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Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
消失を力に

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金は強し

「こんにちは、ラピスのWJO配信、3日目の始まりです!」


 夏休み4日目、私は今日も配信をする。

 今日はある目的のために、第二の街(トヴェッグ)の西側のエリアに来ていた。


『平日の昼間から止めてくれー』

『学生は夏休みだからな』

『現役高校生らしいサニーと幼馴染だから、ラピスも学生の確率大』

『ネチケットよ……』

『↑リスナーの民度次第』


「アーカイブは残すから、昼間に配信しても問題ないじゃん。サニーは……大丈夫なのかな。その内特定されそうなんだけど。視聴者さん、お願いだから探らないでね?」


 特定は流石に……ね? 

 あれ? 技名とか言っちゃってるけど、それはどうなんだろう。

 …………ま、まあ、あれだよ、太刀上流の人たちには全員にバレてる(お母さんがバラした)んだろうけど、所詮は一地方の一道場の話だし、多分大丈夫……だよね?


「ね、ねえ? 流石にまだ身バレしてないよね……?」


『急に不安になってて草』

『笑い事じゃないが確かに』

『技名言ってはいるけど、まだだろ』

『バレてるぞ、お嬢』

『アンバーちゃんがバラしてました、気をつけてくださいラピスさん』

『無理無理、材料が少なすぎる』

『待って、何かいたぞ』


 コメントのいくつかが、すっごい目に着く。

 お嬢(・・)なんて来たら、ね?

 あと、その後のコメントはあれかな。湊君かな? 私とアンバー(琥珀)をそう呼ぶの君くらいだもんね。まだ道場で剣やってる時間じゃ無いの?


「取り敢えず、約二名のことは保留で。片方は特定できたけど、もう片方が誰だか分からん。候補が多い」


 皆んなも話題に出すのはなるべく止めてね?

 こう言っておけば、一応大丈夫だろう。


『はーい』

『了解、流石にな』

『んで、今日は何すんの?』

『前に山が見える』


 うん、話進めよう。


「コメントにあったし、丁度いいから今日のやることを言います。まずは前提として――」


 一旦言葉を切って、溜めを作る。(なお、この作業の必要性は皆無である)


「お金が、足りません!!」


『はい』

『はいじゃないが』

『あんだけ敵切り刻んといてどの口が』

『このゲーム敵殺れば金手に入るよね?』

『装備か』

『防具の制作依頼』

『なるほど』


 うん、まあ、ね? モンスターはかなりの数倒してきたけどさ、それじゃ足りないんだよね。

 ボスも倒してるけど、それでも足りないのよ。


「私の今の所持金が123,000ベルグ位何だけどさ、調べたところ今のゲームの状況的にオーダーメイドの装備一式の値段は15〜20万位らしくって、足りないの」


 ここで問題なのは、私がお金を使ったのが、回復薬とかが殆どだから、あんまり使っていないんだよね、全体的に。……今日ちょっと使ったけど。


『ほーん、割と高いのね』

『正当な価格やな』

『人件費というか技術費?』

『生産職のプレイヤーは少ないからなぁ』


「まあそんな訳で、金策しましょうってなって、ここに来ました」


 私の目の前には、大きな岩山。何やらここでは金属素材が取れるらしい。

 金属素材は単価が高く、更にこのエリアは敵も多い。

 金稼ぎと経験値稼ぎの両方が出来るね、ここでしか今の所金属は取れないから、敵多くてもやるしかないんだよね。こん畜生め、両立なんて出来るか!


「で、ここで問題が生じました」


『既に問題ありなのに……?』

『そこのエリアのモンスターの問題だな』

『斬撃耐性……(ボソッ』

『お決まりの奴ね』

『メイン武器:刀』

『元剣術家』

『あ、オワタ』


 はい、大正解。

 このエリアの主な敵は、ゴーレム。何かケイ素系の動く奴です。

 そいつと戦うと、鉄鉱石とか銅鉱石とかをドロップするんだとか。

 コイツが斬撃に耐性なければいいカモだったんだけどね。


「視聴者さんたちのコメントの通り、ここの敵とは刀じゃ相性が悪いので、今回はこれ!」


 システムウインドウを操作して、あるアイテム(・・・・・・)を装備する。


 それは、前腕部を覆うもの。

 それは、鈍い光を纏うもの。

 それは、敵を殴り抉るもの。


 はい、それ(・・)っぽく言ったけどガントレットです。


「形状的に刀は握れないけど、まあ、今は必要なので買っちゃった」


 こう腕にがっしりと取る付いている感じが中々良い。


『金策前に使ってね?』


 ……うん、それは言わないで。



 ________________




「ゼエアアッ」


 咆哮とともに、拳を振るう。敵の膝関節に一発叩き込んで、体勢を崩す。

 つもりではあったが、体重的に無理だった。


「こいつ割と厄介だね」


『ロックゴーレム  Lv.16

 属性:物理・打撃

 耐性:物理・斬撃       』


 ロックゴーレムと言う名のモンスター、生物なのか怪しい。いや、ゲームだし良いか。

 こいつは、『識別』結果にも載っている通り、斬撃耐性がある。

 でも、打撃だから効きやすい訳じゃない。


 斬、打、突の中じゃ打撃が一番だけど、そもそもの強度(VIT)が高い。そして、体重もあるからノックバックもし難い。……あれ、これ強くね?


「んー……、どうしようかなぁ」


 敵の攻撃を躱して、一撃を叩き込んでいく。

 これでも、少しずつダメージは入ってるけど、効率が悪い。


 ゴーレムの弱点は、

 ・動きは単純だし、簡単に隙が生まれる。


 現に今も攻撃を挟めるだけの隙がある。


「そぉ、れっ!」


 拳をちょうど先程の一撃と同じ位置に入れる。

 ――ピシリ


 その時、ほんの僅かな音と共に、ゴーレムの表面の攻撃を入れた地点である右膝に亀裂が小さな走る。


「こ、れ、かぁ!!」


 ――撃法 廻踵(えしょう)


 半ば絶叫しながら、後ろ回し蹴りを該当箇所に入れて、ダメージを加速させる。

 ブーツのつま先と踵には、金属での補強があるから良いダメージになる。


 そのまま、追加で裏拳を一発。

 亀裂が少し大きくなる。ついでに一発当たりのダメージも増していく。

 これがゴーレムの攻略法なんだろうね。同じ部分に攻撃を当て続ければ、ダメージが増加していくっていう感じ。


 攻略法が分かったところで、速攻で決めよう。


「砕、氷!」


 ――撃法 砕氷

 拳版の箒星とでも言うべき、一点集中型の一撃。足腰の捻りや体重移動など、あらゆる力を集約して物体を破壊する。

 対人剣術である太刀上流では唯一無二と言ってもいい対物攻撃だ。


 ステータスとエネルギーに任せて、ゴーレムの亀裂の入っていた右膝関節を粉砕する。


 片脚を破壊したら、もうそれまでだ。

 ロックゴーレムには再生能力が無いみたいで、這いつくばってもがくだけ。


「……これ、ちょっと嗜虐心が疼く感じしない…………?」


 余裕が出来たから、コメント欄に視線を向けられる。


『ドSの方ですか?』

『サニーと成るべくして友になった女』

『岩砕いたぞ、この人』

『STR的に不可能では?』


 酷い言われ様だね。

 あと、岩砕きはゲームならではなんだな、これが。

 現実でやったら、怪我しちゃう。

 最後の人は……、高校物理やり直しだね。


「『格闘』スキルでの補正値は確かにSTRが大部分を占めてるけど、そもそもの物理法則的にAGI特化の方が威力出ると思うよ」


 運動エネルギー(この場合殴打の威力に該当する)=1/2✕重量✕速度の2乗の式を見れば分かる通り、速度は2乗なのだよ。そして、このゲームでキャラクターの速度を司るのはAGIだからね。純粋にステータスが高くなればなるほど、差が生まれる。


 まあ、それは兎も角――


「降魔」


 ――撃法 降魔(ごうま)

 全身の筋力を総動員することで、必殺まで練り上げた踏みつけ。

 この一撃は、例えアスファルトであろうと、容易に陥没させる。(当時の私は脚へのダメージを考慮しなければ可能だった)

 それをゴーレムの頭に叩きつけて、消滅。


『レベルが上がりました。Lv.16ー>Lv.17』

『『敏捷強化』のスキルレベルが上がりました』

『『格闘』のスキルレベルが上がりました』

『『走破』のスキルレベルが上がりました』


 早速ドロップアイテムを確認する。

 今回のドロップアイテムは、

 ・珪石 ✕2

 ・鉄鉱石 ✕1


 珪石は、今の所私に使い道はない。せめて水晶レベルまでにならないと戦闘職に使い道などなさそうだ。

 そして、お目当ての鉄鉱石。これ一つで相場は2000ベルグ。かなり良いね。鉱山エリアではあるから、ゴーレム屠るよりも掘った方が効率がいいけど、それじゃ面白くない(・・・・・)

 ちなみに、素材の売却分を除いた時の、ロックゴーレムを一体倒した際に得られるのは、50ベルグ。

 悲しいかな、非常に安い。


「これ、インベントリ(所持品)埋まりそうだね」


 WJOのアイテム保有上限は、STRに依存する。私は多少上げているとは言え、そこまで多いわけじゃない。

 更にアイテムの容量は重量依存。ここで大事なのは、鉱石が重いということ。

 ……ま、まあ、今気にすることじゃない。


「取り敢えず、どんどん狩っていこうか」


 私は、奥地に脚を運んでいく。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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