濃霧に潜む残虐性
残虐性は誰に宿っているのだろうか…………
濃霧の中から襲ってきた敵、それは1体では無かった。
背の高い木に2、地上に3…………。
まったくもう、最初はタイマンで来いよ。
しょうがないなぁ。
「どいつから斬ろうかなぁ…………」
『嬉しそうで草』
『敵よりも敵適性高そう』
煩いよ。
さっきの矢っぽいものを考えると、木の上にいるやつらからかな。
『識別』は視界に捉えたモンスターにしか適用出来ない。
この霧の中じゃあ至近距離に接近してからじゃないと無理だね。
ぶった斬るついでに情報見るか。
聴覚に感知を任せて、駆けだす。
まずは足場となる木を目指す。
きりきりと何かを引き絞る音がする。
木の悲鳴らしき音も聞こえるし、さっきのは弓矢による攻撃と断定していい筈。
――歩法 迅雷
身体を倒して、的を小さくしつつ加速。
――歩法 碧空
木々を足場に気配のある高さまで登り、さっきの弓矢の主とは別の位置からの投石を籠手で弾く。
枝を飛び越え、一気に接近する。
「『練魔纏斬』!」
『空間機動』無しでも今は枝からの跳躍で十分。
退避行動は間に合っていないのならぶった斬れるし、『識別』も届く。
『サベージオーガ・アーチャー Lv.120
属性:物理・刺突 打撃 魔法・土
耐性:物理・刺突
スキル:『弓術』『同心勠力』『土魔法』『常盤の地平』』
アーチャーか。
じゃあ、他の奴らの情報は別途『識別』で確認しないとか。
あとレベル120で『土魔法』ってどういうことだ?
まぁ、いいや。
斬れれば同じだ。
不格好な弓を掲げて防御しようと――
――歩法 嚆矢
瞬間加速して、刃を振るう。
弓での防御よりも先に攻撃を通し、首を掻っ切る。
純粋にSTRが上がったことに加えて、AGIの大幅な向上による攻撃威力の増加。
それはレベル120の敵相手でも首を斬り裂けるようになっている。
とは言え、遠距離担当なのもあるかな。
下にいる近接のやつはもっと硬そう。
取り敢えずまずは1体。
横から飛んでくる矢を『空間機動』で宙を踏みしめて、さらに加速して避ける。ついでに方向も変えないとね。
――歩法 碧空
正面の木の幹を足場に跳躍。
角度は次のサベージオーガの方。
矢は避けたし再度射るには時間も距離も足りない。
ならば、石か物理位。
選ばれたのは、というか選ぶまでも無く物理。
多分私を掴もうとしているんだと思う。
捕まる訳が無いね。
宙を足場に反転。
掴もうと迫る腕を上下逆さまの状態で眺めつつ、刃を構える。
「『練魔纏斬』」
反転したまま首を掻っ切る。
……が、殺しきれてない。
「『スパークブレイズ』」
地面に落ちながら魔法で狙い撃ち、2体目を撃破。
残るは地面にいる3体。
飛来した石を刀で弾いて着地。
着地直後を攻撃してきた個体の懐に潜り込み、振り下ろされた腕を避ける。
「『練魔纏斬』」
衝撃が背を打つが、関係は無い。
ただ刃を振るうのみ。
――斬法 烈火
斜め上へ伸びる突きにて、オーガの首を破壊する。
そのつもりだったが、返ってきたのは金属のような音と感触。
――撃法 昇抉
左手でのアッパーカットで時間を稼ぎつつ、『識別』を使用。
『サベージオーガ・ウォリアー Lv.121
属性:物理・打撃 魔法・土
耐性:物理・刺突 打撃
スキル:『剛腕』『同心勠力』『不知火』『土魔法』』
さっきの感触は『不知火』の効果か。
たしか使用直後の攻撃のダメージとノックバックの軽減だった筈だ。
あんな感触になるとは知らなかった。流石エピックのスキルオーブに収録されてたスキルだ。
それはそれとして許さん。
『不知火』のようなアクティブスキルの一部は再度発動するにはクールタイムを待つ必要がある。
だから攻めるなら今か。
『練魔纏斬』とかに無くて本当に良かった。
「『練魔纏斬』!」
刃を振るう。が、オーガはバックジャンプ。ついでに別のオーガが距離を詰めてくる。
『不知火』のクールタイムを稼ぎながら、こっちを削るつもりか。
そんなすっとろい動きでよくやろうと思うね。
――歩法 嚆矢
一瞬の内に加速して、カバーに入ろうとしてきたオーガを素通り、バックジャンプの着地がまだなオーガの眼前へ。
称号によるAGIと加速力の向上は想像以上に幅が広いね。
まさか間合いにまで入れるとは。
「豪、雷――!!」
――斬法 豪雷
一切の無駄を省いた袈裟を放ち、着地の瞬間の無防備な身体を切り裂く。
残りHPは3割ちょっとか。心臓までは刃が通らなかったことが悔やまれる。
さっきスルーしたのとは別個体のオーガが突進してくる。
なんとかして引き離したい場面だろうね。
「『スパークバースト』」
周囲一帯を雷電が襲う。
反射で最初の攻撃は『不知火』で防ぐのか、突っ込んできたオーガは防御。
さっきから攻撃している方は2割5分。
じゃあ、追加で
「『練魔纏斬』」
斬る前に一応確認してみるか。
――撃法 覆滅
胸元に拳を一つ、心を砕く内部浸透攻撃。
返ってくる感触は生物のそれではない。
――斬法 地嵐
真っ向から振り下ろし、残りは2体。
初撃を食らったら続けざまに食らうという考えからかな、最初の攻撃を『不知火』で防ぐのは。
まぁ、だとしたら簡単だね。
連撃で速攻を決めればいいとか、それは私にとっては日常だよ。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
ゴキブリみたいな運動速度と反応速度。
足の動きは特に細かく、色合いも割と黒系なんで、デカくしたGと≒なのでは?




