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Wisdom Joker Online 〜瑠璃色少女の配信録〜  作者: 月 位相
堕ちた巨塔

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間隙なく

 ザガンの残りHPは63%。

 削るペースは順調。…………だった。


 雑魚狩りは相変わらず遠距離組任せ。

 でも、雑魚の出現ペースは落ちてきたから1回のフルアタックごとの平均ダメージは増えていた。


 だが、ザガンのHPが7割を切ったあたりから状況が変わった。


 カツカツと金属のような硬質なものが規則的に地面を跳ねる。

 6本の触手がうねり、縦横無尽に攻める。


 動き回るザガンとの距離を詰めようと触手が襲い狂い、それを弾いても翼の羽ばたきによる風圧が襲う。

 体勢を崩そうものなら、退避からの魔法攻撃が飛んでくる。


 ザガンが身体に慣れ始めた。

 その結果、それまで直立状態で触手と翼と魔法を振り回すだけだったのが、素早く移動しながら行うようになった。

 加えて、触手での攻撃からは僅かながら規則性が無くなり、魔法の使用頻度も上がった。


 特に魔法は元々ザガンが得意としていたのもあってか、使うタイミングがなんとも嫌らしい。

 アタッカーの私がしばしば防御役に回る必要が出てくる。


 近接アタッカーの中で、私より明確に一撃が重いのはカレジさんとアンバー位だ。

 何度も私が攻撃できないとなると地味にその差は蓄積されていく。

 とは言え、タンク役がいなくなると一瞬で瓦解するから動かないって選択肢は無い。そもそも彼らがいないと触手と翼が邪魔で今の半分のペースでダメージが入れば良い方だろうから、これが最善の筈だ。


 ギィンッ――!

 アルゴルさんが体重を乗せて触手を強く弾く。

 その力は走っている途中のザガンの体勢を僅かながら崩させるほどで。


 その一瞬の隙にハーフェン君が突っ込み、ザガンの右前足を斬りつける。

 スキルやアーツ無しでの攻撃だからダメージらしいダメージにはならない。


 だが、ザガンの精神を逆なでするには十分。

 ザガンが咄嗟に選んだ攻撃手段は魔法。

 空中にて黒いMPが収斂され、10の刃を形成する。


 身体に慣れてきたとはいえ、瞬間瞬間の行動はやっぱり元のままだね。

 咄嗟の判断は魔法頼り。


 ――歩法・撃法混合 風蝕

 足を自分の力で砕きつつ一気に距離を詰める。ゲームだからこそ出来る無茶な戦法だが、ちゃんとHPは削れる。とは言え、ザガン相手でタンクもいるんだしそうそうダメージは食らわない。存分に自傷出来る。


 ちらりと遠距離組を確認。

 炸裂音が無いことから分かっていたけど、今回はザガンへの攻撃が出来そうだ。


 範囲攻撃魔法で無いのならアルゴルさんとハーフェン君の心配をするだけ無駄だ。

 最速で斬りつけて、次に繋げる。


「『練魔纏斬』!」


 限界までMPをつぎ込んで蒼炎は膨れ上がる。

 瞬間紫電と共に刀身に収斂される。


 立ち位置はザガンの真後ろ。

 ならば、翼の邪魔も入らない。


「豪、雷!!」


 ――斬法 豪雷

 踏み込みから全てのエネルギーを一閃へ集約する。


 音さえもしない銀閃は爆発的な蒼炎によってかき消された。

 その分ダメージはきっちり入っている。


 即時離脱して、他の面々の攻撃を眺める。

 アンバーの横薙ぎに揺らいだ身体を反対側に弾くカレジさんの袈裟。

 エクスさん含む複数人での突進攻撃で更に反対へザガンの身体を押し込む。


 とどめとばかりにリリートゥさんがナイフを左後ろ足の膝関節に叩き込んで、即バックジャンプ。


 直後様々な属性の剣が雨の如く降り注ぎ、飛来した矢が仰け反ったザガンの瞳を貫く。

 休む間もなく、ザガンの足元からは極太の火柱が上がる。


「フォックスグローブさん、麻痺を――!」


 パーティーメンバーと繋げたままの連絡網で分かるように大声で。


 ――歩法 嚆矢

 瞬間的な加速でザガンとの距離を縮める。


「『練魔纏斬』」


 蒼炎を再度収束して、駆ける。

 私の横を弱弱しい紫電が奔り、直撃したザガンの動きを一瞬止めた。


「シャアッッ!!」


 ――斬法 箒星

 普通は離脱に時間のかかる突きは行うべきではないが、今回は私だけが動き出すのが早かった。だから、2撃必要(・・・・)だ。


 ザガンの下半身の馬の胴に深々と突きが刺さり、蒼炎が弾け飛ぶ。

 だが、この程度では倒れてくれないし、他の面々の攻撃が届く前に復帰する可能性さえある。


「『練魔纏斬』!!」


 だから、より大きな傷を。


 ――斬法 玲瓏

 峰を思い切り蹴りつけて、推進力を得る。


 胴を横一文字に掻っ捌いて、ついでに離脱する。

 我ながら凄いな。今のでザガンのHP5%以上削った。


「『魔宝石開放(クライノート)夜明けの刻(モルゲンデメルング)』『魔装剣』『鋭刃磨』――――」


 カレジさんの両手剣が(あけぼの)色に染まり、その刀身を極光が被い、引き延ばしていく。

 次いで発動したスキル群による攻撃力の強化。

 遠距離組が攻撃に参加して、ここまで畳みかけられる機会は次いつ訪れるか分からない。

 ここで全力を出すつもりだ。


「『オベリスク・デマイズ』――!」


 大上段からの振り下ろし。

 延長された刀身で行われたそれは両翼を巻き込んでザガンの下半身のど真ん中を通り抜ける。


「『サベージクラッシャー』ッ!!」


 続いてアンバーの全力の振り下ろし。

 跳躍からの体重も斧の重力も全てを真正面から叩きつける。


 ゴォォン、と鐘のような音色と共に、ザガンのHPが半分を切った。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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