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再び霧咲邸へ


 もしかすると霧咲さんと俺は腹違いの姉弟かもしれない……。

 そのことを聞いた俺は、再び霧咲さんの自宅を訪れることになった。


 霧咲さんの豪邸に入るや否や、メイド姿をした日七瀬さんが目をぱちくりとさせてこちらを見る。


「あれ? 春彦さま? どうしてここに……」

「おはよう、日七瀬さん。実は……」


 ここに来た理由を言いかけて、俺は言い淀んだ。


 もしかすると霧咲さんの本当の父親は、俺の父さんかもしれない……なんて、とても気軽に話せることではない。


 するとすぐ近くにいた霧咲さんが、意外なほどアッサリと事情を説明する。


「純一郎おじ様が私の父親かもしれないことを、春彦さんにも話したのよ」

「えっ!? 話しちゃったんですか!」


 どうやらこの様子からすると、日七瀬さんも知ってたみたいだな。


 以前から日七瀬さんは何かを知っていて隠している節はあったし、何より彼女達は親友だ。

 こういった話は共有していてもおかしくはないだろう。


 こうして俺達三人は、霧咲さんの自室へと移動した。


 お嬢様というだけあって、部屋はかなり広い。

 しかも家具は高級なものばかり。

 やっぱり金持ちはちがうなぁ……。


 霧咲さんは机の引き出しを開いて、一枚の封筒を取り出した。

 それを俺の元へ持ってくる。


「ほら、これよ」


 それはとてもシンプルな白い封筒だった。

 だけど使われている紙質は上等なものだということは、少し触るだけですぐにわかった。


 裏を見てみると『高峰純一郎様へ』と書かれている。

 

 封筒を開けて中に入っている便箋を開くと、英語がびっしりと書かれていた。

 その内容は一言で言えば、恋人への想いを綴ったものだ。


「う~ん。確かに父さん宛てのラブレターみたいだね……」


 この文章だけなら間違いなく父さんと霧咲さんの母親が元恋人というのことになるけど、ちょっと引っ掛かることがあった。


 それは文章のなかに、父さんの名前も霧咲さんの母親の名前も書かれていないことだ。


 こういう文書って自然と相手の名前を書いてしまうのではと思うけど、不自然に名前を書かないようにしているように感じる。


 恋文であることに間違いはないけど……、なんかおかしいな……。


 霧咲さんはデスクに備え付けの椅子に座って、足を組む。


「これを見つけたのは一ヶ月ほど前。日付は私が生まれる一年前だから、可能性としては十分に純一郎おじ様が私の父親の可能性があるってわけ」

「霧咲さんのご両親の反応は?」

「お父様や純一郎おじ様に探りを入れてみたけど、よくわからなかったわ……。真相を知ってそうなお母様はしばらく海外出張だし」


 本当の真実を知るには、霧咲さんのお母さんに話を聞くしかないってわけか。


「一カ月前ってことは、父さん達が再婚をする少し前か……。あれ? じゃあ、もしかして、霧咲さんが俺に絡むようになった理由って……」


 俺のさりげない疑問に、日七瀬さんが頷いた。


「はい。……純一郎様がお嬢様の本当の父親かもしれないという疑いが生まれたからなんです」

「そういえば日七瀬さんはずっと、霧咲さんが俺の事を本当に好きなわけじゃないって言ってたもんね。つまりこういうことだったんだ」


 なるほどね。

 ずっと霧咲さんや日七瀬さんの思わせぶりな言葉が気になっていたけど、このことを隠していたんだ。


 まぁ、こんなことをほいほいと話すわけにはいかないもんな。


「う~ん。でも、そんなことあるのかな? 父さんはああ見えて、家族を第一優先で考えるタイプなのに……」


 俺の疑問に、日七瀬さんは可愛らしく人差し指を立てて、真剣な表情で訊ねてきた。


「でも、春彦さま。純一郎様の変わった性格と、お嬢様の重度の中二病を比較してみてください。……似ていると思いませんか?」

「……。……。……たしかに。……急に説得力が出てきた」


 それにしても、もしこれが本当なら大変なことだよな……。

 最悪……、霧咲家と高峰家の両方の親達が離婚……なんてこともあり得る。


 ……と、ここで日七瀬さんはあることを訊ねてきた。


「ところで春彦様。このことは天音様に話されるのですか?」


 そうか。こんな重大なことなら天音にも伝えておいた方がいい。

 でも真偽がわからないのに、むやみに不安を与えるのもよくはない。


 こういう場合、話す方がいいのだろうか? それとも隠しておく方がいいのだろうか?

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


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投稿は、毎朝7時15分頃です。

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― 新着の感想 ―
[一言] ふむ、お嬢様の行動にはそのような裏があったと。 でもまあ、ねえ。あの父親ですからねえ/w エキセントリックな性格が遺伝したのでは、というのはなんか結局嬉しくないような。
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