対陽キャ最前線
1,000pt到達!
半年以上先に始めた作品は100行ってないのにね。
この差は一体……。
「ほい、瑠璃。次はこれ!」
「いや、多いって。次は、とか言いながら10着くらい持ってくるの、本当に止めて!」
ここは、ショッピングモールの中にある服飾店の試着室。
この店は、日向が気に入っている店で、値段の割に、良いものが多い。
シンプルなものが少ないから私が利用することは少ない。可愛い感じの服が満載のお店。こういうのが日向の好みなのだ。視聴者さんたちに見せてあげたい。ゲームじゃ物騒なキャラが多いから、ギャップが凄い。
今日の服も、フリルとか割といっぱいなんだけどね。
まあ、私的には見慣れた光景といえばそうだけど。一緒に服見に来るといつもこうだから。
私の服? シャツとスカート。色は、白青、以上。
というか、車椅子生活が始まってから、あまり一人で外出することは無くなったから、全体的にお店の利用頻度が減った。
服は兎も角、ネットショッピングとかあるしね。(服はサイズが、ね)
私のいる個室の中には、10着の衣服が。
なんでこう、どっさりと持ってくるかなぁ!
お願いだから、数を減らしやがれ。
秋物の、ワンピースに、シャツ、ワイドパンツ、デニムの羽織物に、果てはゴスロリ。
…………ゴスロリィ?! あの馬鹿、私にこのひらっひらの奴着ろと?
何枚も布重なってるよ。斬りづらそうだなぁ……。(現実逃避)
「まだ?」
「さらっと、試着室に入り込むな」
何はともあれ、まずはコイツ追い出さないと。
お巡りさん、ここに覗き魔がいます。
めっちゃ堂々としてやがるけど。
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「日向、なんでいつも不健康まっしぐらな食事なの……?」
(日向が)一通り服を見終えて、時間的にもちょうど良かったので、フードコートへ来た。
私は、そばにした。と言っても、日向に頼んでもらったけど。
日向が選んだのは、ハンバーガー。
それだけなら、私も何も言わなかっただろう。
けど、けどね。
「流石に、ハンバーガーに加えて、ドーナッツとデザートにパフェは無いでしょ」
「何? 瑠璃も食べる?」
「……じゃあ、パフェ一口ちょうだい」
エグいよ、量も、カロリーも。
ドーナッツも3つあるし、パフェなんてジャンボサイズ。
これは、普段よりも少し多いくらい。
普段のお出かけの時は、ドーナッツ2個にパフェが小さめ。
……あれ? 量が多すぎて誤差にしか見えない。
言うまでもなく、ハンバーガーにはポテトつけてるよ。
これで、何で太らないの? いつもゲームばっかりで外出ないじゃん。
日常的にハードな運動してる琥珀よりも、素で代謝が高い……?
んな馬鹿な。現実がここにあるけど。
……こちとら、運動したくてもまともに出来ないのに。
「午後、何するかね」
「日向は何か必要なものある?」
出来れば服以外がいいな。
日向タガが外れるから。
「いや、これがもう無いんよ。今の所ゲームはWJOがあるし、機材の類いとかも足りてるしね。逆に瑠璃はあるん?」
「……じゃあ、ちょっと本屋行きたい」
欲しい本とかがあるわけじゃないんだけどね。偶に行きたくなる。……ならない?
……あ、でも、強いて言うなら――
「心理学の本とか欲しいな」
「え、急に何だよ? 理系でしょ?」
確かに、心理学は文系に属するらしいが、何も本格的に習うわけじゃない。
かじりたいだけ。
「これからも配信を続けるのなら、視聴者さんが楽しめる方が良いじゃん」
そう言った後の、日向の表情は、何というか凄い……ムカついた。
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「日向って普段漫画以外読まないよね。本屋の出番あんまり無いんじゃない?」
「そうでもないぞ? すぐに読みたいやつとかあるじゃん?」
「ああ、そういうね」
ショッピングモールに入っている本屋の品揃えは、かなり良い。
漫画、小説、雑誌は割とどこでもあるけど、私が知っている店の中でこの本屋が一番参考書とかが多いんだよね。資格用の参考書もあるし。というか数学検定の本とか殆ど見ないんだけど、普通にあるし。
「参考書、これで何冊目?」
「数えてないけど、心理学は買うの初めてだね。……まあ、ただ興味が湧いただけだからね。これから増えるかは分からないよ」
心理学の本でも、入門編のものにしておく。武術系のも買おうかな……。VRでやるなら……、いやでも別流派は事故るかもだし、止めとこう。
「漫画見に行く?」
「瑠璃が良いなら、行く!」
基本的に、日向が車椅子を押してくれる(自分でも動けるんだけど、本人がやりたがる。いや何で?)関係上、私は日向が選んだ方向に進む。
そのためか、普段より遠慮気味なんだよね。まったく……、私なんて気にしなきゃ良いのに。
そんなこんなで、漫画コーナーへ。
日向は、少年漫画ばかり読む。割と戦闘狂な面が似てて共感しやすいのかな。(超失礼)
漫画コーナーももれなく広いけど、本屋の宿命なのか、本棚と本棚の間はそこまで広くない。
私の車椅子もかなりコンパクトなやつだから、平時ならそんなに困らないんだけど、今回は事情が違った。
「――これマジヤバくね?!」
「ヤバいがうるせぇよ!」
「いや、お前もな」
屯している男性3人組、通路が完全に塞がっている。
言っては可愛そうだけど、非常に邪魔だ。
「遠回りは……」
「出来ないぜ、残念ながら。止めとく?」
行かないことを提案しておいて、本人が行きたがっていることは自明だ。
顔にかいてあるからね。
「待ってるから、行ってくれば?」
「………………。じゃあ、ちょっと待ってて貰って」
「行ってらっしゃい」
車椅子を通行の邪魔にならない所に移動させている途中で、彼らはこちらに向かってきた。漫画はもう良いみたいだね。横並びになって歩いてくる。
「――チッ」
全員が全員、私を避けてくれるけど、一人だけ、舌打ちが聞こえた。
……うん、気持ちはわからなくも無いが、聞こえるようにするのは、どうなんだい?
「瑠璃、動かないで。奴潰してくる」
「はいはい、そんなキレない。日向だって、彼ら邪魔だって思ったでしょう? それと同じだから気にしないの」
私の事情で、日向が悪者になる必要は一切無い。
この子は優しすぎるのだ。
まったく、本当に。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
いますよね。道塞いでる邪魔な奴ら。
私は、会話がしたいがために道を塞ぐやつには、舌打ちをプレゼントする派です。(割とクズいこと言ってる)




