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無慈悲な神様

陽多side


夜、夕飯も風呂も終わり、後は寝るだけという状況。

香奈と話したりゲームしたりしていると、香奈がそろそろ寝ようと言い出した。


俺もそろそろ眠くなってきていたので賛成し、俺達はお互いの部屋に戻った。


そして、いざ寝ようと思った時だった。携帯に電話がかかってきたのは


「……誰だ?こんな時間に……」


少し怪しみながら携帯をチェックする。そして、かけてきた相手は


「瑠美?」


この間出会い、連絡先を交換したはかりの瑠美だった。

こんな時間に何の用だ?


「もしもーし」


『あ、陽多さん!すみません、こんな時間に。もっと早く連絡したかったんですけど……』


「ん?何かあったのか?」


早く連絡出来なかったってことはそれなりの事情があったんだろうか?


『いや~……実はなゆと長電話してたんですよ。ちょっと今日会った人の恋愛事情が気になったらしくて』


「……なるほど」


菜由華は恋愛話が好きなんだな


「でもそれならわざわざ今日電話してこなくても良かったんじゃねえか?」


明日に電話すれば良い話だしな


『いえ、どうしても今日、陽多さんに聞いておきたい事があるんです』


「何だよ?」


『それはですね……』


そして、瑠美が真剣な声で言った


『陽多さん!数学のテストは何点でしたか!?』


「………はい?」


あまりに予想外すぎる質問に、俺は思わず聞き返した


『ですからっ!数学のテストの点数を教えてほしいんですよ!』


「な、何でお前にそんなこと話さにゃならんのだ!?」


『私、今回40点しか取れなかったんです!ですから陽多さんの点数を聞いて安心しようかと思って』


「最悪の理由だなおい!」


絶対に教えてやらねえ……と思ったが


「ったく仕方ねえな。特別に教えてやるよ」


『本当ですか!?な、何点だったんですか!?』


そして、俺は瑠美に数学のテストの点数を教えてやった


「50点だ」


『……………………………………………ふえ?』


長い沈黙の後、瑠美はおかしな声で反応した


『またまたぁ、見栄張らないで本当の点数を……』


「間違いなく50点だ。何なら今度テストを見せてやろうか?」


『ほ、本当……に……?』


「おう」


そして再び沈黙する瑠美。しかし、それは突然破られた


『うわああああああああああああああん!!』


「っ!!い、いきなり大声で泣き出すな!」


『負けた……陽多さんに負けたぁ……!もうおしまいよぉ!!』


「どういう意味だこらぁ!」


俺の言葉を無視し、瑠美は泣きまくる


『ああ神様!数学の神様ぁ!私に救いをください!』


「そんなものはない」


『いやああああああああ!!』


俺が冗談で言うと瑠美は再び大声で泣く


『もう……もう良いわよ!数学の神様なんて……』


「お、おい瑠美?」


『………大っ嫌いよぉ!!』


そして、瑠美の電話は切れた


「………何だかなぁ」


少し心配になったが、一先ず瑠美の事は忘れて寝ることにした













翌朝 蜜柑side


(あの……菜由華ちゃん?)


(……何?)


(瑠美ちゃん、どうしたんでしょう……?)


(私も知りたいよ……)


私達三人はいつも通り、一緒に学校に向かっていました。

……失礼しました、いつも通りではありませんでした。

と、言うのも


「………」


いつも元気な瑠美ちゃんが今日は凄く暗いんです。

俯いたまま歩いてますし、黒いオーラが出てますし……


「ふふ……数学の神様なんて滅びれば良いのよ……」


何やらブツブツ呟いてますし……とにかく様子がおかしいです


(ほ、本当にどうしたんでしょうか。数学の神様を恨むような事ばっかり言ってますよ)


(数学に関係する事なのかな……?)


……ええい、このまま考えてても分かりません!瑠美ちゃんに話しかけてみましょう!


「る、瑠美ちゃん?」


「………」


「瑠美ちゃ~ん……」


「………」


反応ゼロ。これでは会話すらできません。

と、思っていた時、瑠美ちゃんが突然顔を上げました


「ああ、そうだ……私が滅ぼせば良いんじゃない……」


「えっ?」


「オレンジ、なゆ、私はちょっと行ってくるわ」


そう言って、瑠美ちゃんはどこかに走り出そうとします。

ま、待ってください!


「ど、どこに行くんですか!?そっちは学校じゃないですよ!」


「瑠美ちゃん落ち着いてよ~!」


「放して!私は行かないといけないのっ!」


私と菜由華ちゃんが抑えると瑠美ちゃんは大暴れします


「どこに行くって言うんですか!」


「決まってるじゃない!数学の神様のいる所に行くのよ!そして奴を完全に滅ぼすのよ!」


「数学の神様のいる所って……どこ?」


「知らん!出てくるまで探してやるわ!」


「何て無計画な!」


「とにかく!学校に連れていきましょう!」


「う、うん」


私達は瑠美ちゃんを引きずって学校に向かいました


「放せえええええええええ!!」


「暴れないでください!」


はぁ……今日は朝から大変です

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