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メイドのご利用は計画的に


「ごちそうさま」

「ふふふ……。お粗末様です」


 二人っきりの生活が始まって二日目。

 朝食を食べ終えた俺達は食器を片付けていた。


「天音って、本当に料理が上手だよな」

「まだまだよ。効率だって悪いし」

「そうか? 結構早いと思うけど」

「そこは冷凍技とレンジ技のおかげ。下準備や調理そのものは遅いから」


 俺はそこまで料理に詳しくないからわからないけど、天音はそう感じているのか。

 どっちかっていうと葉子さんがハイスペックすぎるだけだと思うけど。


「そういえば春彦。……私、今日は夜までモデルの仕事なんだけど大丈夫かな?」

「ああ、掃除とか洗濯は俺がやっておくよ」

「……結構な量よ?」

「大丈夫だって」


 とはいったものの、俺一人でできるだろうか?

 父さんと二人暮らしの時は適当にしていたんだよな。掃除なんて、一日一部屋を日替わりで順番にしていただけだし……。


 その時だった。


 ピンポーン……と、インターホンの音が鳴る。

 誰か来たようだ。


 玄関のドアを開けると、そこにはちっちゃな美少女・日七瀬さんが立っていた。


「はふぅ。お……おはようございます。春彦様」

「日七瀬さん、おはよう。こんな朝早くにどうしたの?」

「えっと、二人だけだと大変だと思って……」

「もしかして家事の手伝いに来てくれたの?」


 すると日七瀬さんは『コクコク』と可愛らしく頷く。

 やっぱりこの子、小動物系だよな。


「う~ん、嬉しいけど……。悪いような……」

「私はメイドなのでこういうのは慣れてます。それに作り置きするおかずの材料も買ってきました」


 そう言って日七瀬さんは食材が入ったトートバッグを持ち上げてみせる。

 ここまで用意してくれると、さすがに断りにくいな。


 ……と、ここで天音が会話に入ってきた。


「私もいないし、手伝ってもらったら? せっかくこうして来てくれたんだし」

「そうか……。じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」

「はい!」


 こうして日七瀬さんが、今日の家事を手伝ってくれることになった。


   ◆


 天音が自宅を出た後、メイド服に着替えた日七瀬さんがリビングにやってきた。


「おぉ! 本格的なメイド姿に!」

「これが私の正装なので……」


 以前、霧咲さんの豪邸に行ったことはあるけど、あの時は学校の制服のままだったから、日七瀬さんのメイド姿を見るのは初めてだった。


 しかも自宅のリビングで見ることになるなんて!

 これってちょっと感動だよな。


 天音もメイド服、着てくれないかな?

 絶対に可愛いと思うんだけど。


「それでは、ちゃちゃっとやってしまいますので、春彦さまはゆっくりくつろいでいてください」


 こうして日七瀬さんは家事をやり始めた。

 洗濯・洗い物・掃除と、段取りよくテキパキとこなしていく。

 その動きは葉子さん以上だ。


「へぇ……。日七瀬さんって本当にすごいね」

「お褒めに預かり光栄です」

「そういえば、今日は霧咲さんと一緒じゃないんだね」

「世話役と言っても私はアルバイトみたいなものなので、四六時中というわけではないんです。それに……」


 一度言葉を切った日七瀬さんは、視線を部屋の隅に移動させた。


「お嬢様は高峰家には近づけませんから」

「え? それってどういう……」


 霧咲さんは謎が多い。

 かなり小さい頃に俺と仲良くしていたらしいけど、俺を自分のモノにするといいながら、どうも好きとかではない様子だ。


 そして日七瀬さんの今の一言……。

 なにかありそうなんだけど……。


「あ、洗濯が終わりましたね。ちょっと行ってきます」

 

 日七瀬さんはそれ以上のことは話そうとせず、ひょいと顔を上げた。

 ん~。なんか気になるんだよなぁ。


 日七瀬さんは洗濯物をカゴに入れ、ベランダへ向かおうとしていた。

 そして俺のすぐ近くで、足を滑らせる。


「あっ!」

「危ない!」


 俺は咄嗟に彼女を受け止める。


 続けて宙をまったカゴをキャッチ!

 頭の上で洗濯物が入った大きなカゴを支える形となった。


「日七瀬さん、大丈夫?」

「は、はふぅ……」


 日七瀬さんは俺の胴体に抱きついたままだ。

 彼女のたわわな胸が、ムニムニと当たっている。


 うぅ……、日七瀬さんってちっちゃいわりに胸が大きいんだよな。


「あわわわ! 私、春彦様に抱きついてしまって何を!! でも、離れることができません!」

「日七瀬さん、落ち着いて! 手を離せばいいんだよ!」

「手が動かないんです!」

「なんで!?」

「体がくっついていくんです!!」

「だからなんで!?」

「わかりません!」


 完全にパニックになった日七瀬さんは、俺の腹部に顔を埋めた。


「うわあぁぁ!! 春彦さまの腹筋、最高ですーっ!! この香りがたまりません!!」

「落ち着いて、日七瀬さん!!」


 その時、予想外のことが起きる。


 玄関の方から、『ガチャリ』と音がした。

 同時に、俺と日七瀬さんは緊張で固まる。


 そう……、帰ってきたのは天音だ!


「この場面を天音様に見つかったら、私はデスされちゃいます!!」


 日七瀬さんは勢いよく、ソファに向かってダイブ!!

 そこで何を思ったのか、クッションをラッコのようにもって仰向けになる。

 たぶん、無実を証明する彼女なりの体勢なのだろう。

 つくづく小動物系だな……。


 そしてリビングのドアを天音が開ける。


「あー。ごめん、ごめん。忘れ物しちゃった……って、二人とも、何してるの?」

「えーっと。……洗濯物を干しに行くところ……かな?」

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


「面白かった」「続きが気になる」「メイド服の日七瀬さんを抱きしめたい!」と思って頂けたら、

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よろしくお願いします。


投稿は、毎朝7時15分頃です。

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― 新着の感想 ―
[一言] まだまだ想いは無くなっていない彼女。 うーん、二人きりにするのはやっぱり危険だぞ/w
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