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天音のエプロン姿


 その日の夕方。

 授業を終えて自宅に戻った俺と天音はリビングでくつろいでいた。


「そろそろ今日の夕食を作るけど、食べたいものとかある?」


 最近は葉子さんが早く帰ってくる場合が多いけど、基本的に夕食は天音が作っている。

 もちろん一人では大変なので、俺も洗い物や掃除を手伝ってサポートしていた。


 しかし、食べたいものって言われると、なんて答えていいかわからない。

 あまり手間のかかるものは迷惑だろうし、天音の好みだってあるだろう。


「天音の作るものなら、なんでもいいぞ」


 すると天音はわざとらしく困った表情で抗議する。


「あのね……。なんでもいいが一番困るんだけど……。う~ん、それじゃあ……肉じゃがでいい?」

「肉じゃが? あれって時間がかかるんじゃ……」

「レンジを使った時短テクニックがあるのよ。味も染みて、結構おいしんだから」

「へぇ、そうなんだ」


 それから天音は髪を後ろでまとめて、薄い水色のエプロンを掛けた。

 天音が使っているエプロンはシンプルなデザインで、後ろで腰ひもを結ぶタイプ。

 彼女の綺麗なボディラインがハッキリとわかるので、なかなか魅力的だ。


 天音は胸の大きさを気にしているらしいけど、標準的な大きさだし、むしろバランスが取れていて美しいと思う。


 くぅ~! エプロン姿の天音を見ているだけで幸せだ!


 一方、天音は手早く調理を進めていた。

 ボウルに切った食材を入れてラップをし、レンジに入れてタイマーをセット。手慣れたものだ。


 そして俺の視線に気づいて、彼女は照れくさそうに唇をすぼめた。


「もうっ。ジロジロ見ないで。恥ずかしいでしょ」

「ははは、ごめん。天音のエプロン姿を見ると、なんか落ち着くから」

「そうなの?」

「うん」


 エプロン姿の天音を見ていると、なんだかこのまま結婚して幸せな家庭を築けるんじゃないかな……なんて考えちゃうんだよな。


 すると天音がちょこちょこと近づいてきた。


「そ……、そういえばさ。まだ前からハグをしてもらったことがないんだけど……」

「え? そうだっけ……」

「うん。今なら両親もいないし、調理はレンジで加熱中だから手持ち無沙汰だし……。さ……さびしいし……」

「天音……」


 うわぁぁぁっ!! なんだ、この可愛すぎるカノジョは!!


 そんなことを言われたら、理性なんて無視して抱きしめたくなっちゃうじゃないか。


「じゃ……じゃあ……。い、いくぞ?」

「うん」


 俺は緊張しながらも天音を抱きしめた。

 エプロンの布地の感触が心地よく、そのことが彼女に触れているという感動をより強調してくれる。


 柔らかくて、暖かくて、癒される。

 俺の、俺だけの天音だ。


 するとなぜか、天音がうめき出した。


「ぅぅぅぅ~~~~~っ! どうしよう、春彦ぉ~!」

「なに?」

「幸せ過ぎて、どうしていいかわかんないよぉ~~~~!」


 かわゆすぎか!!!!!

 さらに天音は言葉を続けた。


「ま、また……、キスする?」

「そ、そうだな。しよっか」

「うん」


 そうして唇を近づけようとしたとき……。


 チーン……と、レンジが調理終了の音を鳴らした。


 くっそぉ……いい時に……。

 もうちょっと空気を読んでくれよ、レンジ先生!!


「レンジの過熱が終わったけど……」

「だ……大丈夫。このまま続けよ」


 そうだよな。こんなところで止まれないよな。

 俺達は再び、キスをしようと唇を近づけた。


 だが今度は、『ピーッ!』と笛付きヤカンが音を立てる。


「ヤカンが鳴ってるけど……」

「ちょっとだけなら大丈夫よ」


 ……なんかもう、ムードもへったくれもなくなってきた。

 こうなったら意地でもキスをしてやる。

 

 そう思った時、今度は玄関のドアが開いた。


「ただいまぁ~!」


 この声は父さんだ……。

 普段は遅いけど、最近帰ってくるのが早いんだよな……。

 でも、よりにもよってこんなタイミングなんて……。


 ことごとくキスを妨害されてムスッとした表情をする天音に、俺はなぐさめるように言う。


「父さんが帰ってきたから、今日はここまでにしようか」

「うん……」


 不謹慎ではあるが、いじけている天音もすごく可愛い。


 帰ってきた父さんはリビングのドアを開いて、大きな声で挨拶をする。

 だが、そのテンションが妙だった。


「やぁ! 春彦に天音ちゃん! 今日も素敵な学園生活をエンジョイしていたかい!!」

「と……、父さん。……どうしたの?」

「どうもしないさ! 俺は今はこの世界のすばらしさに感動をしているんだ! あぁ! 空が青いなー!」

「今は夜だよ?」


 なんだろう……。

 もともとテンションは高めだけど、今の父さんは変だ。


 すると今度は葉子さんが帰ってくる。


「ただいま」


 その声を聞いた父さんは、素早く葉子さんのところへ駆け寄った。


「葉子様ぁぁぁぁーっ!! よくお帰りになられました! ささっ! この椅子のおかけくださいませ!!」

「あらあら。しっかりお仕置きが効いたみたいね。よきに計らってね」

「ありがたきお言葉あぁぁぁぁぁぁーッ!! この純一郎、一生あなたについていきます!!」


 ちょ……ちょっと待って!!


 確かに朝、四十パーセントのお仕置きをするとか言ってたけど、人格が変わっちゃてるじゃん!!

 もうこれって調教じゃん!!


 葉子さん! いったい、お仕置きって何をやったんだ!?

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


「面白かった」「続きが気になる」「エプロン姿の天音ちゃんをハグしたい!!」と思って頂けたら、

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皆様の応援がモチベーションに繋がります。

よろしくお願いします。


投稿は、毎朝の7時15分頃です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 先輩やら先生やら、相変わらず活躍/w 家庭内の序列はもう変わりようがありませんね
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