斬るKILL音頭
さて、レッツ殺戮なんてノリで考えたはいいものの、いくつか注意しなければいけないことがある。
「①何があってもオーガの根城を完全に破壊してはいけないこと。②根城のすぐ近く、特に湖から遠い東側で戦うこと。………………あとは、いいか」
じゃあこと2つには注意ってことで。
『完全に破壊できる可能性自体まず考えるなよ』
『②は分かるけど、①は?』
『出来るなら殲滅するタイプの殺戮者じゃん君』
『虐殺大好きな悪鬼の類の筈。………偽物?』
煩い、オーガの前哨戦として刻むぞ。
真面な人が本当に少ない。
嘆かわしい。
「棚上げはほどほどにするとして――、②は単純に『ブレイバー』の4人の邪魔にならないように。ここで巻き込んだら私がここにいる意味がないもん。これはみんな分かるでしょう? ①も割と単純だよ」
――クエストが不成立になったら4人になんて言ったらいいか分からないじゃん。
住民の死ぬ可能性は基本潰す派だけども、それはぶっちゃけただのエゴ。
言っちゃあ悪いけど、シンギュラリティ―にも達していないAIの人格とかは議論するだけ無駄だよ。
『根本の畜生がまろび出てる』
『自分一人なら兎も角、他のプレイヤーも巻き込んで不利益が起こりかねないことは出来ないよな』
『なる』
『出来ないとは言わないの本当にどうかと思う』
今まで接敵してきたオーガ程度なら何体いようとどうとでもなるかな。
私とのサイズ差とかを考えると一度に攻撃できるオーガの数は全体が何体いても変わらないからね。
じゃあ各個撃破で削れる。
まぁ、ボス格がいるなら話は別だけどね。
さぁ、行こう。
狙い目は根城の周囲を周って警戒しているオーガ2体組。
そいつらが根城の東側に回り込む瞬間だ。
「――『サンダーブラスト』」
響く雷鳴。
風圧が頬を撫でる。
開戦は高らかに、『ブレイバー』の4人にも分かりやすいように。
「シャアアァァアーーーー!!」
――歩法 嚆矢
雄叫びに然したる意味は無く、ただオーガ達の注意を惹くだけ。急な警戒の際に生まれた意識の間隙、そこを突くように瞬間的に加速。一気に距離を詰める。
「『練魔纏斬』ッ!」
完全な不意打ちならば『不知火』は使えないのは既に判明している。
魔法でダメージを与えた個体をまずは斬り殺そう。
態と存在感をアピールしつつ、刃を振るう。
――斬法 豪雷
無音の踏み込み、神速の袈裟斬りにてまずは1体。
「来いよ、家畜擬き共。あんまりにも情けないと、今日で絶滅させるぞ?」
言葉が分かるかは分からない。
だが、刃を突きつけ笑みを浮かべての挑発は通じた。
流石に実行する気はあんまり無いけどね。
根城の屋根からは弓兵がこちらを狙って矢がいくつも放たれ、地上の連中からは石がかっとんでくる。
体勢を崩させて、近接で潰す感じかな?
思ったよりも冷静じゃん。もっと脳みそ小さいかと思った。
「『スパークバースト』」
周辺を雷撃で吹っ飛ばして、遠距離攻撃に対処。
不格好な弓矢や咄嗟の投石じゃあオーガご自慢の筋力は発揮しきれていない。
私程度の魔法でも逸らすだけなら十分に可能だ。一応MP多めに込めて威力上げてるしね。
さて、まずは根城の入口に近い方の奴らからミンチにしようか。
どうせいっぱい来るから、多くいるところから削らないとね。
――歩法 滑歩
上体の揺れを極限まで抑えて、接近。
バチバチ鳴るようになってから隠密性は減ったけど、近距離で接近してくる敵の像が結べないってのはかなり厄介だ。
特に『魔力制御』などでのMPというか魔力というかの感知が苦手そうなこいつらには。
「大分久しぶりか、花影」
――斬法 花影
姿勢は低く、オーガの集団、その足々を斬りつける。
本来は腱とかを狙って相手の行動を封じる為の技なんだけど、オーガ共は脳死で初撃に『不知火』を合わせる。
なら、隙が少なくて集団を狙える花影が今は最適。
「『練魔纏斬』!」
――斬法 旋払
現状の最後尾のオーガにはすれ違い様に反転、横薙ぎを背中にプレゼント。
瞬間、根城の内からけたたましく甲高い打撃音が響く。
例えるのなら、出来の悪い銅鑼だろうか。
敵襲の知らせ。
ついでとばかりに根城の内から瓢箪片手に大群が顔を出す。
あれ鬼酒か?
エルフと違って私にとってはバフと大差ないよ?
いや、自分ら用か。
まぁ、今は関係ない。
先に狙うのは前からいたやつらだ。
「『練魔纏斬』からの、円環!!」
――斬法 円環
通り抜けた敵の集団、そのど真ん中に躍り出て周囲を薙ぎる。
斬り裂けたのは5体。
内、花影の影響で『不知火』を使用していたのは4体。
だから、1体だけは無事。
じゃあ、そいつからやるよね。
――歩法 嚆矢
至近距離でも踏み込みの速さは馬鹿に出来ない。認識から応答までにはどうしてもラグがあるんだ。
結果として速い奴への対処はどうしても限界が生まれる。
「『練魔纏斬』――シィ………ッ」
――斬法 伐刀・二重
未だ残っている円環の遠心力を利用して放つ全力の横薙ぎ。
左股関節に銀閃が奔り、寸断。
「2体目ェ………!! 『スパークバースト』!」
――歩法・撃法混合 風蝕
雷撃を周囲にまき散らしながら、片足を失って倒れたオーガを足蹴にして跳躍。
大量のオーガ達の様子を上空から確認――刀を顔の前へ。
――ギィン、と私の顔位ある石を弾く。
急に跳び上がった敵に対して、投石を綺麗に合わせてくるとはね。
良いじゃん。
ギア上げようか。
今私の付近へ集まってきているオーガの総数は見えている限り、24体。
いや、今さっき殺したから23体。
弓兵が4。
でもこれは別に気にしなくていい――訳無いか。
向かってくる矢を斬り落とす。
団子状になっているところから離れた瞬間に攻撃に移ってくるから、長期戦をする予定なのも考えるとどこで奇襲かけようか。
落下してくる私を迎え撃とうと、着地地点付近を囲むオーガ。
その数も4。
全然足りないけど、これ以上だと密度的に無駄かな。
――歩法 閃刃
矢を弾いたついでに着地地点を修正。
――撃法 降魔
1体のオーガの肩に飛び降りる。その時に体重以上の負荷をかけることを忘れない。
『不知火』の影響でオーガは小動もしない。
でも、切らせた。
「『練魔纏斬』」
低い軌道で刃を振るい、首筋を掻っ斬る。
――歩法・撃法混合 風蝕
肩を砕いて、他の個体の元へ。
さっきのやつ流石にまだ死んでないか。
「オオッッ!」
首に左腕でのラリアット。
でも、これも『不知火』で防がれる。
まぁ、支点になればいいか。
「『練魔纏斬』!!」
首へのラリアットにて風蝕の軌道を直線から回転へ変更。
背後から首に刃をぶち込んで、止まる。
「ぶった、斬れぇ…………!!」
――斬法 玲瓏
刀が止まり、身体が回る。そのエネルギーで峰を蹴りつけ、首を完全に破壊する。
そのまま落下する。
流石に無防備。
でも、困らない。
「『スパークバースト』」
雷撃で改めて私を囲もうと接近してきたオーガ共の動きを止めて、安全に着地。
さぁ、さぁ、まだまだ序盤だ。
もっと暴れないとねぇ………………!!
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
テンションがいつになくおかしいな、この子………。
冬休み終わりそうだからか?




