ棒30本。1本当たり500g位。いっぱいあるけどサブ武器かアクセサリーに使おうかなって位だから余っちゃうかも。色々考えないとね」
『30は多いのか?』
『2時間くらいゴーレム狩り続けて漸く延べ棒1つとかだから多い。パーティーの人数とかでも配分は変わるけど』
『多分サブ武器とアクセサリーでも15個使わないよ』
『15kgは十分に多いだろ』
やぁ、いっぱい貰えたしまだまだ新しい素材だしで夢が広がるね。
「ま、これは後でナフトールさんとかアクセ職人さんとかと相談しながらかな。じゃあ、次はエルフの国へ行こう。出来れば森の奥にいるモンスターの情報が欲しい」
そして更に理想を言うのなら、糸が欲しい。
蚕か蜘蛛か羊か…………、お願いだから羊が良い。
でも、森が長続きするのなら蜘蛛とかの方が生息してる確率高そうなんだよね。
と言う訳で『渡り鳥の羽』でエルフの国の大木の頂上へ。
…………あれ? ユースさん寝てる。
まぁ、関係ないか。
巨木から飛び降りる。
『躊躇なく飛び降りるじゃん』
『怖いとか無いの?』
『高所恐怖症ワイ涙目』
特に怖いとか無い。
死ぬ高さじゃないし。
「『廻風』『風皚・籠転』」
――撃法 奥伝 巍峨
ボバッ、と旋風が耳朶と地面を打つ。
ダメージは2割にも満たない。
AGIもVITもINTも上がっているし装備の能力も使った結果、落下ダメージの軽減率が非常に上がった。
『なんで膝すら曲げてないの?』
『人類ってか弱いんだよ? 3mもあれば普通に怪我するんだよ?』
『ゲームだからって高さがおかしいと思うんだ』
そう言われても……ねぇ?
魔法とかで軽減してるし、そもそもAGIは落下ダメージ抑えるし。
「――あ、そう言えば籠手の情報見せてなかったね。これもおかげもあってダメージ少なかったんだから」
これ見れば納得してくれるはずだ。
高いAGIと『廻風』と『風皚・籠転』があれば、ダメージの多寡はあれども着地はみんな出来るんだから、私位の体術が出来ればって。
――――――
《種別:防具・腕》風皚・籠転 レア度:エピック
要求筋力値:62
攻撃:51
防御:58
AGI+10
INT+15
耐久:872/872
特殊:『聖現順風』
銘を唱えることで、籠手の後部から風を噴出させる。
風の精霊を宿した籠手。
所有者の背を押し前へと進ませる。
――――――
『ちょくちょく名前言って拳加速してたのこれか』
『ジェット噴射的なので加速してたんだ』
『普通に籠手として優秀じゃね? 流石一国の国庫にあった装備』
『これで風出して勢い減らしても落下ダメージ本来もっと多いでしょ。マジでどうやってんの?』
咄嗟に使うには7音だから長いんだけどね。
身体を吹っ飛ばすには出力も足りないし。
1度使うとクールタイムが発生するとは言え、MP消費無しで使えるから優秀。
でも、あれだね。
あんまり納得してくれる人いないね。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
――――――
ラピス Lv.113
HP:6267
MP:1440
STR:230(189)
VIT:123(113)
AGI:942(368)
DEX:265(177)
INT:155(113)
MND:128(113)
『神刀術』Lv.15
『敏捷超強化』Lv.22
『激闘術』Lv.4
『雷鳴魔法』Lv.42
『空間機動』Lv.8
『散魔対斬』Lv.38
『疾風迅雷』Lv.14
『練魔纏斬』Lv.54
『識別』Lv.58
『マキシマム・ドライブ』Lv.45
『高速MP自動回復』Lv.32
『高度魔力制御』Lv.30
『霜刃蜿蜒』Lv.29
『超人』Lv.20
『高速魔力生成』Lv.17
『気配遮断』Lv.13
『聖剣の祈り』Lv.――
『刀光剣影』Lv.7
『筋力強化』Lv.12
『採取』Lv.4
『罠感知』Lv.4
『採掘』Lv.11
『生活魔法』Lv.3
ジョブ:《鳴神に候う者》熟練度14
称号:『聖剣士 グリントの加護』
『臨界駆動』
『末を超ゆる者』
――――――
『廻風』が必要な時だけ『生活魔法』をスキル枠に移し、普段は『筋力強化』を使用中。




