火の亜竜
『ファイア・ドレイク Lv.72
属性:物理・斬撃 魔法・火
耐性:物理・打撃 魔法・火 風
スキル:『炎魔法』『強顎』『竜の炉心(偽)』』
純粋な攻撃・防御性能はあちらが上。
私には飛行能力は無いが、二次元的な機動力では勝っているはずだ。
気をつけるべきは『炎魔法』の威力が及ぶ範囲が、目に見える魔法の形よりも微妙に広いという点。
及び捕まったら死が確定する点。
……位か。なんだ普段と一緒じゃん。
悲しいなぁ……。
まあ、兎に角、
「速攻で潰す」
――歩法 嚆矢
瞬間的な加速、一気に然程離れていない距離を詰める。
こいつは本命じゃないからね、さっさと殺して次に行く。
ファイア・ドレイクの魔力が滾る。
私なんかじゃ比較にならないMPが収束し、口元に集う。
「――まさか――――」
モドキとは言え、竜は竜。
ならば、口元にて圧縮されたMPの使い道は決まっている。
「――――ッ!」
――歩法・撃法混合 風蝕
無理矢理な踏み込みで、身体を強引に押し出す。
踏み込んだ右足を不快感が襲い、HPが3%程削れる。
背後に回り込む。気をつけるべきは硬質そうな鱗を纏った尻尾――
「ゴァアアーーッ!!」
瞬間、反転。
口元から眩い光と肌を焼く熱波が漏れ出ている。
口を大きく開き、そこより圧倒的な炎が放射状に放たれる。
風蝕での強引な加速で私は禄に方向転換が出来ない。
ならば、減衰させるのみ。
それ以外に生き残る手段さえ無い!
「『散魔対斬』ッッ――!!」
――斬法 地嵐
豪雷を放てる状況下には無く、横薙ぎなどでは上からの面制圧攻撃は防げない。
真っ向から全力で振り下ろし、魔法の軽減を試みる。
「ヅァッ…………!」
身を焦がす程の熱。
減衰していても、その風圧だけで私の身体は優に10m以上吹き飛ばされる。
呼吸が難しく感じるほどの熱量。
WJOに於いて呼吸は不要な概念だが、錯覚だけで息苦しさに襲われる。
「――――」
地面に衝撃を逃しながら転がって、ポーションを呷りながら素早く身体を起こす。
すぐそこまで迫る竜爪。
迎撃――不可。
剛咆――不可。
流す他無い。
「――――」
ジャリリと削るような音が耳朶を打つ。
流水で払う余裕も無いから、確実に隙間を作ることに専念。
一歩踏み込み、身体を回す。
「『練魔纏斬』!」
――斬法 渦潮
密着状態から捻りだけで放つ斬撃。
なんとか鱗の隙間を狙い斬り裂く。
僅かに赤いエフェクトが舞う。
このまま距離を離されたら先の二の舞。
ならば――
「……ふっ…………!」
――歩法 滑歩
上体の揺れを極限まで減らして像を結ばせない。
認識から逃れた一瞬で、殺意を練り上げろ!
「『練魔纏斬』」
猛る蒼炎。
その猛威は、ただ斬伐の為に。
背後から狙うは長い尾。
これが無いだけで重心がかなり変わり、背後への攻撃手段も減るはずだ。
「シャアァアアーーッ!」
――歩法 嚆矢
――斬法 豪雷
瞬間的な加速を全て一撃に乗せる。
地面が軋む程に踏み込んで、全力の袈裟を放つ。
MP消費を限界まで引き上げた一閃は、目論見通り火亜竜の尾を斬り飛ばす。
HPはこの一撃で3割。加えて、出血状態となりHPが段々と減少していく。
出血状態ってあんまり起こらないんだよね。
割りとすぐに倒しちゃうし、そもそも部位欠損とかが無いと状態にならないし。
閑話休題。
「次」
振り向き、遠心力の籠った爪での斬撃。
周囲に展開されるMPは範囲攻撃を思わせる。
爪に刀を合わせて、流すでなく押される。
放たれる『フレイムバースト』の範囲外に軽い調子で降り立って、強く地を踏み締める。
――歩法 迅雷
『バースト』の範囲外から一気に加速して、接近。
狙うは羽根。
「ガァアアッ!!」
振るわれる爪。
その後隙を潰すように周囲に火槍が6条。
――歩法 虚空
爪を躱して、懐に。
火槍の対処は面倒になったので、雑にやる。
先程振るった前足の鱗に足を掛けて、跳躍。
背に飛び乗る。
一度発動した魔法は射出方向を変えたりは出来ない。
少なくとも、現状判明している範囲では射出タイミングを変えられる程度。
ならモンスターの行動もそこから大きく変わることはないだろう。
首元に刀を添える。
左手でしっかりと保持、両足は暴れる亜竜から振り落とされないようにどっしりと。
右腕を振りかぶる。
「――オラァッ!」
――撃法 抉杭
鎚で杭を打ち込むが如く、腕を一直線に振り下ろし、刀を首筋に叩き込む。
首への攻撃ってこともあって、こんな攻撃でもHPが1割削れる。
ゴンと首元に深々と突き刺して、刀を即時持ち替える。
刀を手放さずに暴れまわる亜竜から飛び降りる。
「『練魔纏斬』!」
体重を思い切り掛けてばっさりと。
鱗の隙間から首をぶった斬り、一気に跳躍する。
急激に減少しているHP。でも、もう一押し。
「『サンダーブラスト』」
尾を斬り飛ばし、首を掻っ捌かれた亜竜に即時回避する能力が残されている訳も無く、ほぼ同座標を中心とした雷の爆発を諸に食らう。
瞬間、もう一度爆発。
火亜竜の身体がポリゴンと化し、炸裂する。
『レベルが上がりました。Lv.79ー>Lv.80』
『『刀術』のスキルレベルが上がりました』
『『敏捷大強化』のスキルレベルが上がりました』
『『雷鳴魔法』のスキルレベルが上がりました』
『『立体機動』のスキルレベルが上がりました』
『『散魔対斬』のスキルレベルが上がりました』
『『MP自動回復』のスキルレベルが上がりました』
『『魔力制御』のスキルレベルが上がりました』
ウォーミングアップには重たかったかも知れないけど、エンジンはしっかり掛かったね。
お読み頂きありがとうございます。
今後も読んでくださると幸いです。




