単純明快、一刀の元に
脳筋
私がクエスト(?)に協力する事に『ブレイバー』の皆さんからの反対意見は表向き出なかった。
曰く人手が足りてないのは事実であるようで、独占はしたいが難しい、とのこと。
カレジさん率いるこのパーティーは個々としてもトップクラスのプレイヤーが、連携する前提で集まっているのだ。
相当な難易度出ない限り、困ることは無いと思っていた。
でも、問題は頭数らしい。
「先程少し言った通り、エルフの方々が我々に求められたのは、素材の収集とオーガの討伐。ですが、素材が豊富にある場所はオーガの根城に近い場所でして………」
「戦闘ばっかりで素材の収集が捗らない、と。一緒に動くよりは少し離れた位置でオーガに喧嘩売る側と素材メイン側で分かれるのが、丸いんですかね、こういう時」
2組が離れすぎるとオーガを引きつけられないし、近すぎると素材側の方にもオーガが流れかねない。
もう少しなんかやりようはありそう。
「悪くはないと思いますよ。ラピスさんならオーガの集団相手に大立ち回り位はやれそうでしょうし。今日は素材と討伐とを時間で区切って交代制にしましょうか」
「こっちとしてはお零れに与る立場ですし、面倒くさい方でいいんですけどね。………………まぁ、そちらがそれでよろしいのでしたら、それで」
カレジさん、目を逸らさないし、小動もしない。
大人しく恩恵を受けよう。
「話はまとまっただろうか」
「スヴァルドさん、お待たせしました。申し訳ないのですが、必要な素材や採取できる場所、オーガの根城の位置を教えてもらえますか?」
「こちらが求めている素材に関しては、専門家の元にこの後連れて行こう。根城は、そのすぐ近くであり、遠くからでも分かりやすい。後回しでいいだろうか」
「スヴォルド氏、それは我々『ブレイバー』がやろう。こちらも丁度用がある」
声を上げたのは、カレジさんのパーティーメンバーの1人にして、先のレイドにも参加していた魔法使い 天王洲さん。
確か水属性をメインとしている人だった筈。
名前の由来は東京の地名だろう。
寡黙な人で成人しているらしいんだけど、運動神経が壊滅的で現実の自分の身体のままじゃないと真面に動けないんだとか。
その結果、身長143cmの寡黙な成人男性という漫画に居そうな人が完成した。
なお声はかなり低い。
そんなこんなで部隊の損害の確認などに向かうスヴァルドさんとはここでお別れ。
『ブレイバー』の人達に連れられて、エルフの国の中心近くへ。
一際大きい大木とそこに設けられたこれまた大きな建物。
その影にある建物が目的地のようだ。
「老師殿、今お時間大丈夫でしょうか?」
「――んお? ぉお、カレジ君らか。なんじゃいな?」
建物の中はカーテンとベッドが多数。
その奥には薬棚と作業用のテーブルとそこで作業を行っているご老人。
病院の類か。
そして、老師なんて呼び方される程ってかなり凄い人なのだろうか?
いや、エルフか。
それにしても、建物の奥の方で何か暴れるような音がしてる………………?
「天王洲」
「ああ。生憎と薬の材料はまだだが、角は手に入った。研究の足しにしてほしい」
天王洲さんが老師さんに渡したのは、見間違いじゃなければ『鬼角・凶乱』。
じゃあ、フレンド欄からカレジさん宛てに送り付ける。
視線が向くけど、無視無視。
寄生するんだし、少しくらいはね。
カレジさんが溜息を吐きつつ老師さんに角をもう1つ渡す。
それを受け取りながら、老師さんの目は私へと向いた。
「――して、そちらのお嬢ちゃんはどなたかね」
「お初にお目に掛かります。ラピスです。早速で申し訳ないのですが、お求めの素材が採取できる場所を教えてください」
ただでさえ『ブレイバー』の面々には無駄に時間かけさせているんだ。
ガンガン行かないと。
「ちょいと待ってなさい。地図と保存用の袋を持ってくるから」
よっこいせ、とゆっくり立ち上がった老師さんから視線を外して、奥の方に目を向ける。
金属音とかはしないし目視は出来ないんだけど、呻くような声とギシギシと木製のベッドが軋む音は捉えた。
多分鬼酒の影響を受けた人……エルフ達なんだろうね。
さて、老師さんから情報と袋を貰い受けて、国の外へ。
入った時と同じ場所から出て、第十の街とは逆の方向へ。
………………そう言えば、配信してることの了承取るの忘れてたな。
最悪アーカイブとか言うやつが残らないようにしないと。
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あぶれたらしいオーガが1体。
カレジさんのハンドサインを合図に一気に加速する。
「『練魔纏斬』」
――斬法 瞬雷
普段は倍近く注ぐMPを抑えて、通常レベルにて抜き放つ。
脇腹を裂きつつ、即時離脱。
「『ストリームバインド』」
「『ホーリーチェーン』」
天王洲さんの『流水魔法』と、カレジさんパーティーのミナさんの『神聖魔法』による拘束。
すかさず距離を詰める他2人。
「『アレグロ・レイン』!」
「――『ワイルドバスター』ッ!!」
カレジさんに並ぶ近接担当、細剣使いのソフィーさんの5連撃。
拘束の影響で体勢さえ崩せないオーガが呻く。
続いたカレジさんの大振りの袈裟斬り。
オーガの心臓を破壊して、消し飛ばす。
いやぁ、なんか隙がないね。
『普段脳筋みてるせいでオーソドックスなパーティー戦が凄い珍しく感じる』
『カレジさんが必要ならタンクするんだろうし、高機動近接役、攻撃妨害の魔法使い、回復妨害のヒーラーだから本当にバランスいい』
『脳筋も仲間探す?』
ナチュラルに脳筋って呼ぶの止めて?
で、だ。
そろそろ目的地かな?
なんか小高い丘に雑な巨大木造建築があるし。
「ラピスさん、あれがオーガの根城です。で、その西側に小さめの湖があるんです。そこが素材収集できる場所なのですが………」
「オーガの根城に近いなんてものじゃないですね。どれくらいの時間引きつければいいんですか?」
「採取が終わったら連絡します。深追いはしなくて大丈夫なので、お願いします」
どれくらいオーガいるのかなぁ?
先に私がオーガに襲撃を掛けて、その間にカレジさんらが素材収集、と。
――じゃあ、根城に殴りこもうか。
深追いはしないけど、本拠地に殴りこむなとは言われてないんだよね。
レッツ殺戮。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
アプデ後でテンション跳ね上がったアッパラパーがここに1人。




