噂
最近、投稿が不定期になってきました……そして、相変わらずの駄文です
陽多side
学校を出て、皆と別れた俺達は三人で家に向かって歩く
「加那ちゃん、今日は良い子にしてた?」
「もちろん!私、そんなに子供じゃないよ?」
「あはは、ごめんごめん」
「いや、結構子供っぽいぞ、お前」
「ちょっと陽多さん!」
ま、加那が子供っぽいのは今に始まった事じゃないよな。
それよりも問題は……
(明日からどうするか、だな)
先生に毎日面倒を見てもらう訳にはいかないからな。加那をどうするか考えないと。
そう考えていると
「お、陽多達も帰りか?」
声をかけられ、振り返ると
「よう、今日も彼女と一緒に下校か?辰也」
「彼女じゃない!何度言えば分かるんだ!?」
「カップルさん、ですか?」
「違うってば!」
俺と初対面の加那にまで言われる二人。古村は相変わらず否定してるが……いい加減素直になった方が良いんじゃないか?
「ん?その娘は誰だ?」
辰也が加那を見ながら聞く
「始めまして、私は矢倉加那と言います」
「私は古村唯花だ。何だ、最初の勘違いを除けばなかなか礼儀正しい娘じゃないか」
「俺は市川辰也だ、よろしくな」
「矢倉は見たところ中学生くらいか。もしかして蜜柑達と同じ学校の娘か?」
古村の質問に香奈が答える
「いや……実は色々と複雑な問題を抱えていてね……」
「問題ねぇ……。俺達で良ければ話を聞くぞ」
「そうだな。問題は皆で協力した方が良い」
二人は本気で心配してくれる。
よし、この二人にも相談してみるか
「実はさ……」
俺は二人に事情を話した。勿論、加那の了解も得てから
「記憶喪失か……また厄介な問題だな」
「なるほど、では矢倉は自分が誰なのかも分からないんだな?」
古村の問いかけに加那は頷いた
「で、どうだ?こいつの記憶を取り戻す方法とか、何か良い知恵出してくれないか?」
「そうだな。唯花、どうだ?」
「少しは自分で考えてみようとは思わないのか貴様は。だがそうだな……」
お、何か良い案があるのか?
「矢倉に関係があるのかどうかは分からないが、隣町で起こった事件の噂話があるんだ」
「隣町?」
「ああ、一昨日に起こった事件なんだが、女子中学生数人が刃物で傷つけられたんだ」
物騒な話だな……
「被害者の少女達は怪我もそうだが出血が酷くてな。直ぐに病院に運ばれたんだ」
「犯人は捕まってねえのか?」
「まだ逃走中だ。だが、事件の目撃者によると犯人は二十代の男らしい」
「……ねぇ、もしかしてさ……」
香奈が少し震えながら言う
「加那ちゃんが最初に持ってたコンパスって……」
「これの事?」
そう言いながら加那はコンパスを取り出す
「持ってたのかよ!?」
「うん、何か手放しちゃいけないような気がして……」
加那のコンパス、青い部分に少し赤色が混ざったコンパス。まさかこれって……
「加那ちゃん、そのコンパスがさっきの事件の凶器かもしれない」
「ええっ!?」
「ど、どういうことだ!?」
「あくまで私の勝手な想像なんだけどさ……」
香奈はそう前置きをして話し出した
「事件の時、加那ちゃんも襲われた女の子達と一緒にいたんじゃないかな?」
「私が……?」
加那は目を見開く
「うん、そして事件に巻き込まれた。でも、辛うじて逃げられたんだよ。その時、原因は分からないけど、犯人の持っていた凶器……そのコンパスを持って逃げてきた」
「でも、何で記憶喪失に?」
「犯人に追いかけられた恐怖によるショック、じゃないかな?」
「待て!もしも今の楓実の推理が正しいのなら……矢倉は犯人に追われているんじゃないか!?」
「そうなる……ね」
加那の顔が恐怖に染まる
「でも、本当にそうなのかはわからないよ。加那ちゃんが隣町に住んでいたかどうかも分かってないし、犯人の凶器がコンパスっていうのも、私の勝手な想像だもん」
「確かにな。だが、用心はしておいた方が良いぞ。さっきの話が本当って可能性はゼロじゃねえからな」
「うん……」
辰也も心配してくれる。しかし、さっきの香奈の話が本当だとしたら……
「夜中とかは出歩かない方が良いんじゃねえか、加那?」
「わ、分かった……夜中は外に出ないようにする……」
加那は震えている。無理もないな、自分が殺傷事件の犯人に追われている、なんて可能性があるんだ、平気でいられるわけがない
「大丈夫だよ加那ちゃん。私達が絶対に守るからね」
「ああ、心配すんなって」
「二人とも……!ありがとうっ!」
加那の笑顔を見て、俺達はこの娘を絶対に守りきると決心するのだった




