夕食の後のイチャイチャはどうですか?
自宅に帰ってきた俺達は、とりあえず部屋着に着替えた。
俺はいつも部屋着はジャージを着ている。
一方、天音は鎖骨が見えるシャツに短パンというカジュアルな装い。部屋着なのにメチャクチャ可愛い。
さすがモデルをしているだけのことはあるよな。
こんなに可愛い天音を俺は彼女にしてしまったのか。最高過ぎるだろ。
長い髪を耳にかける姿に見とれていると、天音は「なに?」と訊ねてきた。
俺は慌てて答える。
「そ……そういえば、これからどうするんだ?」
今日のお弁当の時間に天音は、『家に帰ったら、覚悟しててよね』と言った。
恋人らしいことをするという意味合いだったみたいだけど、なんだろう……。
男子高校生の妄想のせいで、変なことばかり考えてしまった。
だけど天音は普段通りのクールな口調で言う。
「お母さんが帰ってくるのが遅いから、夕食は私が作るね」
「えっ?」
「え? なに? 私が料理作るのって変?」
「変じゃないけど……。えーっと、恋人らしいことって、もしかして手料理?」
「そうよ? 他になにかあるの?」
「う……うん。そうだよな。はは……」
俺が苦笑いをして誤魔化すのを見て、天音は楽しそうに微笑んだ。
「大丈夫。ちゃんと食事の後も考えてるから」
「食事の後?」
「いいから。ほら、お料理するから春彦は他のことをしてて」
キッチンから追い出された俺は、とりあえず自分にできる用事をすることにした。
まずは風呂を掃除して湯を張る。
洗濯物は葉子さんが畳むところまでやってくれているので、あとは部屋の掃除くらいかな。
そしてしばらくして俺はキッチンに戻った。
「こっちは一通り終わったけど。何か手伝おうか?」
「大丈夫よ。そもそも春彦って料理できないでしょ?」
「ん~、得意料理はレトルトカレーかな」
「そんなボケ、求めてないから……。じゃあ、食器の洗い物があるから洗ってくれる?」
「わかった」
こうして俺は調理をする天音の横で、洗い物をすることにした。
「でも天音も小学生の頃は、料理が嫌いとか言ってなかったか?」
「う~ん。まぁ、そうなんだけど……。中学生くらいからお料理の勉強も始めたの」
中学生の時期と言えば、俺と天音が喋らなくなった時期だ。
あの頃から天音は女の子らしくなって、みんなの人気者になったんだよな。
「私さ、もし春彦と付き合えたら手料理を食べさせてあげたかったんだよね。こう見えて、結構練習してたんだから」
「……天音」
俺のためにそんな前から頑張ってくれていたのか。
めちゃくちゃ嬉しい。今すぐ抱きしめたい気分だ。
「はい、できたよ」
完成した料理はカルボナーラ。
クリーミーなソースを絡ませたパスタの上には半熟卵が乗っていた。
「おぉ! すっげぇ、美味そう! 手作りのカルボナーラなんて初めてだ! 感動するよ!」
「……大げさね」
「そうは言うけど、ずっと父さんと二人暮らしだったんだぞ。レトルトと冷凍食品ばっかりで手作りが新鮮なんだ」
「ふ~ん。まっ、そんなふうに喜んでくれると、作るこっちとしても嬉しいんだけどさ」
テンションが上がった俺が絶賛するのが恥ずかしかったのか、天音は視線を泳がせながら長い髪を指でくるくるといじり始める。
時折見せる天音が恥ずかしさをごまかそうとする時のしぐさだ。
こういうところは小学生の頃から変わってないな。
こうして最高のカルボナーラを食べ、俺達は順番に風呂に入った。
天音が先に風呂に入り、そのあと俺が入る。
湯から上がって髪を乾かした俺がリビングに戻ると、パジャマ姿の天音がカーペットの上に足を崩して座っていた。
「春彦、こっち」
「なに?」
天音は正座をして、自分の膝をポンポンと叩く。
「ここ。ここに頭をのっけて」
「え……、それってもしかして、ひざ枕?」
「そっ。耳かきしてあげる」
マジで!?
もしかして天音が言っていた『食事の後も考えてるから』という言葉の意味はこう言う事だったのか!
でも……いいのか?
ひざ枕ってなんか、特別感がハンパないんだけど。
だって天音のふとももって白くて綺麗だし……。
でもここで何もしないなんて、そっちの方が失礼だ。
よ、……よし!
ひざ枕で耳かきをしてもらうぞ!
緊張しながら、俺は天音の膝に頭を置いた。
すると天音は綿棒を使って、俺の耳を優しく掃除をしてくれる。
くすぐったい時もあるが、それが気持ちいい。
まさに夢のような心地よさだ。
「どう? 気持ちいい?」
「お……おう」
「緊張しちゃって、可愛いね」
そう言って、天音は俺の耳に息を吹きかける。
「~~~~ッ!?」
「ふふふ」
耳掃除が終わった後、天音は俺の耳たぶを優しく指でなでた。
その指使いがまた気持ちいい。
ヤバいな……。これ、クセになりそうだ。
「あのさ……、春彦」
「なに?」
「私、めっちゃ幸せ……。どうしよう……」
「俺も……すごく幸せだ」
すると天音は俺の耳元で、聞こえるか聞こえないかという小さな声でささやいた。
「これから毎日、いっぱい甘やかしてあげるね」
毎日こんな幸せが続くのか。
最高過ぎる……。
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