逃亡劇
香奈side
家に帰り、携帯を取ってきた私は待ち合わせ場所に急いでいた
「う~…、もう間に合わないかも…」
このままだと遅刻は確定だ。皆を待たせないためにも急がないと
「もう……何で忘れ物なんてしたかなぁ…」
普段から陽多君に忘れ物しないようにって注意してる私がこれじゃあね……
「……とにかく急がなきゃ」
そう呟いた時だった
「わっ!?」
「えっ!?」
横の道から誰かが飛び出してきた。
あ、危ない……ぶつかりかけたよ
「ご、ごめんなさい。急いでいたもので……って香奈さん?」
「あっ!蜜柑ちゃん!」
飛び出してきたのは何と蜜柑ちゃんだった
「急に飛び出してきたら危ないよ蜜柑ちゃん」
「ごめんなさい……」
何だか凄く慌ててるね
「何をそんなに急いでるの?」
「実は今、追われてまして……」
「追われてるって…誰に?」
「友達にです」
……何をやったんだろう、この娘は
「何をしたのか知らないけど、大人しく謝った方が良いんじゃない?」
「それで済むならこんなに逃げ回ったりしてませんよ!」
「まさか……謝っても許してもらえないの?」
本当に何をしたんだろう……?
「今の彼女は暴走状態です。何を言っても聞いてくれないと思います」
「暴走……何とかならないの?」
「うう……せめて瑠美ちゃんがいれば……」
瑠美ちゃん……別の友達かな?
「その瑠美ちゃんは今来れないの?」
「私達を捜してると思います。いずれ見つけてくれるのを祈るしかありません」
何か……大変な事になってるんだなぁ
「じゃあ私は行きます。では」
「待って、私も行くよ」
「え!?どうしてですか?」
「蜜柑ちゃんが困ってるのを見過ごせないからね」
これは最早病気だと思う
「でも……迷惑じゃ……」
「良いの。私が勝手に手伝いたいだけだから。ね?」
「……ありがとうございます!香奈さんは本当に良い人です」
「じゃあ行こっか、蜜柑ちゃん」
「はい!」
私と蜜柑ちゃんの逃亡劇が始まった。
この時点で、私の頭から待ち合わせの事は消えてしまっていた
空side
俺達はしばらく走りながら、菜由華の友達を捜していた。
すると、菜由華が足を止めた
「どうしたの?」
「いえ、別に走りながら捜さなくても良いんじゃないかなって」
「そういえばそうだね」
「はぁ……はぁ……」
「大丈夫?優里」
「二人とも……速すぎよ……はぁ……」
優里には無理をさせちゃったな
「ごめん。やっぱり優里は無理に付き合わなくても……」
「良いの……自分で手伝うって言ったんだから、途中で投げ出したりはしないわよ…」
優里は自分でやると決めたものは絶対にやるって賢也から聞いた事あるけど……ここまでやるんだね
「ふぅ……もう大丈夫よ」
「優里さん、ありがとうございます。私の為に手伝ってくれて」
「気にしなくて良いのよ。さ、早く捜しに行きましょ」
「うん、このままだと間に合わなくなるしね」
待ち合わせ時間に
陽多side
「いねぇな……」
「いないね……」
「いませんねぇ……」
俺達は待ち合わせ場所の近くを捜索しているのだが……この辺りには皆いないようだ
「暁の友達もどこまで行っちまったんだろうな……」
「分かりません……あの娘達は何を仕出かすか分からないし……」
仕出かすって……暁の友達はそんなに危険なやつらなのか?
「いつもこんな感じなのか?暁の友達は?」
「いつもって訳じゃないですね。暴走した時だけです」
「……今まではどうしてたんだよ?」
「私が暴走を止めてました。でも、今回は止める前にいなくなっちゃったから……」
ふむ、暴走か。人の暴走って恐ろしいよな。香奈のヤンデレモードを何度も体験してるからよく分かる
「早く見つかると良いね、暁さんの友達」
「紗季さん達の友達もですよ。早く皆を見つけましょう!」
本当に元気な娘だな。暁は
「皆どこに行ったんだ~?そこら辺の家の中に隠れてるのかな~?ちょっと家を見てきましょうか?」
「隠れてないから見てこなくて良い!お前が不法侵入しただけで終わりそうだし!」
「そうですか……あっ!そこのゴミ箱の中とか!?」
「女の子はそんな所に入らないと思うよ。空君は分かんないけど」
「かくれんぼしてる訳じゃねえんだぞ!?」
まぁ確かに空ならゴミ箱に平気で入りそうだが……いやいや、俺達から隠れてる訳じゃねえのにゴミ箱に入る理由がないだろ
「むぅ……じゃあどこに行ったんだろう?」
「少しは真面目に考えてみろよ」
「……分かった!宇宙人にさらわれて宇宙に行ったんだ!」
「真面目に考えてそれかよ!?」
「本当なら大ニュースだね」
「あはは、冗談ですよ。本当はですね」
む、そろそろ真面目な答えが
「数学の神様に連れていかれてしまったんですよ!」
「お前に期待した結果がこれだよ!」
「いやいや間違いないですって!きっと私がこの間数学の神様に祈った時に、心の中で『さっさと私に力を与えろバカ!』って言ったのがバレたんですよ!」
「なにそれ怖い」
というか数学の神様に祈るって何だよ?何があったんだよ
「はぁ……とりあえず他を捜そう。この辺りにはいないようだし」
「そうだね。ねぇ陽多君、数学の神様ってどうすれば会えるのかな?」
「紗季も信じるんじゃない!」
大体本当に数学の神とやらが犯人だったら暁がそもそもの原因じゃねえか
「とにかく行くぞ!二人とも」
『は~い』
ったく、こいつらは……




