久方
ウカさんとゲームした週の日曜日――第六の街についた次の日――その日曜日に私は第四の街に拠点を移していたナフトールさんの下を訪ねていた。
「ご無沙汰してます。第六の街の南側にいたウサギ系モンスターの素材が、碧兎の強化に使えるか確認してくれませんか?」
「いらっしゃいませ。すぐに確認するので装備を貸してくださいな」
事前に準備していたシステムウインドウからナフトールさんに装備とウサギの皮とかの素材を渡して、確かめてもらう。
これで強化素材にならなかったら、結構辛い。
碧兎の性能は素晴らしい。
でも、第六の街まで行くと流石に段々と相対的には弱くなってしまう。
装備頼りと言われてしまうかも知れないけれども、それでも、まあ、無いよりはある方が良い。
「…………使え、はするようですよ。ただ、あと一押しがあると強化幅が広がりそうですね。とは言え、ラピスさんの配信見た感じは……無いと思います。ウサギ系モンスターである必要は無いんですが」
「溶岩亜竜の翼膜とかイケます?」
無言で首振られた。
まあ、なんとなく分かってた。
風亜竜の翼膜なら使えるらしいけど、今はすべきでは無いとか。
なんでも、装備の強化は一応何度も出来るそうだけど、装備を強化する度に使える素材に制限が生まれるのだとか。
例えば、ホーンラビットの素材で強化したら、次の強化では使えない、みたいな。
「――じゃあ、まあ、なんか良さげな素材あったらまた来ます」
今日はあんまりゆっくりしていられないし、ちょっと早めに行かなきゃね。
久々だし。
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「最強魔法使い、サニー!」
「通り魔、ラピス――」
一切躊躇無く畳み掛ける。
誘われたからやっている面はあれど、私の今のテンションは平時より高めだ。
「我ら!」
「オイコラ待てコラ」
ガッ、と思い切り肩を掴まれる。
理由は分かっているけど、白々しく首を傾げておく。
「何?」
「――決めた口上は?」
口上はあるにはある。サニーが決めたやつだけど。
配信上でこのやり取りやってるから、世界単位で晒されてるんだけど、これ以上恥の上塗りはしたくない。
だって、だってだよ?
「最速最巧を名乗るのは烏滸がましいでしょうに」
最速の可能性は高いけど、最巧はありえない。
お母さんと四割菱さんがいる時点で、三位以下は確定する。
「えぇ……、じゃあ、悪鬼羅刹」
「よし、殴る」
誰が、人を騙して食う鬼だって? ん?
まずはアイアンクローからで良いや。
「――いだだだだっ。ちょ、タンマ。マジで痛いからッ」
「痛くしてるんだから当然でしょうが。一方的なものとは言え、約束を破ったのは悪いとは思ってるよ」
「じゃあ、離さんかい!」
それはそれ。
たっぷり一分締め付けて、雑に離す。
……あぁ、過半数自分のせいだけど、視聴者さん達置いてけぼりだ。
「……ええっと、お待たせしました。非常に締まらない始まり方ですが、サニーと私ラピスによるコラボ配信スタートです。今日は第六の街の北側から攻略していく予定です。長丁場になると思われますが、お付き合いの程宜しくお願いします」
そんなこんなでコラボだ。
なお、先の発言に対するコメントとして最も酷かったのは「意味のない化けの皮」だった。
せめて猫にしようよ。
まあ、私も化けの皮の方が合ってる気がするけど。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。




