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開かぬ門?

いつもお読みくださりありがとうございます。

前にも宣伝いたしましたが12月28日に漫画版8巻が発売となります。

是非お読みいただけると幸いです!

表紙のエステルが今回もとても可愛いので見ていただけたら嬉しいです!


 砦の通路を進み始めて2日経過し、俺達はとうとう最深部らしき場所へ到達した。

 そこには追い求めたドワーフの地下都市が存在……せず、立派な城壁で築かれた砦があるだけで行き止まり。

 つまりこの通路は外れ、外れです! 嘘だと言ってよ!

 その事実を認めたくなくて砦を探索してみたものの現実は非情だった。


「うわぁ……マジで行き止まりかよ」


「やっと奥まで来たけれどこの道は不正解みたいね。ここまで来るのに2日はかかったのに……はぁ、嫌になっちゃうわ」


「もうマジ無理……ぱたり」


「ルーナさん! ああ、こんなお姿になって……」


「2人して何やってるんでありますか……」


 青い顔をして倒れかかったルーナを抱き締めてシスハが泣き叫んでいる。

 また茶番をしてやがると思いたいところだが、あんだけ長時間かけてここまで来たのに行き止まりとか俺も膝をつきたい。

 これでまた来た道を戻るとなると……もうマジ無理、家に帰りたくなってきた。

 ノール達も同じ思いなのかどんよりとした空気が流れていたが、そんな中元気ハツラツと1人探索を続けていたフリージアが何やら騒ぎながら駆け寄ってくる。


「平八! また物が落ちてたんだよ!」


「ん? これは随分とぶっとい矢だな……てかこれ殆ど金属で作られているのか?」


「砦にある弩砲から撃ち出すための物かな。坑道で拾った剣と同じ模様が入っているし、ここを守っていた人達とあの剣はやっぱり関わりがありそうだね。ククッ、面白くなってきた!」


 フリージアが持ってきたのは両手で抱える程の大きさの矢。

 砦には固定された大きな弩砲が何個も配置されていて、この矢はそれで使用するための物か。

 持ってみるとずっしりと重みを感じ、棒の部分まで謎の金属で作られている。もう矢って言うよりこれは槍だぞ。

 弩砲は破壊されたのかバラバラになっているけど、金属製だしかなりしっかりとした作りだったんだろうな。

 マルティナの言う様に矢や弩砲の金属にも模様が入っているから、これを作ったのは恐らく坑道で拾った剣と同じ人達なんだと思う。

 それからしばらく探索を続けたものの特に目新しい発見はなく、俺達は通路の分岐地点まで引き返すことにした。


「はあぁ……これから来た道戻るのか。ルーナじゃないが俺も正直気が重いぞ」


「仕方がないでありますよ。これでも地図アプリでスムーズに進んできたのでありますからね。探索というのは本来辛く厳しいものなのでありますよ」


「それに一応ここは敵を迎え撃つための砦みたいですからね。進むのが困難じゃなければ意味がありませんよ」


「そうね。魔人でもこの砦を攻略するのはかなり厳しいはずよ。普通の冒険者だったらここまで来たらもう帰れないかも」


「戻る……だと? うっ……ガクッ」


「ルーナさぁぁぁぁん!?」


 シスハに抱きかかえられていたルーナがついに首をうなだれて動かなくなってしまった。

 来た道を引き返すって聞いたショックが大き過ぎたのか……。

 道が狭い上に急激な坂になっていたり、段差も多くて天井が低いなどなど、移動するだけでもこの砦は体力を使わされる。

 その上で定期的にガーゴイルやコロッサスが襲ってくるから、普通の冒険者パーティーじゃここまで来るのもきついだろうな。

 と、ノール達と愚痴り気味に話しながら帰り支度をしていたのだが、いつの間にかフリージアとマルティナがいなくなっていた。

 辺りを見渡すと2人で砦の奥の壁を手で触ったりして何やら調べている。


「お前らそんなところで何をしているんだ?」


「むむむー、ここに違和感があるんだよ! 何かあるのかも!」


「……迷宮化しているせいで叩いてもよくわからないね。けど、元の壁を見るとちょっと他と違う気がする。地図アプリで見て何かこの先にないかい?」


「この先……あっ、奥に通路があるぞ!?」


 地図アプリを見るとこの砦のある場所から離れた奥深くのところに、どの通路からも繋がっていないさらに地下へと続く道が存在していた。

 なんであんな離れたところに通路が……本当にどことも繋がっていなくて、壁の中にポンと急に出てきたかのような空間だ。

 だけど入り口で分岐していた13本の道と繋がっていないし、全く関係ない別の場所かもしれない。

 そう俺は考えていたのだがマルティナは別のことを言い出した。


「ここには元々通路があったけど、通れないように潰されたってところかな。多分襲撃を受けたらこうやって通り道を使えなくする作りだったんだろうね」


「できるだけここで敵を引きつけて、最後は逃げて通路ごと潰すという訳ですか。ドワーフなら土の魔法などを使って道を崩落させるのもお手の物でしょうし」


「崩れた部分も迷宮化しているから、私の魔法でも通路を作るのは無理そうね。もし奥の通路が地下都市に繋がっているなら困っちゃったわね」


 これが普通の洞窟とかならエステルの魔法でまた開通できたのに、迷宮化しているせいで魔法でも干渉できなくなっている。

 俺達の選んだ通路が正解だったのは安心したけど、このままじゃ進めないぞ。

 ……というか、通路が潰れて迷宮化してる時点で詰みじゃない?

 本当に元々あった通路が潰れてるならこじ開けないといけないが……あっ、俺達にはこういう時に使える物があるんだった!


「ディメンションホールを使えばいけるんじゃないか? これなら迷宮の壁でも問題なく通れるぞ」

「おお! それがあったのでありますよ!」


「ガチャ産のアイテムなら迷宮でも問題なく使えるものね。私達じゃなかったら本当に行き止まりになっていたところだわ」


「入り口で分岐してそれっぽく思わせておいて、実は最深部はどことも繋がっていませんでしたなんて卑怯極まりない迷宮ですね」


 確かにディメンションホールがなかったらここで探索強制終了だったからな……なんて悪質な迷宮なんだ。

 さっそくディメンションホールを取り出して抜け道のあった場所に突き刺すと、壁に穴が開いて断絶された通路に繋がった。

 マルティナのゴーストを先行させて罠があるか確認してもらうが、何もなく俺達は無事に向こう側へと進む。

 出た先は砦までの道とは打って変わって広々としていて、全く障害物もなく快適に移動ができる。

 そしてしばらく歩いていると、壁にピッタリとはまり込んだ金属の巨大な門が見えてきた。


「おぉ……随分とでかい門だな。まるで大手門ってやつみたいだぞ」


「あの先に地下都市があるのでありましょうか……むっ!? 門の前に何かいるのでありますよ!」


 巨大な門に気を取られていたがノールの声で我に返ると、門の前にガーゴイルが鎮座しているのに気が付いた。

 銀に近い色でシルバーガーゴイルに見えるけど、一回り以上体が大きく艶なども一際増している。

 その姿はまさに砦を守る守護神といった感じ。強者の匂いがプンプンするぜ。

 とりあえずステータスを見ておくか。


――――――

プラチナガーゴイル 種族:ガーゴイル

 レベル:70

 HP:5万

 MP:3000

 攻撃力:3500

 防御力:5000

 敏捷:150

 魔法耐性:50

 固有能力 能力低下抵抗 魔法反射

 スキル 魔除けなる白金

――――――


 プ、プラチナガーゴイルだと!? 金銀ときて次は白金かよ!

 そう俺が驚いていると背後から赤い閃光が横切り、プラチナガーゴイルを貫いてバラバラに砕いてしまう。

 振り向くとルーナが片手を前に出して投擲後の体勢をしており、さっきのはどうやらカズィクルを使った彼女の攻撃のようだ。

 ルーナは瞳を赤く発光させて牙を見せ、凄くイラついた雰囲気をしている。


「ちっ、うざい」


「おいおい、いきなりスキル使うなよ!」


「あの魔物うざい。イライラする。平八、血を寄越せ」


「あっ、うん……」


「ルーナが本当に不機嫌そうでありますよ……」


「あれも魔除けの光を放っていたみたいね。でもおかげで簡単に倒せちゃったわ」


「さすがはルーナさんですね! 痺れて憧れてしまう程のお力ですよ!」


 まさかいきなりカズィクルをぶっぱしやがるとは……スキルの魔除けなる白金が不快だったようだ。

 シルバーガーゴイルの光も嫌がっていたし、疲労もあってストレスが溜まっているんだな。

 俺の血液入りの瓶を手渡してルーナに飲ませていると、フリージアとマルティナが喜々として巨大な門に近づいていた。


「さっそく入ってみるんだよ! ふんぬ! ぬぬぬぬ……あ、あれれ、この門開かないんだよ……」


「クックックッ、これは鍵を探したりギミックを調べて開ける方法を見つけるパターンのやつだね! 我が探求心の知恵熱が迸りそう――」


「めんどくせぇからディメンションホール使うぞ」


「ちょっと待ってよ! こういうのはちゃんと正規の手順を踏んで進まないとせっかくの楽しみが! 君達にはロマンが足りないよ!」


「そんなことしてる暇ないのでさっさと進みますよ」


 フリージアが一生懸命門を押し、涙目のマルティナが縋ってくるのを尻目に、俺はディメンションホールを門に突き刺した。

 すると問題なく門に穴が開いて向こう側に進んだ。

 門の先はまた広い通路になっていて、壁や地面が緑色に発光していてここも迷宮の侵食を受けている。


「よーし、ここからやっと本番みたいだな。これで地下都市があるかどうかわかるぞ」


「精霊樹でもそうでありましたけど、私達の探索する場所は迷路のような場所ばかりでありますね」

「あの変化する迷宮に比べたらここは深いだけでだいぶマシですけどね。ですが地下都市がこの先にあるとして、ここまで迷宮化しているとなると……」


「迷宮の侵食具合が気になるところね。もし地下都市まで迷宮化していたら……」


 うーむ、砦を抜けた先まで迷宮化しているなんて、一体どれだけの範囲が侵食を受けているのだろうか。

 エステルの言う様にもしこの先に地下都市があったとして、そこまで迷宮になっていたとしたら……どうなっちゃうんだ?

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― 新着の感想 ―
[一言] 普通に死者なく生き残ってるか、 生き残りは、逃がされた女や子供だけか、 ほぼ全滅で生き残りを仲間にするか 迷宮化は、迷宮の終わり回で、台座にスマホを乗せ【黒化 (ニグルド)を解除いたしまし…
[気になる点] ルーナは特別としてみんなが凹む中、元気に動き回るフリージアの元気は何処から来るんだ? まあ、その元気のおかげで貴重な鉄矢(もしかしてバリスタの矢?)を発見出来たのだから良いんだけど…
[一言] 多対一の場合細い道に誘い込み各個撃破が常套手段とシレンで学びました。シレンほとんどやったことないけど。 こういう道の先に湧き場の部屋が行き止まりであれば上手いこと自動システム組めるかもしれな…
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