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月野さんがやってきた


「じゃあ、私はモデルの仕事に戻るわね」

「ああ、いってらっしゃい」


 天音は自宅の前に止まっていた軽自動車に乗り込んで、そのまま行ってしまった。


 運転席にはまさにモデルと言わんばかりの美人が乗っていたけど、あの人が天音のマネージャーなのだろうか……。


 自宅入口で天音が去って行くのを確認した日七瀬さんは、ふぅ……と安堵をため息をつく。


「天音さま、行ってしまわれましたね。私達の関係がバレなくて助かりました」

「何かあるみたいに言うの、やめてくれない?」


 でもさっきは本当に危なかった。

 アクシデントだったとはいえ、日七瀬さんと抱き合っていたところへ天音が帰ってくるんだもんな。


「これからどうされますか? 昼食まで時間がありますし……」

「う~ん。実は何も予定を入れてなかったんだよね」


 すると日七瀬さんが、モジモジし始める。


「そ……、それなら……、わ……私と……。夏休みの課題を……」


 小声なので聞き取りにくいけど、どうやら一緒に夏休みの課題をしたいようだ。

 こういうのは早めにやっておいたほうがいいし、この後の予定もない。


 じゃあ、この後は夏休みの課題を……と、思った時だった。


 急に背後から女子の声が聞こえた。


「おはよう、春彦君」

「え? 月野さん?」


 そう、突然声を掛けてきたのは、委員長の月野さんだった。

 今日は夏らしい肩だしの私服を着ている。


「天音さんはいる?」

「あー。今日はモデルの仕事で、夕方まで帰ってこないんだ」

「えー! そーなの? 知らなかったわー!」


 わざとらしく驚く月野さん。

 なんか、すごく嘘くさいっていうか、天音が留守になることを知っていて来たような言い方なんだけど……。


「そっかー。残念ね。ご両親がお留守だから、家事の手伝いをしようと思ってきたんだけど……。じゃあ、今から春彦君と二人で……って、あれ?」


 ここで月野さんは、ようやく俺の陰に隠れていた日七瀬さんの存在に気付く。


 同時に瞳から光が消え……、にっこりと笑う。


「……あら、日七瀬さん。あなたも来てたの」

「どもです」


 例えようのない月野さんのプレッシャーに、日七瀬さんは応戦をする様子を見せた。


「家事のお手伝いなら、終わらせました。なので月野さんは大丈夫です」


 ピリピリと空気が張り詰める。

 日七瀬さんの反撃を受けて、月野さんはあえて笑顔を崩さない。


「じゃあ、私は春彦君と夏休みの課題をしようかしら。こういうのは早めにやっておいた方がいいし」

「いえ、それも私が一緒にやります」


 怖い、怖い!

 二人とも怖いって!!


「日七瀬さん、家事をして疲れたでしょ? あとは私に任せて♡」

「この程度は準備運動みたいなものです。月野さんこそ、夏休みを楽しんでください♪」


 語尾だけ可愛らしくして、緊張感を高めるのやめて!!!!!

 本当に怖いから!!!!!!


「そっ? じゃあ、春彦君と一緒に楽しませてもらうわね」

「春彦様は私と夏休みの課題をする予定です」

「あら、偶然。私も夏休みの課題の準備をしてきたの」

「なんですかそれ。二人っきりで勉強するフリをして、いい感じになるのを狙ってるとしか思えませんけど……」

「うふふ。それって日七瀬さんのことじゃないの?」


 ここでようやく、二人の表情に変化があった。

 ムッとした様子で日七瀬さんは抗議を訴える。


「大体その服なんですか。肩出しの服なんて狙ってるとしか思えませんよ。脇汗とか気にならないんですか?」

「わ……わき……。この……。言ってはいけないことを……サラっと……」


 ひきつった顔でショックを受けた月野さんは、ギラリと瞳を鋭くする。


「そっちこそ! フリフリがついたメイド服なんて暑いだけで実用性は低いでしょ! 本当はスカートをバサバサして、涼しくしたいんじゃない?」

「そ、それは……。うぬぬ!」


 やっばいなぁ……。

 このままだと玄関先でケンカを始めちゃうぞ。


 うーん。仕方がない。

 二人を家に入れて、仲良くなれるようにしてみるか。


「えーっと。せっかくだし、三人で課題をしようよ。ねっ?」

「まぁ、春彦君がそう言うなら……」

「仕方ないですね……」


 こうして俺達三人は一緒に夏休みの課題をすることになった。

 たぶん……大丈夫だよな……。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


「面白かった」「続きが気になる」「月野さんの夏の私服を見てみたい!」と思って頂けたら、

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よろしくお願いします。


投稿は、毎朝7時15分頃です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 常に隙がないかと肉食獸たちに狙われていますねえ。 食べられてしまわないでしょうか/w
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