第二の街 Ⅰ
やったぜ、いつの間にか800pt超えてたぜ。(深夜テンション)
私の説明に辺り一帯が凍りつく。
…………説明下手なのは分かってたし、学校でも一週間あれば私に説明を求める人なんていなくなったけどさ、そんなに……?
「……あの、何かコメントしてよ…………」
周囲の一切が消えて無くなったかのように、最早時すら止まったかのように、無音が支配する。
「…………お姉、途中式読み上げて?」
「途中式? 32+16=48(時間)。要は172800秒。それを二進法になおして終わり」
まあ、割と楽だったね、うん。
でも、視聴者さんは納得できないみたいで……、
『どこがガッとで、ググッとなんだ……?』
『何でこう極端に酷いんだ?』
『天才型の中でも酷ぇ……』
『2進数に変えるの早すぎね?』
「何年経っても、進歩しないんね?」
「煩いよ、サニー」
「お姉数学得意なのに、説明能力壊滅的すぎるよね。皆さん、これが全国模試1位の解説ですよ?」
「煩いよっ!!」
しかもアンバーの奴、こっちの個人情報さくっとバラしやがった。
お仕置き決定。
今日のご飯は、ピーマンにしよう。そうしよう。
お父さんもお母さんもピーマン好きだから、反対はされない。
……これで、完勝。
「フフフフフ、フヒッ――んんっ、取り敢えず街に行こうよ」
草原をゆったりと進んでいった。
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「ゴブリンの森を抜けたのに、まだゴブリンがいるんだね……」
目の前の敵を切り裂いて、思わず私は呟いた。
ゴブリンの森の次のフィールドにも、変わらずゴブリンは出現した。
でも、流石にゴブリンの森程ではない。
他のモンスターと言えば……、
「ラピス! そっち行ったぞぉ!」
少し離れて戦っているサニーからの警告。
多分『索敵』で見つけたんだろうね。
数は、3。
それぞれを『識別』する。
『グレイホーンラビット Lv.10
属性:物理・刺突 』
『ゴブリン Lv.11
属性:物理・打撃 』
グレイホーンラビットが二匹、ゴブリン一体。
徒党でも組んだかのように、別種のモンスターが群れて襲い来る。
――歩法 滑歩
滑るように接近する。
その勢いのままに、袈裟斬りを放つ。
「グギャアアアッ!」
耳障りな雄叫びとともに、振るわれる棍棒。
私の袈裟と途中で衝突する軌道で振るわれているけど、当然ながらボスゴブリンのそれよりも遥かに遅い。
だから、対処の仕方は対ボスに比べて潤沢にある。
「朧月」
刀の軌道が急激に切り替わる。
袈裟から切り上げに変わった軌道のままに、ゴブリンの首筋を斬りつける。
斬法 朧月。手首のスナップで攻撃の軌道を急変させる技。ちなみに威力は出ない。
怯んだ隙きに雷撃を叩き込む。
「『サンダーボール』」
その一撃を以て、ゴブリンはポリゴンと化す。
「キキイイィッッ!」
ウサギ――始まりの街周辺の奴よりも身体と角が大きくなった個体。
より鋭利になった角での刺突攻撃。
更にその二重。
前のウサギの刺突を半身になって躱して、刀を右側の空中に設置する。
そこに後ろのウサギが勢いのままに突っ込んでいく。
――斬法 裂止
自ら設置された斬撃を食らう。
でも、これだけでは倒しきれない。
だから――
「渦潮」
――そのまま左に振り切る。
裂止は刀を固定する関係上、片手で柄を保持し、もう片方の手で刀身を固定する。
その状態から、上体の捻りで斬撃を放ち、ウサギを殺し切る。
残り一匹、最後のウサギは私の後ろ側にいる。
互いの位置関係は、気配で分かっている。
ウサギの突進に合わせて、私は後ろを振り返る。
「廻踵!」
回し蹴りを携えて。
撃法 廻踵。
身体を旋回して、そのエネルギーの全てを踵の一点に集中して蹴りつける――要は回し蹴りを放つ技だ。
今回はその応用版で、半回転だけど。
瞬間、左足で放った蹴りの反動を全て回転運動に変換、時計回りに身体を回す。
今回の廻踵は半回転だったり、私のSTRの問題でそう遠くにウサギを飛ばせなかった。
でも、だからこそ、次の攻撃をすぐに放てる。
「伐刀(逆回転)!!」
右に刀を振るって、起き上がり掛けていたウサギを屠る。
これで、襲撃は対処完了だね。
『レベルが上がりました。Lv.14ー>Lv.15』
『『刀』のスキルレベルが上がりました』
『『識別』のスキルレベルが上がりました』
『『雷魔法』のスキルレベルが上がりました』
お、レベルがアップしたね。
これで、レベルが15になったから、新たなスキルが使えるようになった。
新しいスキルは『走破』。不安定な地面も普通のところと同じ様な感覚で踏みしめられる……らしい。
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「……ここが、第二の街…………」
私のレベルアップから10分ほどで、私達は第二の街『トヴェッグ』にたどり着いた。
眼前に広がるのは、巨大な壁。
それが街の周囲を覆っている。
高さは20m位で、円形の街の半径はぴったり500m。
街の半径に関しては、有志が測ったんだとか……。
何というか、凄いことをする人もいたものだ。
「このサイズで始まりの街よりも小さいんだから、凄いよねぇ」
β版で何度も訪れただろうに、アンバーが感慨深そうに呟く。
いや、何度も来たから、なのかな?
「はいはい、多分すぐに見飽きるから、ジョブ決めに行こうかね」
サニーに二人して、背中を(物理的に)押されて、私達は街の中に入っていった。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。
ちなみに、「トヴェッグ」は、スウェーデン語の2の「två」(トヴォ)と壁の「vägg」(ヴェッグ)から。
ぶっちゃけると、スウェーデン語はノリで決めた。




