いしを抉る鋭刃
タイトルは誤字ではありません。
平仮名で合ってます。
「神風!!」
踵落としで、ロックゴーレムを地に叩きつける。
そのダメージで、ゴーレムはポリゴン片へと還った。
「これで、ゴーレム20体位倒したけど、何かリクエストある? 飽きてきた」
ゴーレムを言葉の通り、20体屠って、鉱石の方は、順調に集まってきている。
およそ15000ベルグ位は儲かっているんじゃないかな。鉄鉱石だけじゃなくて、銅鉱石とかも落とすから割と一体あたりの儲けにはブレがあるんだよね。
それはそれとして、
既に配信開始から1時間位経っていて、その間ずっと殴る蹴るしかしていないから、割と退屈なんだよね。実用的な技、撃法は斬法に比べて少ないし。しかも同じ種類の敵としか戦っていないから、使う技も自ずと同じになっちゃうんだよなぁ。
『効きづらいと分かっていながら、刀使って欲しい』
『刀はよ』
『刀刀刀刀刀刀』
『採掘しないの?』
『何かヤベえ奴いたな』
刀そんなに使って欲しい? ここじゃやりづらいんだけど……。
いや、試しにやるのならいっか。多分凄い苦戦するけど。
「じゃあ、……一回だけね」
________________
「いや、次の敵相手にやるとは言ったけど、あれはノーカンで良くない?」
眼前には、ロックゴーレム4体。これ不利な武器で、1対4やれと……?
割とキツイんですけど。
『はよ凸』
『イッキ、イッキ、イッキ――』
『とりま、ゴー』
『逝ってこいや』
『酒盛りじゃあい!』
「君たち、辛辣だねっ。私に死ねと?!」
あと、私お酒飲めないから! 家系的にも超弱いから!
レベルは、私が一つ上がって18。
相手の方は、16、17、17、18。控えめに言って、ここ死地になるよ?
視聴者さんは鬼畜。覚えた。
「……はあぁぁ…………、やるかぁ」
――歩法 迅雷
重心を限界まで倒して、速度を補強する。
多分、全然効かないだろうけど、一応試すか。
「箒星!」
一点集中の突き技。けれど、ガキリと鈍い音を立てて、表面しかまともに貫けずに止まる。
これは……、ヤバいね。主に時間と耐久が。
豪、と振るわれる石の腕。それをサイドステップで躱して、そのまま一閃。当然のごとく阻まれて、刀は弾かれた。
「――」
先程まで攻撃していた個体とは別の個体が私に腕を振り下ろす。丁度いい、これが欲しかった。
「流転」
暴風域に身を捩じ込んで、回転運動で敵の腕を抱える。振るわれる勢いと私の遠心力を加えて、その巨体を投げ飛ばす。
撃法 流転。投げたゴーレムを他の一体に叩きつけて、すかさず距離を詰める。
「逆波!!」
――斬法 逆波
それは本来、相手の攻撃を刀で弾くための技。それは刀を著しく消耗する打撃のようなもの。
けれど、コイツらにはこれが一番よく効く。
刀の耐久は然程心配しなくても大丈夫だとしても、あんまりやりたくはないけどね。
頭に刀をぶつけて、衝撃を徹する。更に左手を柄から離して、手のひらを押し付ける。
「飛衝」
腕の筋肉の収縮や関節の作動のエネルギーを一切漏らさず相手に伝える。
俗に言う発勁。例えゴーレムの巨体だろうと、少しは遠ざけられる。
不意に、微かな頭痛に襲われる。けれど、今は気にする必要はない。
私の背後にはまた他の個体がいて、虎視眈々と私を殺すタイミングを狙っている。
振るわれるのは、横薙ぎ。味方が少し遠くにいることもあって躱しづらいものを選択したみたい。
「流水っ」
――斬法 流水
刃を攻撃に合流させて、私が屈めるだけの隙間を作る。
(重いっ……)
明らかに重い感覚。昔はこんなことなかったはずなのに。
半ば強引に作った空間に身を押し込んで、再度振るわれた攻撃にもう一度刃を合わせる。
またもや、重さが掛かる。加えて、何か大切なことを忘れているような、そんな違和感が心に、腕に靄を掛ける。
不意に、ズキリと意志を侵すものが生じた。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。




